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HOME   »   大相撲  »  [大相撲] 2013年9月場所を振り返って
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 9月場所は、29日に千秋楽を迎え、横綱白鵬の27回目の優勝で幕を閉じました。白鵬自身2度目の4連覇であり、一時期縮まったかに見えた白鵬と他の力士の力量差が再び拡大していることを示す結果となりました。

 白鵬関の相撲内容に付いて見れば、以前のように立会いから下手を取り、上手も確保して前に出て寄り切る、あるいは押し出すといった決まり手は影を潜めています。前に出る圧力が減少したというよりは、他の力士とのバランスから、白鵬の前に出る力・技術が他を圧する状況には無いということでしょう。

 その代わり、土俵中央で四つになった段階から、白鵬は様々な技を矢継ぎ早に繰り出し、相手力士の重心を崩して、投げ技などで仕留める、あるいは土俵際に追い込む、といった取り口が増えています。この連続技の展開力・スピードが、他の力士の追随を許さないもので、これにより他力士との差を拡大したように思います。

 今場所、唯一白鵬関に土を付けた豪栄道関の取り口は、対白鵬対策の最有力手法だと思います。白鵬に落ち着く間を与えず、白鵬の重心が浮いた所を一気に押し出すという形です。白鵬に比較的強い稀勢の里関も、こうした取り口で成果を上げています。

 体格で観れば、横綱白鵬の弱点は「体重が少ないこと=軽量であること」です。白鵬の体格は身長193cm・体重151kg。体重の151kgは幕内力士の平均159kgを大幅に下回っています。横綱・大関では、日馬富士の135kgよりは重いのですが、鶴竜の150kgとほぼ同じ、稀勢の里や琴奨菊の180kg前後から見ると30kg前後軽いのです。

 この体重差を技術でカバーしているのが、横綱白鵬の相撲だといえます。9月場所の豪栄道の取り口は、158kgある豪栄道自身より軽い横綱に「腰が落ち着く」瞬間を与えず、押し出すという形でした。これは、他の力士にも十分に参考になるものだと思います。

 とはいえ、長身・軽量は白鵬関自身が十分に認識しているところですので、その対策も十分に用意されていて、実践されています。ですから27回も優勝できるわけです。

 白鵬と対戦した力士のコメントに「押す力が吸収されているようだ」というのを良く聞きますが、白鵬の上半身の柔軟性と、「構え」の良さが現れているコメントだと思います。そういえば、横綱大鵬にも同じようなコメントがありました。「当たるとゴムマリのように柔らかい」と。

 大鵬も白鵬も、体格ではなく柔軟性と「構え」で、相手力士の衝撃を吸収するのでしょう。であれば、その「構え」に成る前、あるいは「構え」に入らせないという工夫が必要ということになります。
 重心が落ち着く前の段階で相撲を取ったときの白鵬関は、軽量が表に出て、寄りや押しの効果がありますし、十分に勝ち負けの勝負ができると思います。

 もちろん、そんなチャンスは滅多にないのでしょうが、例えば、立ち遅れた時に白鵬が時折見せる「とったり」の瞬間などは、そのチャンスのひとつだと思います。栃煌山などは、何度もこの「とったり」の餌食になっていますが、「とったり」を掛けている瞬間の白鵬の体勢は、決して安定したものではないように観えます。この瞬間に、白鵬より低い位置に重心を持って来られれば、チャンスが拡大するのではないでしょうか。

 さて、9月場所のまとめに戻ります。

 前述の豪栄道関は11勝4敗と健闘しました。1横綱3大関を倒して、殊勲賞にも輝いたのです。
 豪栄道も従前は、立会いで遅れを取ると慌てて首投げに行くといった取り口が目立ったものですが、今場所は立会いの踏み込みが良く、後手を踏むことが少なかったことと、不十分な体勢での粘り強い対応が出てきました。前捌きが上手いことが長所であり短所だった力士ですが、一皮剥けたというところでしょうか。
 横綱白鵬戦で見せた「前に出る力・勢い」を一層磨けば、大関取りに大きく前進できると思います。

 新入幕の遠藤関は、期待に違わぬ活躍を見せました。特に、旭天鵬戦で見せた土俵中央での投げは、横綱・大関が見せる投げのような迫力と上手さを感じました。幕内の立会いのスピードと当たりの強さに慣れてくれば、すぐに三役並みの相撲が取れると思います。
 加えて、遠藤の人気は凄まじいものがありました。幕内力士の土俵入りの時、取組前に通路を歩いて館内に現れた時、そして土俵に上がった時、場内は大歓声に包まれます。国技館で目の当たりにしましたが、現時点でも全力士中最も大きな歓声を集めています。既に、魁皇関や高見盛関に匹敵しているとも感じました。
 プロプレーヤーとして、十分な存在感を示していますし、相撲協会にとっては宝物といえます。14日目からの休場は、とても残念でしたが、キッチリ直してもらいたいものです。来場所の幕の内上位での活躍がとても楽しみです。

 9月場所のまとめは以上です。

 詳しくコメントできませんでしたが、今場所持ち味を発揮できなかった日馬富士関や稀勢の里関、栃煌山関の巻き返しにも、大いに期待しています。
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