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HOME   »   サッカー  »  [FIFAワールドカップ1986決勝] アルゼンチンチーム 2度目の優勝
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 新型コロナウイルス禍のために、数多くのスポーツイベントが延期・中止となっている状況では、撮り貯めた録画を自宅で楽しむのが良いのでしょう。
 今回は、ワールドカップ1986メキシコ大会の決勝です。

[1986年6月29日・アステカスタジアム(メキシコ)]
アルゼンチン3-2西ドイツ

 もともとコロンビアで開催予定であった大会ですが、同国内の経済状況が悪化し1983年に開催権を返上、代わりにメキシコで開催された大会です。
 メキシコ開催は1970年以来のこととなり、決勝も1970年大会と同じエスタディオ・アステカ=アステカスタジアムとなりました。

 アステカスタジアムは、いつの時代も世界屈指の収容能力を誇る巨大なスタジアムですが、この頃は13万人以上を収容できる世界最大級のサッカー場であったと言われています。
 ちなみに、このゲームの観客数は114,580人と公表されました。(この大会では、他にも114,580人という試合がありますから、「満員ならばこの人数表示」ということなのかもしれません)

 1986年大会は、現在に至るまで「マラドーナの大会」と呼ばれています。
 アルゼンチン代表チームの準々決勝イングランド戦、準決勝ベルギー戦で共に2得点を挙げ、特にイングランド戦の「5人抜き」得点シーンは、ワールドカップ1986を象徴する映像として、現在でも時折眼にすることがあります。

 一方で、この決勝戦ではマラドーナ選手は得点を挙げていません。
 これは、少し不思議な感じです。
 
 両チームが死力を尽くした好ゲームを観て行きましょう。

[アルゼンチンチームの先発メンバー]
1. GKプンピード選手
2. DFクラウセン選手
3. ルジェリ選手
4. ブラウン選手
5. オラルティコエチェア選手
6. MFバティスタ選手
7. ジュステイ選手
8. エンリケ選手
9. ブルチャガ選手
10. FWマラドーナ選手
11. バルダーノ選手

[西ドイツチームの先発メンバー]
1. GKシューマッハ選手
2. DFブレーメ選手
3. フェルスター選手
4. ヤコブス選手
5. エデル選手
6. MFベルトルト選手
7. ブリーゲル選手
8. マテウス選手
9. マガト選手
10. FWルンメニゲ選手
11. アロフス選手

 先発メンバーを観ると、「大砲」ディエゴ・マラドーナ選手を中心に、ホルヘ・ブルチャガ選手、ホルヘ・バルダーノ選手という2名の「ホルヘ」に、エクトル・エンリケ選手やリカルド・ジュスティ選手を加えた、アルゼンチンチームの攻撃力が目立ちます。
 得点力ならば、アルゼンチンが一枚上と観るのが妥当でしょう。

 一方の西ドイツチームは、フランツ・ベッケンバウアー監督の指揮下で、この大会では「堅守」をベースに最少得点で勝ち上がってきました。グループリーグGLは3試合で3得点、決勝トーナメントも3試合で3得点、ここまで6試合で6得点しか挙げていないのです。
 ゲーム毎に細かい戦術の変更を加えて、相手チームの得点を抑えてきた形でしょう。
 決勝でも「ベッケンバウアーの采配」が注目されたことは言うまでもありません。

 開始直後は西ドイツチームが攻め、チャンスも有ったのですが得点を挙げることが出来ず、ゲームは次第にアルゼンチンが攻め西ドイツが守るという、戦前の予想通りの展開となりました。
 そして、西ドイツチームは「マラドーナ選手への徹底的なマーク」を実施したのです。
 ローター・マテウス選手を中心としたマークですが、エリアによっては他の選手もアプローチしています。
 マラドーナ選手にボールが渡ったならば、とても近い位置からアタックを掛けます。
 反則すれすれのプレーも観られました。

 さすがのマラドーナ選手も、これだけ「しつこく徹底したマーク」を受けては、なかなか思ったようなプレーはできませんから、アルゼンチンチームとしては、マラドーナ以外の選手による得点が望まれることとなります。

 前半22分、早くもそのシーンがやってきました。
 アルゼンチンチームは西ドイツゴールに向かって右サイド、ペナルティエリアの外の位置でフリーキックFKを得ました。
 蹴るのはブルチャガ選手。
 ブルチャガ選手は西ドイツゴールの反対側に蹴りました。GKシューマッハ選手がこれを弾こうと飛び出しましたが、ボールはシューマッハ選手を越えて飛び、アルゼンチンのDFブラウン選手がヘディングシュート。
 これが見事に決まりました。

 名手シューマッハ選手としては、珍しい「空振り」でしたが、ブルチャガ選手のキック、ブラウン選手のヘッド共に高い精度でした。

 前半はアルゼンチンが1-0とリードして、折り返しました。

 西ドイツチームは、FWのアロフス選手を下げてフェラー選手を入れました。
 「カールハインツ・ルンメニゲ選手+ルディ・フェラー選手」という、この頃の西ドイツチームの看板コンビとなったのです。
 この大会では、特にルンメニゲ選手の不調が伝えられてはいましたけれども、いざとなれば、やはりこのコンビ、精神的な強さが際立つコンビが必要だったのでしょう。

 0-1とリードされている西ドイツは、前半に比して攻勢を強めました。
 当然のことです。
 しかし、アルゼンチンも良く守り、なかなか決定的なチャンスは生まれません。

 そして後半11分、前掛かりになった西ドイツチームからボールを奪ったアルゼンチンチームは、マラドーナ選手からエンリケ選手、バルダーノ選手と繋いで、バルダーノ選手が西ドイツゴール向かって左サイドからシュート。前に出てきたGKシューマッハ選手の右側を突いた、落ち着いたシュートでした。

 これで2-0とアルゼンチンがリード。
 ゲームの帰趨は大きくアルゼンチンチームに傾きました。

 メキシコシティ・アステカスタジアムはアルゼンチンのサポーターが多く、大歓声が響き渡り、「勝った」という雰囲気が漂いました。
 流れに乗ったアルゼンチンチームは、この後も積極的に攻め続けましたが、さすがに西ドイツチームはこれをよく防ぎ、反撃の機を待ちました。

 こうした逆境に、世界で最も強いナショナルチームは、ドイツチーム(この頃は西ドイツ)でしょう。
 大きな大会で、絶体絶命の形から何度も反攻を成功させているのですが、このゲームも「絶対に諦めない」精神力(当時はよくゲルマン魂と呼ばれました)が発揮されたのです。

 後半20分を過ぎて、西ドイツチームが攻勢に出ました。
 アルゼンチンチームとしては「このまま2-0の勝利」で十分と考えていたこともあるでしょうし、前掛かりの西ドイツチームの隙を付いてのカウンターで、これからも得点チャンスが生まれるとも考えていたことでしょう。
 実際のところ、両チームにチャンスが来る展開でした。

 そして後半29分、アルゼンチンゴール向かって左から、西ドイツチームのコーナーキックCK。これをニアサイドに居たフェラー選手がヘディングでゴール前向かって右サイドに落とし、これを飛びこんだルンメニゲ選手が押し込みました。
 スライディングしながらのシュートは、いかにも「ルンメニゲのゴール」でした。

 2-1となって、ゲームの緊張感が一気に高まりました。

 アステカスタジアムには「アルゼンチン頑張れ」の大合唱が響きます。

 マラドーナ選手が左サイドを突進し、フェルスター選手がタックルで止めたシーンなどは、迫力満点、スピード・パワー共、世界最高水準のプレーでした。
 こうした素晴らしい数々のプレーの中から、再び西ドイツチームの得点が生まれるのです。

 ゲームは後半35分を過ぎました。
 アルゼンチンチームにとっては「ワールドカップ獲得まであと10分」となったのです。

 このゲームの見事なところは、この時間帯になっても両チームの運動量があまり落ちなかったことでしょう。
 標高2,000mを越えると言われるアステカスタジアム、空気が薄い中での激闘ですので、そのフィジカルの強さは驚異的です。

 後半36分、西ドイツチームは再びアルゼンチンゴールに向かって左サイドからのCK。
 今度はファーサイドに蹴られたボールを、ゴール前にヘッドで落とし、そこに居たフェラー選手がヘディングシュート。
 これが綺麗に決まりました。

 2-2の同点。
 ゲームは振出しに戻ったのです。

 西ドイツの2ゴールは、共に左CKから、ヘディングでゴール前に運び、これをルンメニゲ選手は足で、フェラー選手は頭で、決めました。
 あらかじめ用意されていたプレーでしょうが、後半の後半になって2度決めるというのは、これがワールドカップの決勝であることを考え合わせると、信じられないような決定力であり、粘りでしょう。

 西ドイツチームは「誰ひとり負けるなどということは考えても居なかった」ことは明白であり、これが「ドイツの伝統」なのです。

 アルゼンチンチームとしては、2-0で後半残り20分を切ったのですから、ほぼ掌中にしていたワールドカップが、するりと掌から滑り落ちた感じでしょうか。これは、1978年の初優勝の時のゲーム展開にも似ています。あの時の相手はオランダチームでしたが・・・。

 これで、俄然ゲームの流れは西ドイツに傾いたかに観えました。
 延長も視野に入ってきたのです。
 
 この流れを一気に変えたのは、ブルチャガ選手のプレーでした。

 後半39分、アルゼンチンゴール前からセンターライン付近でのボールの奪い合い、そこから前線のブルチャガ選手にパスが出ました。
 前掛かりだった西ドイツチームはディフェンダーが居ませんでした。

 ブルチャガ選手はドリブルで突進し、GKシューマッハ選手と1対1。
 スライディングしてくるシューマッハ選手の左側に浮かせたシュートが決まりました。
 とても冷静なシュートでした。

 ブルチャガ選手の持ち味が存分に発揮されたシュートでしたし、キャリア最高のゴールであったことも間違いありません。

 試合時間は残り4分となりました。

 当然ながら西ドイツチームは攻めますが、アルゼンチンチームも攻撃を止めません。

 残り3分、バルダーノ選手が左サイドを駆け上がり、中央に居るマラドーナ選手にパス、マラドーナ選手は西ドイツディフェンダーの間を割って突進、転がるボールに対して、マラドーナが先か、シューマッハが先か、シューマッハ選手の方が僅かに早く、ボールを弾き、そのシューマッハ選手とぶつかったマラドーナ選手がダイブ。
 反則にはなりませんでしたが、この「ダイビング」も、この大会の名シーンのひとつでしょう。

 ゲームは、このまま終了しました。

 アルゼンチン代表は、2度目のワールドカップ優勝を果たしたのです。

 「マラドーナの大会」の決勝戦、アルゼンチンチームはマラドーナ選手以外のプレーヤーの活躍で3点を挙げて、西ドイツチームを振り切りました。
 西ドイツチームは、0-2の劣勢から後半の後半に追い付き、あと一歩というところまで、アルゼンチンチームを追い詰めました。
 好天のアステカスタジアムで繰り広げられた、素晴らしいゲームでした。

 表彰式、重量5㎏のワールドカップは、まずキャプテンのマラドーナ選手に渡されました。
 受け取ったマラドーナ選手は喜びを爆発させました。

 ディエゴ・マラドーナは、ワールドカップの歴史となったのです。
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