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HOME   »   MLB  »  [MLB] 規格外のプレーヤー アルフォンソ・ソリアーノ
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 どんな選手かと聞かれると、返答に少し困ってしまうプレーヤーが、アルフォンソ・ソリアーノ(現ニューヨーク・ヤンキース)でしょう。

 ドミニカ共和国出身で、プロプレーヤーとしてのキャリアは日本プロ野球NPBの広島東洋カープからスタートし、MLB史上4人しかいない「40・40」(シーズン40盗塁以上+40本塁打以上)の大記録を保持し、MLB通算390本以上の本塁打を放っている長距離ヒッターでありながら、あまり人気が無い、というのですから。掴み所が無い名選手、といったところでしょうか。

[ひとつ目の不思議]

 ソリアーノ選手は広島カープが、1990年にドミニカ共和国に設立した「カープアカデミー」の出身です。MLB各球団の施策に習い、自軍の1軍プレーヤーを発掘・育成するためにドミニカ共和国にアカデミーを作るというのは、広島カープも思い切ったことをしたものですが、このアカデミーは「アルフォンソ・ソリアーノ」という原石を掘り当てました。

 カープアカデミーでの実績が認められ、ソリアーノは1996年に来日、1997年に1軍登録されました。1997年の広島カープでの成績は、9試合に出場して17打数2安打。どう見てもパッとしない成績ですから、翌1998年の契約に際して、広島球団は年棒4万5千ドル(約450万円)を呈示しました。この成績では当然だと思います。

 しかし、ソリアーノはこれを拒否し、ドミニカに帰ってしまいます。そのドミニカでのプレー振りを見たニューヨーク・ヤンキースNYYが、ソリアーノ獲得意思を表明、1998年9月広島カープに移籍金310万ドル(約3億1千万円)を支払って、ソリアーノを獲得したのです。ソリアーノ22歳の時でした。

 NPBの年棒450万円の1軍半プレーヤーをMLBのNYYが3億円で獲得するというのも、滅多に見られない話です。NYYはソリアーノ選手の才能を見抜いたとしか言いようが無いのですが、広島球団側も保有権を有しているとはいえ、ドミニカに帰ってしまっているプレーヤーですから、育成費用を勘案しても悪くない話だったのでしょう。

[ふたつ目の不思議]

 NYYに移ったソリアーノ選手は、翌1999年は2A、2000年は3Aと、マイナーリーグを中心にプレーしました。メジャーでも少しプレーしたのですが、NPB時代からの欠点である「守備の下手さ」、特にスローイングの拙さがネックとなり、メジャーへの定着は難しいと見られていました。

 ところが、2001年の春、ヤンキースの正二塁手だったノブロック選手が故障したため、守備には眼を瞑ってソリアーノ選手が使われることになったのです。25歳の2001年シーズン、ソリアーノは158試合に出場し、打率.268、18本塁打、73打点と活躍、特に43盗塁はリーグ3位の好成績でした。ルーキーとして、素晴らしい働きを見せたのです。
 この年のアメリカンリーグAL新人王の投票でも、イチロー、CCサバシアに次いで3位でした。

 翌2002年シーズンは、209安打、打率.300、39本塁打、102打点、128得点、41盗塁、と大活躍。安打数と得点はAL1位。本塁打が惜しくも40本に達しなかったために「40・40」は逃しましたが、ゆうゆうと「30・30」を達成。押しも押されもせぬヤンキースの中軸選手に成長したのです。

 2002年にもなると、イチロー選手もMLBで活躍し、他の複数の日本人選手もメジャー入りしていましたから、ヤンキースのソリアーノ選手の活躍も度々眼にしました。身長185cmとそれほど小さくは無い体格なのですが、細身の体を折り曲げて打席に入りますので、大きさを感じさせません。アッパースイングで、いつもブンブン振り回し、当たればホームランという感じ。「打球がよく飛ぶ」という印象でした。

 続く2003年シーズンも、38本塁打・35盗塁と2年連続の「30・30」を達成。1番バッターでの出場が多かったのですが、先頭打者本塁打が13本とMLB記録を樹立しました。1番打者が30本塁打以上というと、あの阪神タイガースの真弓選手のようですが、この頃のヤンキースはソリアーノの本塁打で局面を打開していた試合が多かったと思います。チーム内の本塁打数比較でも、一番多かったのがジェイソン・ジオンビ選手の41本で、ソリアーノは2番目でした。
 尚2003年は、松井秀喜選手のヤンキースデビューの年ですが、松井選手の本塁打は16本でした。

 さて、広島カープ時代に、17打数2安打、0本塁打の選手が、ヤンキースでは毎年のように30本塁打を放つというのは、とても不思議な感じです。
 そして、もっと不思議なのが2年連続「30・30」です。リーグ屈指の盗塁記録を続けていることです。何故かというと、広島カープ時代には、足が遅いことで有名で、あだ名が「ロバ」だったのです。

 広島時代の「打てない・走れない」プレーヤーというのが、本気を出していなかった結果かどうかは判りませんが、とにかくヤンキーススカウトの眼力には恐れ入ります。

[三つ目の不思議]

 メジャー史上5人目の「30・30」を達成し、押しも押されもせぬNYYの中軸選手となったソリアーノでしたが、翌2004年あっさりとテキサス・レンジャーズにトレードされてしまいます。28歳でした。
 テキサス・レンジャーズの中心選手にして、2001~2003年3年連続AL本塁打王だったアレックス・ロドリゲス(Aロッド)のNYY移籍に巻き込まれたのです。

 常にクリーンアップを打ち、ショートストップのAロッドと、1・2番を打ちセカンドベースを守るソリアーノですから、Aロッドを獲得したからといって、ソリアーノが出なければならない理由は無く、NYYのチーム創りの観点からも、ソリアーノを残したほうが良いように思ったのですが、何かの弾みのように移籍話が決まってしまいました。

 確かに三振が多いという点はありましたが、素行に問題があるとか、故障がちといったこともなく、これだけの実績を積んでいるプレーヤーが放出されたのは、不思議なことでした。

[四つ目の不思議]

 テキサス・レンジャーズに在籍した2004~2005年の2シーズンも、ソリアーノ選手は活躍を続けました。
 2004年のMLBオールスターゲームでは、ファン投票トップで選出され、大活躍してMVPを獲得。2005年には、36本塁打、30盗塁で3度目の「30・30」を成し遂げました。

 そして、2006年シーズン、打撃強化が必須だったワシントン・ナショナルズとテキサスとの間で3対1のトレードが成立、ソリアーノ選手はワシントンに移籍したのです。ソリアーノひとり対ワシントンのメジャーリーガー・投手1人、外野手2人の交換トレードでしたから、ナショナルズの期待の大きさが解ります。

 移籍当初、二塁手から外野手へのコンバートを嫌がったソリアーノ選手でしたが、納得して2006年シーズンも大活躍、46本塁打・41盗塁を達成し、ついに「40・40」クラブ入りを果たしました。素晴らしい成績です。
 しかしながら、シーズン終了後の契約更改で揉めて、シカゴ・カブスに移籍しました。8年総額1億3600万ドル(約136億円)という、MLB史上5番目の超大型契約でした。MLBを代表するプレーヤーでなければ、到底結ばれることが無いレベルの契約でしょう。

 2007~2012年の6年間も、ソリアーノ選手はカブスで安定した成績を残しました。さすがに、時々故障するようになりましたが、シーズン100ゲーム以上は出場し、20本塁打以上は確保(2012年シーズンは32本)しています。
 一方で盗塁は激減。2009年以降は、シーズン一桁に留まるようになりました。やはり、年齢には勝てない、というのが近時の印象だったのです。

 ところが、2013年7月26日、ヤンキースは37歳になったソリアーノ選手の獲得を発表しました。
 2004年に放出したプレーヤーを10年振りに獲得するというのも、不思議なことです。
 そして、Aロッドやタシャエラの故障により、長打力が不足したヤンキースのお助けマンとして戻ってきたのですから、皮肉なこととも言えます。

 さて、アルフォンソ・ソリアーノ選手に関する四つの不思議を見てきました。

 現在ソリアーノ選手は、AL東地区4位に喘ぐNYYの、主に2番打者として頑張っています。以前NYYに居た頃の迫力・スピードには、さすがに衰えが見られますが、それでも移籍後2本のホームランを打ち、カブスでの成績と合わせると今季19本塁打です。まだまだスラッガーとして活躍しているのです。

 私は、このタイプのプレーヤーが気に入っています。メジャー15年目、大きな怪我・故障による長期の戦線離脱も無く、ここまで1800試合以上に出場し、2000本のヒットを打ち、390本を越える本塁打を放って、290個以上の盗塁をしている。MLBオールスターゲームにも7回出場しMVPも獲得している、文字通りのスーパープレーヤーです。

 ソリアーノ選手が、2004年以降もあのままヤンキースでプレーしていたら、どうだったろうかと考えます。確かに、二塁手はロビンソン・カノー選手に譲ったでしょう。きっと外野にコンバートされています。
 そして、ジェイソン・ジオンビやゲーリー・シェフィールド、Aロッドやフォルヘ・ポサダ、松井秀喜、マーク・タシャエラ、カノー、カーティス・グランダーソンらとともに、シーズン30本塁打メンバーとして、ヤンキースの勝利に貢献し続けたのではないか、と考えてしまいます。

 持ち味であった「想像を超えるプレー」は中々見られなくなってしまったアルフォンソ・ソリアーノ選手ですが、プレーヤーとして最後の所属チームになりそうなニューヨーク・ヤンキースでの活躍から眼が離せません。
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