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HOME   »   陸上競技  »  [温故知新2020-陸上競技4] 男子走り幅跳び オリンピック金メダリストの記録
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 温故知新2020の陸上競技編その4です。

 男子走り幅跳びは、1896年の近代オリンピック第1回アテネ大会から実施されています。
 「最も遠くに飛ぶ」という、人間の本能が求めている能力を試す種目なのでしょう。

 これまでの記事と同様に1960年ローマ大会から観て行こうと思います。
 金メダリスト、記録の順です。

・ローマ1960 ラルフ・ボストン選手(アメリカ) 8m12cm
・東京1964 リン・デービス選手(イギリス) 8m7cm
・メキシコシティ1968 ボブ・ビーモン選手(アメリカ) 8m90cm
・ミュンヘン1972 ランディ・ウィリアムズ選手(アメリカ) 8m24cm
・モントリオール1976 アーニー・ロビンソン選手(アメリカ) 8m35cm
・モスクワ1980 ルッツ・ドンブロウスキー選手(東ドイツ) 8m54cm
・ロサンゼルス1984 カール・ルイス選手(アメリカ) 8m54cm
・ソウル1988 カール・ルイス選手(アメリカ) 8m72cm
・バルセロナ1992 カール・ルイス選手(アメリカ) 8m67cm
・アトランタ1996 カール・ルイス選手(アメリカ) 8m50cm
・シドニー2000 イバン・ペドロソ選手(キューバ) 8m55cm
・アテネ2004 ドワイト・フィリップス選手(アメリカ) 8m59cm
・北京2008 イルビング・サラディノ選手(パナマ) 8m34cm
・ロンドン2012 グレッグ・ラザフォード選手(イギリス) 8m31cm
・リオデジャネイロ2016 ジェフ・ヘンダーソン選手(アメリカ) 8m38cm

 ひと目見て、アメリカ合衆国が強いことが分かります。
 アメリカにとって、伝統の種目ということです。

 続いては、ロス1984~アトランタ1996のカール・ルイス選手の4連覇が凄い。
 ルイス選手といえば、100m競走でも連覇を達成していますが、やはり走り幅跳びが「本職」なのでしょう。
 連覇さえ至難の技であるオリンピックにおいて、「4連覇」というのは信じられないような大記録です。
 こうした記録を示現するためには、世界最高水準の競技能力を長く維持することが必要なことは勿論として、個々の試合における「試合運びの上手さ」が肝要でしょう。
 予選と決勝で各3度・計6度の試技を行う訳ですが、自らの体調や筋肉の様子を都度把握しながら、疲労の蓄積度合いを調整して行くとともに、踏切を合わせて行ったり、他の選手の記録を観ながら「勝負をかける跳躍」を決めて挑んだり、自らの試技時間中に可能な限り「追風」のタイミングを図る、等々、沢山の要素を十分に把握しコントロールする力が求められます。
 こうしたクレバーな試合運びを4大会に渡り継続し、勝利に結びつけるというのは、まさに「ミスター・ロングジャンプ」と称するに相応しいアスリートなのです。
 ここまでのオリンピック史上「最高のロングジャンパー」であることは、言うまでもないことです。
 
 私は、カール・ルイス選手のメカニカルな跳躍がとても好きです。
 素晴らしい加速の助走(世界一のスプリンターですから当然のことですが)から、踏切手前の3歩で沈み込みます。何とも言えない味のある沈み込みで、5cm位は重心を落としているのではないかと思います。
 踏み切りは、決して上方向では無く、走り抜ける形に近いでしょう。
 低い飛びが始まり、両手両足を大きく動かします。長い手足がバランス良く、おおらかに、しかし全く無駄なく動くのです。
 そして、ギリギリのタイミングで着地します。
 完成度の高いシザースジャンプ。
 空中を最速で走り抜けるようなはさみ飛びですが、だからと言って多くのジャンパーが真似できるというものでもありません。圧倒的な走力とバネをキッチリと纏め上げることは、ルイス選手にしか出来ないものなのでしょう。

 さらには、種目全体として記録がやや落ち気味であると感じます。
 男子走り幅跳びにおいては「8mジャンパー」が、いつの時代も尊称です。
 ローマ1960、東京1964の頃は、8mを越えればメダル争いが出来ました。

 そしてメキシコシティ1968に伝説のジャンプが生まれました。ビーモン選手の8m90cmというミラクルなジャンプ。もちろん驚異的な世界新記録でしたが、メキシコシティの空気が薄かったことが一因などと、言われ続けました。(私は、この要因はあまり関係が無いと考えています。そうした要因で数10cmも記録が伸びるとは思われないからです)
 この大会で2位だったクラウス・ビヤー選手(東ドイツ)が8m19cmだったことを考え合わせても、ビーモン選手の跳躍は、すべての要素がマッチした、凄まじいものだったのです。
 砂場の横に居た係員の頭の上を飛ぶ映像が残されています。とても高さのあるジャンプでした。
 この記録が長く世界記録として残ったことは、自然なことでしょう。

 この超絶記録の後も、「8m30cm」というひとつの目安を巡っての金メダル争いが続き、モスクワ1980においてドンブロウスキー選手が8m50cm越えを記録した頃から、「8m50cm」が金メダル争いの指標となりました。
 カール・ルイス選手の4連覇の時代には、8m50cmが金メダルの条件となったのです。

 特にバルセロナ1988においては、ルイス選手とマイク・パウエル選手の激しいライバル対決が観られ、ルイス選手が8m67cm、パウエル選手が8m64cmの3cm差決着という、8m50cmを大きく超えるレベルでの戦いが繰り広げられました。(パウエル選手は、世界選手権・東京1991において8m95cmという世界新記録、ビーモン選手の超絶記録を塗り替える跳躍を魅せてくれました)

 カール・ルイス選手を中心とした「8m50cm」を越えるレベルでの金メダル争いは、アテネ2004まで続きましたが、その後は「8m30cm」を巡る戦いに戻ってしまいました。
 この「20cm下降」の原因は、私には分かりませんけれども、必ず要因がある筈です。
 世界中のトップアスリートが努力を続けている中で、同一種目の記録が大きく下がったまま、というのは、有り得ないことだと考えています。

 いずれにしても、オリンピックにおける男子走り幅跳びは「8m30cm」、1970年代の記録水準になっているように観えます。
 東京2021において、どのような記録が叩き出されるのか、とても注目されるところでしょう。

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