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HOME   »   ボクシング・レスリング  »  [プロボクシング] 世界チャンピオンが多過ぎないか
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 アマチュアボクシングの最高峰のタイトルがオリンピックチャンピオンであれば、プロボクシングの最高峰は世界チャンピオンということになります。

 我が国にも、現在10人の世界チャンピオンが居ます。一時期減少した日本の世界チャンピオン数は増加に転じていて、10人というのは同時期の王者数としては過去最多ではないかと思います。

 では、日本のプロボクシング界が隆盛を極めているかというと、そういう雰囲気もありません。
 1950年代の白井義男(フライ級)、1960年代のファイティング原田(フライ級・バンタム級)、藤猛(スーパーライト級)、小林弘(スーパーフェザー級)、1970年代の大場政夫(フライ級)、輪島功一(スーパーウェルター級)、ガッツ石松(ライト級)、具志堅用高(ライトフライ級)、1990年代の薬師寺保栄(バンタム級)、2000年代の長谷川穂積(バンタム級、フェザー級)といったチャンピオンが活躍していた時代の方が、ボクシング人気は高かったと感じます。

 色々な要因があるのでしょうが、「世界チャンピオンが多過ぎる」ことも、ボクシング人気に影響を与えているのではないでしょうか。

 現在、メジャーな世界タイトル認定機関・団体は4つあるとされています。設立順に並べます。

・ WBA世界ボクシング協会(1921年設立、本部はパナマ)
・ WBC世界ボクシング評議会(1963年、メキシコ)
・ IBF国際ボクシング連盟(1983年、アメリカ)
・ WBO世界ボクシング機構(1988年、プエルトリコ)

 そして、階級はというと、体重が重い方から、ヘビー級・クルーザー級・ライトヘビー級・スーパーミドル級、ミドル級・スーパーウェルター級・ウェルター級・スーパーライト級・ライト級・スーパーフェザー級・フェザー級・スーパーバンタム級・バンタム級・スーパーフライ級・フライ級・ライトフライ級・ミニマム級、の17階級です。

 単純に見れば、最大4選定機関×17階級=68人の世界チャンピオンが存在し得ることになります。もちろん、実際には1人で複数のタイトルを保持しているボクサーが居ますので、チャンピオンの数は68人よりは少ないのですけれども。

 それにしても、もの凄い数です。

 1970年頃までは、WBAとWBCの2つの団体しかなく、階級も8階級くらいだったと思いますから、世界チャンピオンは最大16人だったのです。随分と増えたものだと思います。悪い言い方をすれば「粗製濫造」でしょう。

 興行的に「世界タイトルマッチ」と銘打てば、集客力も高く、テレビ放送の視聴率も稼げるということなのでしょうが、世界タイトル・世界チャンピオンの価値が下がっていることも事実です。
 ファンは、その試合が世界タイトルマッチに相応しいレベルの試合であるか、世界チャンピオンに相応しいボクサーであるかを、直ぐに見抜きます。素晴らしいスピード・技術を擁し、驚くべき闘争心を持って、戦い続けることができるボクサーかどうかを肌感覚で即座に判断するのです。
 そのレベルに達しない「世界タイトルマッチ」を連続して見せられれば、リングから足が遠のいて行くのは道理です。

 こうした問題は当然ながら、ボクシングに限ったことではありません。例えば、ベースボールのMLBやアメリカンフットボールのNFLでも、時代を追うごとにチーム数が増加してきました。イクスパンションなどと呼ばれましたが、その都度議論が巻き起こりました。
 「チーム数を増やすと、プレーのレベルが下がるのではないか」「メジャーリーガーの質が低下する」といった意見が、プレーヤー・ファン・マスコミ・関係者等々から出されたのです。

 より多くのファンを獲得し、より多くの売り上げ・利益を上げようとする動き=チーム数を増やそうとする動きと、プレーの質の維持を図ろうとする動きの、ギリギリの接点でチーム数・選手数が決められていくのでしょう。
 そして、チーム数を決めていく物差し・基準は、詰まるところ「市場原理」、ファンが支持する・満足するレベルのプレーを提供することができるか否かにかかっているのです。

 単純な例ですが、20チームで1チーム平均年間100万人の観客を動員するとすれば、リーグ全体の観客動員数は年間2,000万人。同様に、30チームで1チーム平均60万人とすれば、リーグ全体の動員数は1,800万人となりますから、チーム数を増やさないほうがリーグ全体としての観客動員数が多いことになります。
 
 「あんなレベルのプレーは、つまらない」と感じられるようになるまで、別の言い方をすれば「損益分岐点」を超えてチーム数・プレーヤー数を増やすことは、プロスポーツとしては回避しなくてはならないのでしょう。

 現在のプロボクシングの世界チャンピオン数は、この損益分岐点より多いように感じるのです。

 日本のボクシング界を率いているJBC日本ボクシングコミッション(1952年設立)は、この点では立派な対応を続けてきていると思います。
 JBCは、世界の主要なプロボクシング参加国を代表する組織の中で、IBFとWBOを認定したのが最も遅い組織でしょう。JBCがこうした対応を続けてきたのは「団体の乱立は好ましくない」という姿勢を貫いてきたためです。

 そのJBCも、ついに2011年2月に、世界王座戦に限ってIBFとWBOの試合が行われることを認めました。まだ、「団体」として正式には認めてはいないと認識していますが、JBCが認定しているWBAやWBCの世界チャンピオンとIBFやWBOのチャンピオンが「統一戦」などと銘打って試合を行うことが増えたことと、WBAやWBC自体が階級を増やして、世界チャンピオンの数を増やし続けていることが、JBC方針変更の原因だといわれています。
 歴史と伝統を誇るWBAとWBCも「世界チャンピオン濫造」の流れには、抗し得なかったということでしょうか。

 JBCには「団体の乱立は好ましくない」という素晴らしい理念を堅持していただき、引き続き「世界ボクシング界の良識」としての役割を果たし続けていただきたいと思います。

 前述の我が国におけるプロボクシング全盛期の世界チャンピオンを観ると、1960年代・1970年代に集中しています。1983年のIBF設立、1988年のWBO設立の以前というのは、偶然でしょうか。

 そして、現在の世界タイトルマッチでは「5階級制覇なるか」といった文字が踊ります。団体が4つもあり、これだけ細分化された階級制における「5階級制覇」の価値とは、どれほどのものなのでしょう。

 階級が現在ほど多くなかった時代、ファイティング原田は日本人ボクサーとして初めて2階級、フライ級とバンタム級の世界チャンピオンとなり、3階級目のフェザー級王座をも狙って、1969年にチャンピオンのジョニー・ファメション(オーストラリア)に挑戦しました。

 この試合で原田は、確か2~3度のダウンを奪い、KO勝ちかと思われましたが、レフェリーのカウントがとても遅く(カウントを途中で止めてファメションを立たせていたという見方もあります)、判定へと持ち込まれました。この判定も、原田の圧勝かと思われましたが、なんとレフェリーは判定のポイントを確認することも無く、両選手の腕を挙げました。引き分けとしたのです。不可解というか、レフェリーが買収されていたのか、よほどチャンピオンを勝たせたかったのか、よく分かりませんが、とにかく酷い試合でした。地元オーストラリアのファンも大ブーイングを送っていました。しかし、判定は覆らず、ファイティング原田は抗議することも無くリングを去りました。

 この試合を思い出すと、今でも少し頭にくるので、話が逸れてしまいましたが、このファイティング原田の2階級制覇と、現在叫ばれる3~5階級制覇の価値を比較すれば、階級も少なく、WBAとWBCしかなかった時代に、フライ級→バンタム級→フェザー級という、約6.5kgの体重差に挑み、パンチを繰り出し続けたボクサー・ファイティング原田の偉大さが際立つと思います。
 
 最古の団体WBAは、1998年に「歴史的に議論なきチャンピオン」を各階級で選出しています。

・ ライトフライ級 具志堅用高
・ フライ級 パスカル・ペレス(アルゼンチン)
・ バンタム級 エデル・ジョフレ(ブラジル)
・ フェザー級 エウゼビオ・ペドロサ(パナマ)
・ ライト級 ロベルト・デュラン(パナマ)
・ ウェルター級 シュガー・レイ・ロビンソン(アメリカ)
・ スーパーウェルター級 トーマス・ハーンズ(アメリカ)
・ ミドル級 カルロス・モンソン(アルゼンチン)
・ スーパーミドル級 シュガー・レイ・レナード(アメリカ)
・ ライトヘビー級 バージル・ヒル(アメリカ)
・ ヘビー級 モハメド・アリ(アメリカ)

 といったボクサー達です。名前を聞いただけで、試合のシーンと感動が思い起こされる、素晴らしいボクサー達です。つまり、とても印象に残るファイトを繰り広げることができる=極めて高い技術と体力を持ち、個性的なファイトを魅せることができる、ボクサーが並んでいるのです。

 現在も、素晴らしいボクサーは沢山います。この素晴らしいボクサー達を、変なマッチメイクで汚すことが無いように、そして今後も歴史に残るボクサーが生まれてくるような組織面・興行面の整備が必要な時代が、既に来ていると思います。
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