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HOME   »   陸上競技  »  [男子100m競走] 10秒0の壁を叩いたアルミン・ハリー
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 男子100m競走には「10秒の壁」が存在します。この壁は相当厚く、日本人スプリンターにとっては、いまだに破れないものです。

 距離を計る「メートル」という単位と、時間を計る「秒」という単位は、別々に定められたものでしょうが、これに「人類の走る能力の限界」という要素が加わると、100m競走に10秒の壁が現れるというのですから、ある意味では不思議なことです。

 この人類にとっての厚い壁に、初めて到達したランナー、10秒の壁を初めて叩いたのが、アルミン・ハリー選手でした。
 アルミン・ハリーは、旧西ドイツのスプリンター。1960年6月に10秒0の世界新記録を樹立しました。それまでの記録は、アメリカのウィリー・ウィリアムズ選手が1956年の8月に出した10秒1でしたから、この0.1秒を縮めるのに、人類は約4年を要したのです。

 アルミン・ハリー選手のランニングフォームは、過去の映像で見ることが出来ますが、何より「スタートが速い」のが特徴です。

 「スタートが速い」といっても、2つのタイプに大別されると思います。
① スターティングピストルの号砲に対する反応が速いタイプ
② スタートから10m位の走りが速いタイプ

 ハリー選手は、①のタイプでした。いくつかのレースの映像を見ても、必ず他の選手より「動き出しが早い」のです。あるレースなどは、フライングに見えるほどです。

 ハリー選手の場合には、号砲の音を聞いてから、脳が体全体に動くように指示する時間が短かったことになります。
 スタートで50cm~1m位リードしたハリー選手は、その後20m~40mの加速がとても素晴らしい。この区間で、その差を2m前後に拡大して、ラストの30mは逃げ込みを図るというレース振りであったと思います。
 もちろん、ハリー選手にも好不調があり、あまり調子が良くないレースでは、ゴール前追い上げられて50cm位の差で逃げ切り、調子が良いレースでは2m差でゆうゆうと勝つという感じです。

 ちなみに、前述の②のタイプのランナーとしては、元日本記録保持者だった飯島秀雄選手や元世界記録保持者のアサファ・パウエル選手(ジャマイカ)が挙げられると思います。
さらに、この2人の走りにも違いがあるように思います。飯島選手はスタート直後の上体の起き上がりが早く、足を速く動かすことで加速しますが、パウエル選手は、スタート直後は上体の起き上がりを抑えながら、両腕を速く大きく振ることで、ストライドとピッチを上げているように観えます。
 100m競走の一流ランナーも、千差万別ということでしょう。

 アルミン・ハリー選手に付いて言えば、抜群に速い反応からのスタート直後の3歩は、大きめのストライドに観えます。この段階では、脚を速く動かすことより、バランス良く重心を前に移動させることに注力している感じです。身長182cmという、当時の100mランナーとしては長身で、脚が長い体型の選手でしたから、こうした走り方が向いていたのかもしれません。
 そして、20m付近からの爆発的な加速に結び付けていたのでしょう。

 ハリー選手は1960年のローマオリンピックの100m競走で金メダルを獲得しましたが、タイムは10秒2でした。同じ年の6月に10秒0の世界新記録を出していたのですが、やはり、オリンピックといった大舞台で自己ベスト記録を出すことが難しいことであることが判ります。

 それにしても、ハリー選手が現代のランナーであったなら、あまりの反応の速さから、スターティング・ブロックのフライング検知器に引っかかってしまう可能性があります。現代の検知器は、号砲の音より一定時間経過後でないと、人間の体は動かないことを前提としてセットされていますから。
 どれほど凄い反応だったのか、現代の機器で正確に計ってみたかった気がします。
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