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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム78] 史上初の天皇賞2勝馬 タマモクロス号
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 オールド競馬ファンにとっては、天皇賞は「勝ち抜け制」のレースでした。

 春であろうが秋であろうが、「天皇賞を1度勝った馬は、続く天皇賞に出走できない」ルールだったのです。
 最高格式であり、かつ「天皇楯」を一度手にした馬が、続く天皇賞レースで無様な走りを見せることが許されなかったのです。天皇賞の格の高さを示す制度でした。

 「勝ち抜け制」自体は、なにも天皇賞に限ったものではなく、例えば毎日王冠競走も1950年の第一回から第五回までは勝ち抜き制で実施されていましたし、中山大障害競走も1950年まで勝ち抜き制でした。しかし、天皇賞ほど長い間勝ち抜き制を維持したレースは、他にはありません。

 ハクリョウ、メイジヒカリ、シンザンといった名馬達も勝ち抜け制により、天皇賞は春か秋のどちらかのレースで1勝しかしていません。

 1937年から続いていた、天皇賞の勝ち抜け制が廃止されたのは1980年でした。

 さて、勝ち抜け制が廃止となったのだから、天皇賞を2度制する馬が直ぐに出現すると考えていましたが、これが中々そうは問屋が卸しませんでした。
 三冠馬シンボリルドルフやミスターシービー、アンバーシャダイやホウヨウボーイといった優駿達が挑みましたが、天皇賞2勝馬は生まれませんでした。1984年から天皇賞(秋)の距離が3200mから2000mに短縮されたことも影響したかもしれません。中距離のスペシャリストも出走してくるようになったためです。

 こうした状況下、1988年についに天皇賞2勝馬が誕生しました。タマモクロスです。タマモクロスは4歳時の天皇賞(春)と天皇賞(秋)を連覇しました。正直に言って、春→春か秋→秋の2勝馬が出るのではないかと考えていましたので、最初の天皇賞2勝馬が3200mと2000mの両レースを制する形であり、同一年に2勝したことは、意外でした。

 タマモクロス号、父シービークロス、母グリーンシャトー、母の父シャトーゲイ、通算成績18戦9勝。

 3歳の春、タマモクロスの成績は良くありませんでした。もともとデビューが3歳の3月と遅れたこともありましたが、新馬戦を勝ちあがることが出来ず、3戦目の未勝利戦でようやく初勝利を上げましたが、その後も5戦連続で勝てず、3歳の10月始めまでの成績は8戦1勝・400万下の条件馬でした。もちろん、クラシックレースとは無縁です。

 この段階で、タマモクロスが翌1988年のJRA年度代表馬になると予想した人は、皆無だったでしょう。
 
 10月後半の400万下条件戦で2勝目を上げてから、タマモクロスの快進撃が始まりました。これはもう、驚くような快進撃でした。
 11月の特別戦を勝ち、12月のG2鳴尾記念に臨みます。タマモクロスは、このレースでゴールドシチーやメジロデュレンといった重賞常連馬を抑え、2着メイショウエイカンに6馬身差をつけて圧勝しました。10月初旬とは別の馬のようでした。

 明けて4歳の1月、G3京都金杯も制して、これで4連勝・重賞2連勝。
 3月のG2阪神大賞典は1番人気に応えて1着(同着)、5連勝・重賞3連勝を引っさげて、1988年4月29日天皇誕生日の天皇賞(春)に駒を進めました。

 この第97回天皇賞(春)でタマモクロスは、メジロデュレン(菊花賞、有馬記念優勝)やメリーナイス(日本ダービー)などの強豪馬を相手に、1番人気になっています。そして、期待に応え優勝しました。2着ランニングフリーに3馬身差の快勝でした。ランニングフリーやメジロデュレンという、当代屈指のステイヤーを相手にしての見事なレースでした。

 6月にはG1宝塚記念2200mに出走します。さすがに、当時のNO.1中距馬ニッポーテイオーに次ぐ2番人気でしたが、レースではそのニッポーテイオーを2と1/2馬身差で破り、またまた快勝。

 3200mの天皇賞(春)で名だたるステイヤーを破り、2200mで中距離の王者ニッポーテイオーを下したレース内容には、本当に驚きました。450kgに満たない馬体の葦毛馬が、中距離から長距離まで対応するのです。そして、展開に恵まれたといったラッキーを感じさせない強い勝ち方なのです。
 同じ葦毛のオグリキャップと共に、葦毛馬の時代を感じさせる大活躍でした。

 これで7連勝、重賞5連勝、G1レース2連勝としたタマモクロスは、天皇賞(秋)に臨みました。
 このレースは、1番人気オグリキャップ、2番人気タマモクロスと葦毛馬が上位人気を占めました。もともと少ない葦毛馬が、拮抗した1・2番人気とは、珍しいレースであったと思います。

 この天皇賞(秋)は、2頭のマッチレースの様相でしたが、タマモクロスが1と1/4差で快勝しました。オグリもよく走り追い上げたのですが、タマモは「絶対抜かせない」という走りを魅せたのです。
 3着レジェンドテイオーは、オグリから3馬身差でした。2000mの天皇賞(秋)での3馬身は大差ですから、葦毛2頭の力がずば抜けていたと言う事でしょう。
 
 続いてタマモクロスは、ジャパンカップG1に挑みました。
 この頃のジャパンカップは、海外馬が強く日本馬は勝負に持ち込むことも困難な時代でしたが、タマモクロスは勝ったペイザバトラーから1/2馬身差の2着。
 東京競馬場直線のペイザバトラーとタマモクロスの叩き合いは見ごたえ十分で、ほぼ互角に見えました。追い始めた時の差が、そのままゴールまで残った感じでしたから、タマモクロスは一歩も引かなかったのです。敗れて尚強しを印象付けたレースでした。

 ラストランは有馬記念。このレースはオグリキャップの2着でした。1番人気で臨んだこのレースのタマモクロスは、精彩に欠けました。私には、ジャパンカップの疲労残りというよりは、ジャパンカップで燃え尽きたように感じられました。

 1988年のタマモクロスは、7戦5勝(重賞5連勝)、G1レース3勝、2着2回(ジャパンカップ、有馬記念)の好成績を残し、年度代表馬に選出されました。文句無しだと思います。

 競走馬を引退し、種牡馬になったタマモクロスには、次の活躍が待っていました。父シービークロスから遡る連綿たる名血を引き継いでいったのです。(次稿「ネアルコ号からタマモクロス号へ」に続きます。)
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