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HOME   »   サッカー  »  [コンフェデ杯決勝] ブラジル、スペインに圧勝
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 ネイマールの大会でした。そして、ブラジル代表チームの良さが存分に発揮された大会でもありました。

 コンフェデレーションズカップ2013の決勝は、6月30日ブラジル・リオデジャネイロのマラカナンスタジアムで行われ、ブラジルがスペインを3対0のスコアで破り、優勝しました。

 ブラジルチームは5戦全勝で大会を終えました。それぞれの試合の内容も素晴らしいもので、久々に「セレソン」の実力を世界に見せ付けた大会となりました。
 一方のスペインは、2010年のワールドカップWC南アフリカ大会・予選リーグ初戦でスイスに敗れて以来のFIFAが主催する公式戦での敗戦でした。

 試合の勝敗に最大の影響を及ぼしたのは、前半開始早々1分40秒のフレッジ選手のゴールだったと思います。
 この5年間、世界ランク1位チームとしてのスペインの最大の強みは「失点しないこと」で、本大会もここまでの4試合で僅かに1失点と、堅守を誇ってきました。そのスペインが、開始2分も経たないうちに失点したのです。「0対0で試合後半まで行き、相手の動きが悪くなったところで1点を上げて勝つ」というスペインチームの基本的なゲームプランが崩れてしまいました。

 スペインチームは南アWCの初優勝時の試合振り=準々決勝・準決勝・決勝の3試合がいずれも1対0の勝ち、でも明確に解るのですが、強豪チーム相手では中々得点できません。つまり、強豪相手の得点力は十分とはいえないのです。
 この弱点を守備の強さで補っています。スペインの守備の根幹をなすのは、パスサッカーの継続によるポゼッションの高さ=相手にボールを与えないこと、です。従って、スペインチームの調子が良いときには、ボール支配率は60%を優に超えて、70%以上であることも珍しくありません。

 南アWCの準決勝でドイツチームがスペインに1対0で敗れた後、ドイツのクローゼ選手が「ボールを追って動きすぎて、エネルギーが残っていなかった」とコメントしました。スペインのパスサッカーを相手にしたときの苦労が解ります。

 そのスペインチーム相手に、この試合でブラジルチームが展開した作戦は、概ね以下の2点だと思います。

① 前線からのしつこいプレス。
 最近流行の2~3人で囲んでボールを取りにいくのではなく、1対1で相手プレーヤーに密着するプレスです。2~3人で囲むとパスで逃れられてしまいます。1対1なら、パスの相手にもブラジルの選手が付いていますから、簡単にはパスが繋がらないのです。
 加えて、1対1のボールの取り合いであれば、互角以上の戦いができるとブラジルチームは考えたのでしょう。この作戦は有効でした。バックスからミッドフィールダーにかけてのスペインの各選手に、ブラジルの選手が密着しますから、いつものようにはパスが通りません。
 従って、スペインチームのパスの長さは通常の10~12mではなく、7~8mに短くなりました。結果として狭いエリアでパスをすることとなり、スペースが少なくなって、ブラジルのインターセプトを受ける形でした。
 この作戦は、個人個人のテクニックが高いチームにしかできないものですが、まさにブラジルチームにはピッタリだったのです。

② 大きなサイドチェンジ。
 前述の通り、スペインチームのパスは通常10~12mで、他の強豪チームの14m平均からすると短いのです。個々のプレーヤーが10m前後の間隔で位置し、自在にパスを回すのが、世界最強となったスペインサッカーです。
 これに対して、この試合のブラジルチームは「大きなサイドチェンジ」を多用しました。つまり、短いパスを自在に回す=個々のプレーヤーが近い、のがスペインサッカーの特徴であれば、反対サイドには大きなスペースが出来易いということになります。ここを付いたのです。

 一点目のフレッジのゴールがまさにそれでした。このゴールは、フレッジのゴール前の粘り、腹の下にボールを入れて、腹ばいのまま右足を振り抜くという、個人の頑張りも大きかったのですが、私はそこまでボールを運んだ過程が素晴らしいと思いました。
 ブラジル陣左サイドのディフェンダーDFダビド・ルイス選手から、右サイド・スペインのペナルティーエリア横のフッキ選手への大きなパス、大きなサイドチェンジのパスが綺麗に決まり、フッキとオスカル選手との間でパスをやり取りした上でゴール前のネイマールとフレッジが居る辺りにパスが出されたのです。
 このダビド・ルイスからフッキへの大きなサイドチェンジパスが、とても効果的だったと思います。

 こうした大きなサイドチェンジは、この後も何回か見られました。狭いエリアで戦うのが得意なスペインチームに対して、ブラジルチームが考えた戦術だと思います。

 1点を先制されたスペインは、いつものような試合運びでは勝てませんので、点を取りに行きました。この攻撃も中々鋭く、ブラジルゴールを襲いましたが、ブラジルのDFも良く守りました。特に前半40分のダビド・ルイスのクリアは見事の一語。ゴールライン前70cm位の位置から、ほぼ真上にクリアするなど滅多に見られないプレーだと思います。

 そして、前半終了間際のネイマール→オスカル→ネイマールと繋いでの、ゴール左上に突き刺さるシュート。ネイマールの能力の高さを十分に感じさせるものでした。これまで、幾多のピンチを救ってきたスペインの守護神カシージャス選手を持ってしても、どうにもならないシュートだったと思います。

 これで、ブラジルの2対0のリードとなりました。この時に勝負は付いたと思いました。ブラジル相手に、スペインが2点を取れるとは思えなかったのです。

 前半を観て、スペインチームではファン・マタ選手とフェルナンド・トーレス選手が働いていないと思いました。両選手とも、もちろん世界的なプレーヤーなのですが、このチームの中では機能しないという感じでした。
 トーレス選手は、飛び出しと比較的長いドリブルからのシュートが特徴ですが、ゴール前の短いパスの交換からチャンスメイクするチームには、マッチしなかったのでしょう。それでも、このゲームでデルボスケ監督がトーレスを使ったのは、予選リーグのウルグアイ戦でのヘディングシュートの印象が強かったためでしょうか。

 マタ選手は、独特のリズムとパス回しが特徴の選手で、私も大好きなのですが、シャビ選手やイニエスタ選手に代表されるチームとは波長が合わないというか、慣れていなかったのでしょう。

 この2人は、後半途中で交代しました。後半6分にマタ→ヘスス・ナバス、後半13分にトーレス→ビジャ。この交代後のメンバーが、現時点のスペイン代表チームでしょう。

 後半の1分過ぎに、フレッジがこの試合2点目の得点を上げ、ブラジルのリードが3点となったときには、このゲームは完全に決まりました。
 前半早々の1点目と同じく、前線からのしつこいプレスで奪い取ったボールを、マルセロ→フッキ→ネイマールがスルーして→フレッジと繋ぎ、右ゴールポストに当たって入るシュートですから、さすがのカシージャスも取れません。
 フレッジ選手は、この大会のワントップの役割を十二分に果たしました。素晴らしい活躍だったと思います。

 こうなると悪い癖が出て、ブラジルチームのプレー内容がやや雑になりました。これは、「ブラジルの伝統」といえるものです。

 後半9分には、マルセロ選手の反則で、スペインのペナルティーキックPK。セルヒオ・ラモス選手が蹴りましたが、このところ当たりに当たっているGKジュリオ・セザールが読み切って止めました。この辺は「勢いの違い」でしょうか。
 
 このゲームは、ブラジルの完勝でした。前述の2つの作戦も見事に機能したと思います。

 とはいえ、これでブラジルチームがスペインチームに対して優位に立ったとは、言い切れないと思います。
 中2日で長距離を移動してきたスペインチームのコンディションは、ブラジルチームに対して良くなかったと観ることも出来ます。コンディションの良いスペインチームなら、この試合よりも一段と速いパス回しが出来たのかもしれません。

 しかし、少なくともコンディションが万全で無い状態なら、ブラジルチームはスペインチームと十分に戦えることは証明されました。
 現在の世界サッカーをリードするスペインチームと、次回WCの開催国であり史上最多優勝回数を誇るブラジルチームは、本番に向けて同じスタートラインに立ったと思います。

 ゲーム終了後、ネイマールとイニエスタが笑顔で抱き合っていた姿が、とても印象的でした。

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