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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム70] 涙を流すタケシバオー号
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 1969年・昭和45年のスプリンターズステークス1200mと天皇賞(春)3200mとの両方に優勝したのが、タケシバオーです。スプリンターズSはレコード勝ちでした。

 1969年の東京新聞杯「ダート」2100mをレコード(6馬身差)で制し、オープン競走「芝」1600mをやはりレコード勝ち(9馬身差)したのもタケシバオーです。

 1969年のジュライステークス芝1800m・不良馬場を65kgの負担重量で勝ったのもタケシバオーです。

 上記の3項目のレースの間、タケシバオーは8連勝、内4勝がレコード勝ち、内6戦が60kg以上の負担重量でした。
 距離・芝とダート・良馬場と不良馬場、負担重量といった、様々な条件に対して全て対応し好成績を残した「究極のオールラウンダー」がタケシバオーであったと思います。

 タケシバオー号、父チャイナロック、母タカツナミ、生涯成績29戦16勝2着10回(海外レース・ワシントンDCインターナショナルの2戦0勝を含む)。

 1967年2歳時には、朝日杯3歳ステークスを7馬身差で圧勝し、1968年の3歳クラシック路線の主役に躍り出ました。
 1968年は、タケシバオー、アサカオー、マーチスが3強と呼ばれた年でした。タケシバオーは、皐月賞でマーチスの2着、日本ダービーでタニノハローモアにまんまと逃げ切られて2着、アサカオーが勝った菊花賞には出走しませんでした。(ワシントンDCインターナショナル競走に出走したため)

 こうして、3歳時には主役になりきれなかったタケシバオーでしたが、1969年4歳となり本格化、頭書の素晴らしい成績を挙げたのです。
 この4歳時の強さは圧巻でした。「怪物」と呼ばれ、「負担重量100kgでも勝てる」といった無責任?な話も報じられました。確かに、500kg前後の雄大な馬体から繰り出されるフットワークの力強さは、群を抜いていたと思います。

 ちなみに、タケシバオーの後「怪物」と呼ばれたのはハイセイコー号でした。1973年のクラシック戦線で活躍したハイセイコーも520kg前後の馬体重で、雄大なフットワークを魅せました。ハイセイコー出現後は、タケシバオーは「元祖怪物」と呼ばれました。この2頭のサラブレッドは、とても人気がありました。誰が見ても分かる大きな馬体で、その強さ・話題性も十分でした。
 1968年~1973年・昭和43年~昭和48年という「日本の高度成長期=我が国がとても元気だった時代」に登場した2頭のスターホース、タケシバオーとハイセイコーの中央競馬発展に対する貢献度合いは、絶大であったと思います。

 このタケシバオーとハイセイコーは、ともに父がチャイナロックです。ハイペリオン系のチャイナロックは当時から良血とは言われませんでしたが、丈夫で良く走る産駒を数多く出しました。特に、ダート馬場に強い馬が多かったので、地方競馬ではチャイナロック産駒が大活躍しました。
 タケシバオーとハイセイコーという、戦後中央競馬史上屈指の人気馬を輩出したという点で、チャイナロックは偉大な種牡馬でしょう。

 それにしても、ダートで抜群に強いタケシバオーの海外挑戦レースが2戦とも、アメリカでは珍しい芝のG1レースであるワシントンDCインターナショナル競走であったのは、今でも不思議な感じがします。
アメリカのダートG1レースに挑戦する選択は無かったものかと思います。

 さて、以前のブログにも書きましたが、今から30年ほど前、中央競馬を彩り競走馬を引退したサラブレッドを訪問する旅に出ました。8月の夏休みに友人と北海道に出かけたのです。
 当時18歳位であったタケシバオーにも会いに行きました。種牡馬になって後も、ハツシバオー、ドウカンヤシマ、ドウカンタケシバ等の活躍馬を出し、内国産種牡馬のエースと言われていましたし、バリバリの現役種牡馬かと思い訪問したのですが、正直に言って大切にされているようには見えませんでした。

 放牧場から少し離れたところにある、サラブレッド1頭がやっと入れる位の古ぼけた小さな木屋に、タケシバオーは居ました。「ファンの人が尋ねてきたのは久しぶり」と牧場の方は言っていました。
 話し掛けながら、お土産?の屑人参を掌に乗せて上げると、美味しそうに食べてくれます。その内に涙を流し始めました。涙を流しながら、屑人参を食べ続けました。
 普通、種牡馬になれば体が大きくなるのですが、タケシバオーはひとまわり小さくなったように見えたものです。

 タケシバオーは、悲しかったのか、嬉しかったのか、と後で友人と語り合いました。久しぶりの来訪者で、喜んでいたのだろうという結論になりました。
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涙を流しながら人参を食べるタケシバオー  
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