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HOME   »   高校野球  »  [高校野球] 甲子園大会 監督考
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 センバツにしても、夏の甲子園にしても、甲子園大会は高校球児の憧れです。
出場すること自体が容易なことではなく、センバツなら前年の秋季地区大会の好成績、夏なら各都道府県大会での優勝が必須です。

 この甲子園出場については、監督の力がとても大きな要因となるように思います。
もちろん、プレーをするのは選手ですから、選手が重要なのは言うまでもありませんが、その選手を鍛え、効率的に選手の能力を引出し向上させ、試合で的確な指示を与えていくのも監督の仕事です。

 甲子園の歴史を彩る名監督は沢山います。筆者が甲子園大会を見始めたのは1960年代ですから、それ以降の名監督を高校名・氏名苗字の表記(敬称略)で挙げてみましょう。
簑島・尾藤、銚子商・斉藤、PL学園・中村、池田・蔦、取手二(+常総学院)・木内、智弁和歌山(+智弁学園)・高嶋、横浜・渡辺、済美(+宇和島東)・上甲、帝京・前田、日大三(+関東一)・小倉、他にもいらっしゃると思いますが、すぐに思い出すだけでも錚々たる名前が並びます。

さて、ここでは甲子園大会出場を3つに分けてみます。
1.甲子園大会への出場
2.甲子園大会での勝利
3.甲子園大会優勝    の3項目です。

1の「出場」については、監督の力量が最大の要因であると思います。そう考える理由は

 ①名監督が指揮を採らなくなってから、甲子園に出場できない、或いは出場回数が激減している高校が、多数みられること。例えば和歌山簑島高校は、尾藤監督のもと1960年代から80年代にかけてセンバツ優勝3回・夏優 勝1回の好成績を収めていましたが、最近は甲子園出場もありません。茨城取手二高は、木内監督のもと計6回甲子園に出場し、1984年には夏の全国制覇を達成していますが、木内監督が別の学校に移ってからは1回も出場していません。ちなみに、簑島、取手二ともに公立高校です。他にも、徳島池田高校や沖縄水産高校など、名監督が指揮を採らなくなってから、甲子園出場すらできない例は沢山あります。
現在の監督の指導・指揮がよくないと言っているのではありません。名監督の指導・指揮がとても素晴らしいのでしょう。

 ②長野県上田市に歴史と伝統を誇る上田高校があります。100年を優に超える歴史の中で野球部は甲子園に2回出場しています。その出場について、同市の長老の話が興味深いものです。

 愛知東邦高校で甲子園常連監督であった方が、退職して故郷に戻ってこられたそうです。上田高校関係者は、この方に是非上田高校野球部の指揮を採ってもらいたいと懇願、この方は固辞していましたが、1年間だけという約束で監督に就任しました。当然、進学校の上田高校野球部の部員をそのまま受け入れての指揮でした。それで翌年の夏の甲子園に出場しました。この快挙をみて、県内の腕自慢の球児達は、翌年上田高校にこぞって進学しましたが、この監督は約束通り1年で退任。翌年、上田高校は甲子園に出場していません。

 この話は、細部には勘違いがあるかもしれませんが、大筋では正しい話でしょう。進学校の体力・運動神経には恵まれない生徒達を半年余りの指導により、長野県大会を勝ち抜けるレベルに向上させ、試合では勝つための指揮を採ったことが素晴らしいし、逆に体力・運動神経に優れた生徒が集まった後は、この監督の指導・指揮がなかったために、予選を勝ち抜けなかったというのは、示唆に富んだ話です。

 こうした例は全国に数多あると思いますが、有名なところでは近時の大垣日大高校でしょう。奇しくも、同じ愛知東邦高校で甲子園常連監督(出場24回、優勝1回)であった阪口監督を招へいし、その2年後にはセンバツに初出場・準優勝し、夏もベスト8に進んでいる。着任後、成果が出るまでの期間が短いのも共通しています。

 高校球児を指導する期間は短い。個々の選手についてみれば1年半から2年間でしょう。その間に、選手の長所を伸ばし、短所を抑えて、グッドプレーヤーにしていく。当然、部員は多く、学年毎に対応していく必要がある。高校野球の監督には時間が無いのです。こうした状況下で毎年のように甲子園に出場するチームを創り上げていくためには、全く無駄のない指導・練習実施が不可欠です。名監督は、この極めて困難な課題を実現する能力が備わっているのだと思います。

 名監督には「こうすれば甲子園に行ける」というノウハウや基準が備わっているのてしょう。日々の鍛練はもちろんのこととして、勝つための試合におけるノウハウもたくさん身に着けているのでしょう。他の監督は、名監督のこうしたノウハウを身に着けていかなければ、勝ち抜くことはできません。どのようなノウハウかについては、別の機会に検討してみたいと思います。

 興味深いのは、名監督の下で長年コーチをして、そのノウハウを細部にわたって身に着けたと言われる方が、後をついで監督になっても、名監督のような成績を残せないことです。やはり監督にも個性がある。自らの個性にあったノウハウでなければ本当の力は発揮できないし、自らの個性にあった指導・指揮を行いながら勝ち進んでいける人こそ「名監督」なのだろうと思います。→(続きへ)




 甲子園常連校には良い選手が集まるから、毎回のように出てこられるという見解も時々目にしますが、いかがなものでしょうか。
 前述の簑島・取手二は公立高校であり、選手を集めにくいでしょう。また、池田高校は初出場の時、11人の選手しかいなかったと記憶していますが、蔦監督は甲子園に連れてきて決勝まで進んでいたと思います。

 名監督にも初出場の時があり、初出場の時には有力選手を集めていたわけではないでしょう。甲子園出場を重ねた後は、確かに選手が集まってくると思いますが、1970年頃から甲子園出場を目指して、多くの高校球児は出身地から全国に散り、色々な学校で活動しています。そうした「外人部隊」(言葉は良くありませんが)を擁する学校が皆、名監督の学校のような好成績はを上げているわけではありません。

 さて、当初のテーマに戻って、2の甲子園大会での勝利ですが、これは1と同様です。高いノウハウで鍛え上げた選手たちが、正しい指揮により試合で勝利する。名監督は指揮者としても有能ですから、名監督のチームは、なかなか初戦敗退しません。もちろん、籤運の関係があり、初戦から優勝候補と当たったりすれば敗れることもあるが、全体としてみれば、甲子園での勝率も高いし、勝率が高いから名監督と呼ばれるのでしょう。

 3の甲子園大会優勝は、監督の力だけでは困難であり、優秀な選手がいる時に可能になるものかと思います。つまり名監督は、甲子園出場と甲子園での勝利については、大半の責任を負い、十分に全うするのでしょう。
しかし、名監督が揃う甲子園大会での優勝は、極めて困難なことです。前述のような指導による選手のレベルアップを継続する中で、たまたま極めて優秀な選手が同じチームに揃うことがあります。こうした時が、名監督にとっても優勝のチャンスでしょうし、滅多にないことなのでしょう。

「甲子園出場」を積み重ねたPL学園中村監督にとっても、優勝は容易なことではありませんでした。そうした中で1983年夏、1年生の桑田・清原を擁したチームとの出会いはひとつのエポックだったことでしょう。85年までの春夏5回連続出場、優勝2回・準優勝2回・ベスト4一回を成し遂げた、甲子園史上でも最強チームのひとつであったPL学園です。
 ちなみにこの時のPL学園は、1983年の準決勝で大本命と言われた池田高校を破っていますが、この時の池田高校は水野投手を擁し、前年に続く2年連続優勝を目指した蔦監督率いる最強チームでした。1年生の桑田投手、清原選手が大活躍しました。

 逆に、1984年の夏、2年連続優勝を目指したPL学園の前に立ち塞がったのが、木内監督率いる取手二高でした。延長の末取手二高が優勝、PL学園は準優勝でした。このころは、名監督同士がしのぎを削った時代でもありました。

 甲子園は今も、名監督を生む舞台です。駒大苫小牧を率いて夏2回優勝した香田元監督や、現大阪桐蔭・西谷監督、現光星学院・仲井監督など、前述の名監督に並び追い越していく可能性のある監督が、どんどん出てきています。これらの名監督候補が、これからどんなドラマを見せてくれるのか、とても楽しみです。


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