FC2ブログ
HOME   »   競馬  »  [競馬コラム74] 「ザ・ステイヤー」 グリーングラス号
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加
 今年も菊花賞の季節がやってきました。京都・淀の京都競馬場3000mコースで行われる、クラシックレース最終戦「菊花賞」は、その名前を聞いただけで、様々なシーンが思い出される素晴らしいレースです。

 中でも1976年・昭和51年の菊花賞競走は、当時の最強世代のレースでもあり、TTG三強が生まれたとされるレースでもありました。

 インターメゾという、イギリスのクラシック競走であり菊花賞のモデルとなったセントレジャー競走を制している名ステイヤーを父に持つ、グリーングラスは、1976年1月・3歳の1月の新馬戦、遅いデビューを果たしましたが4着に敗れました。このレースの1着馬がトウショウボーイなのですから、運命というのは中々洒落たことをします。

 3月の未勝利戦をようやく勝ち上がりましたが、5月のNHK杯で12着と大敗し、春のクラシック路線には間に合いませんでした。
 この年の春のクラシック競走は、皐月賞をトウショウボーイが5馬身差で圧勝し、日本ダービーはクライムカイザーが、鞍上・加賀武見の乾坤一擲の騎乗もあってトウショウボーイを抑えて優勝しました。関西の期待・テンポイントは、皐月賞2着、日本ダービー7着と結果を残せませんでした。

 そして迎えた秋シーズンは、神戸新聞杯・京都新聞杯とトウショウボーイが連勝し、絶好調を伝えられました。一方で、トウショウボーイは父テスコボーイの血統から「中距離馬」ではないかとの見方もあって、日本ダービーでトウショウボーイに勝っているクライムカイザーの人気も高く、菊花賞ではこの2頭が中央競馬会お墨付きの本命馬が受ける「単枠指定馬*」となりました。(*当時は枠番連勝馬券しかなく、馬番馬券が存在しませんでしたので、超人気馬を1枠1頭とする制度)
 つまり、この段階では「トウショウボーイ・クライムカイザーの二強」あるいは「トウショウボーイ一強」の菊花賞と見られていたのです。

 テンポイントは、10月17日の京都大章典で古馬を相手に3着と健闘しましたが、トウショウボーイの大活躍とは比べるべくもありませんでした。

 グリーングラスはというと、7月・10月の特別競走を勝ち切れず、10月24日の鹿島灘特別でようやく1着となって、獲得賞金額で21頭立ての21番目にギリギリ滑り込み、菊花賞に臨むこととなりました。ここまで9戦3勝ながら重賞勝ちも無く、菊花賞で好走するとは到底思えませんでした。

 そして、11月14日の菊花賞本番。

 レースはトウショウボーイとクライムカイザーの単枠指定馬2頭が好位置に付け、最後の直線。馬場の内側でトウショウボーイもクライムカイザーも伸び悩む中、馬場の中央からテンポイントが伸びてきます。

 しかし、この時馬場の内ラチ沿いを1頭の黒鹿毛馬も伸びてきていました。グリーングラスでした。テンポイントとグリーングラスは、残り100mで並んでいましたが、この後グリーングラスが差を広げ、ゴールでは2と1/2馬身差をつけて快勝しました。
 1着グリーングラス、2着テンポイント、そこから2と1/2馬身差で3着トウショウボーイ、5着クライムカイザーという結果でした。

 この菊花賞をTTG三強による最初のレースとする見方がありますが、それは結果論でしょう。前述のように、レース前は三強などという人は皆無でしたし、このレースで1~3着を占めたとはいえ、今後もこの3頭のレースが続くと見た人も、ほとんど居なかったと思います。

 有馬記念や天皇賞(春)、宝塚記念など、この後に続いたレースにおける3頭の戦い振りと他の馬達との力の差を見て、次第にTTG三強という概念が出来上がっていったのです。一般的な三強のように、トライアルレースの成績を踏まえて、大レース前に三強概念が形作られるケースとは異なるでしょう。

 さて、その年の有馬記念は1着トウショウボーイ、2着テンポイントとなり、グリーングラスは出走しませんでした。

 明けて1977年・4歳、グリーングラスは天皇賞(春)を目指してローテーションを組み、挑戦しましたが、テンポイントの4着と完敗。トウショウボーイは出走しませんでした。
 
 そして6月の宝塚記念。このレースは1着トウショウボーイ、2着テンポイント、3着グリーングラス。4着のアイフルとの差が6馬身も付いたので、ようやく三強の形が出来てきました。

 天皇賞(秋)(当時は3200m)で、グリーングラスは再び5着に敗れ、圧倒的1番人気のトウショウボーイは7着に大敗しました。

 迎えて、1977年の有馬記念、テンポイントが優勝し、2着にトウショウボーイ、3着グリーングラスと、私はこの時にTTG三強を認識しました。有馬記念で2年連続同じ馬達が1~3着を占めるのは、とても珍しいことです。

 翌1978年、5歳となったグリーングラスはようやく天皇賞(春)を制しました。トウショウボーイは引退し、テンポイントはレース中の事故で安楽死処分となっていましたから、既に三強の時代は終わっていましたが、晩成のグリーングラスにとっては、これからが活躍の時という感じでした。

 しかし、この後グリーングラスが輝いたのは、翌1979年の有馬記念だけでした。内ラチ一杯を走って逃げ込みを図り、メジロファントムの追い上げをハナ差凌いだのです。この時は、残り100mで完全に交わされると思いましたが、坂を上りきってから良く粘りました。
 6歳の暮れになって、ようやくトウショウボーイ、テンポイントと同じ有馬記念を勝ち、これも同じく年度代表馬に輝きました。
 これで同一世代馬による3度目の有馬制覇となりましたので、この世代が当時の最強世代と認識されるに至り、TTG三強が確立されたのです。

 グリーングラス号、父インターメゾ、母ダーリングヒメ、母の父ニンバス。ニンバスは、あの世界競馬史上最強馬との呼び声も高いネアルコの直仔です。通算成績26戦8勝。勝った重賞5勝は全て2400m以上と、我が国では珍しい?生粋の強いステイヤーの1頭です。

 競走馬を引退したばかりのグリーングラスを、北海道の牧場に訪ねました。どこの牧場に居るのか分からず(1980年当時はインターネットも無く、そうした情報が十分ではありませんでした)、自動車で牧場地帯を走っていましたが、遠くにとても強いオーラを放つ馬が見えました。「ただ者ではない」と車を降り向かいました。グリーングラスでした。
 おそらく引退後1~2年後の夏だったと思いますが、キ高が170cm位あり、黒光りする馬体の雄大で美しいこと。圧倒される迫力でした。

 近づくと「後ろに立たないで」と牧場の人に注意されました。「蹴られたら、足の骨が折れるくらいじゃ済まないよ」と。

 「今でも現役で走れそうだね」と友人と話しました。
関連記事
スポンサーサイト



NEXT Entry
[MLB] さらば マリアノ・リベラ
NEW Topics
[競馬(無観客)] 東京優駿(日本ダービー)2020の注目馬
[温故知新2020-女子テニス1] 「史上最強」 マーガレット・コート選手
[温故知新2020-男子テニス3] ダブルスの名手 ジョン・ニューカム選手
[温故知新2020-陸上競技3] 男子10,000m オリンピック金メダリストの記録
[温故知新2020-競泳2] 男子1,500m自由形 日本チームの全盛期
[温故知新2020-競泳1] 男子100m自由形 日本チームの黄金時代
[FIFAワールドカップ2010準々決勝] ドイツチームの完勝
[温故知新2020-男子テニス2] 「史上最強」 ロッド・レーバー選手
[競馬(無観客)] 優駿牝馬(オークス)2020の注目馬
[温故知新2020-陸上競技2] 男子1,500m オリンピック金メダリストの記録
[温故知新2020-陸上競技1] 男子100m オリンピック金メダリストの記録
[ラグビーワールドカップ2011プールA] 日本チーム フランスチームを相手に65分まで4点差の健闘
[温故知新2020男子テニス-1] ウィンブルドンを勝てなかった イワン・レンドル選手
[競馬コラム268・ヴィクトリアマイル2020] 感動的なレース
[FIFAワールドカップ1986決勝] アルゼンチンチーム 2度目の優勝
[競馬(無観客)] ヴィクトリアマイル2020の注目馬
[NPB・MLB2020] 「開幕」に向けての動き
[ブンデスリーガ2019~20] 無観客での再開へ
[競馬コラム267-日本馬の海外挑戦12] 2009年 牝馬の挑戦
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] ブラジルチーム 貫録の勝利
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] 日本チーム 史上初のPK戦
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] ランパード選手 「幻」のゴール
[Jリーグ2020] イニエスタ選手のオンライントークショー
[競馬(無観客)] NHKマイルカップ2020の注目馬
[NBA2020] 個人トレーニング再開に向けての動き
[UEFA-EURO2012-グループD] イングランドとフランスの激突
[競馬コラム266-天皇賞(春)2020] フィエールマンの連覇とC.ルメール騎手の天皇賞4連勝
[UEFA-EURO2012-グループB] ポルトガル デンマークとの接戦を制す
[競馬コラム265・下鴨ステークス2020] スズカルパン 100戦出走達成!
[UEFA-EURO2012-グループA] 開幕戦 ギリシャチーム 驚異の粘り
[UEFA-EURO2012-グループD] フランスチームの堅守
[競馬(無観客)] 天皇賞(春)2020の注目馬
[UEFA-EURO2012-グループC] イタリアとクロアチア 一歩も引かず
[競馬コラム264-日本馬の海外挑戦11] 2007年 シンガポール競馬への進出
[UEFA-EURO2012準々決勝] クリスティアーノ・ロナウドVSチェフ
[競馬コラム263-日本馬の海外挑戦10] 2006年 ハーツクライとデルタブルース
[スーペルコパ2020準決勝] FCバルセロナ よもやの敗退
[UEFA-EURO2012準決勝] 「怪物」バロテッリ選手の2ゴール
[マラソン2020] 「心臓破りの丘」 山田敬蔵氏 逝去
[競馬コラム262-日本馬の海外挑戦-9] 2005年 ゼンノロブロイとハットトリック
[MLB2020・MVPランキング] バリー・ボンズ選手の凄さ
[フィギュアスケート2020春・世界ランキング] 羽生選手、紀平選手が共に1位
[NPB2020] 菅野智之投手 超絶の仕上がり
[高校野球2020] 花巻東高校 女子野球部が練習開始
[大相撲2020] 豊ノ島の引退
[UEFA-EURO2008決勝] スペインチーム 黄金時代の幕開け
[UEFA-EURO1976準決勝] 降りしきる オランダチームの涙雨
[競馬(無観客)] 皐月賞2020の注目馬
[UEFA-EURO1984準決勝] フランスチーム ポルトガルチームとの「死闘」を制す
[NPB2020] 関根順三氏 逝去
Entry TAG
まさにステイヤー・グリーングラス号  
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
「スポーツを考える-KaZ」ブログへ
ようこそ!
我が家の月下美人も16年目。同時に30個の花が咲くこともあります。スポーツも花盛りですね。一緒に楽しみましょう。

最新記事
最新コメント
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Page Top
CALENDaR 12345678910111213141516171819202122232425262728293031