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HOME   »   日本プロ野球  »  [日本プロ野球] 斎藤雅樹投手の179球
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 1996年8月16日の巨人対ヤクルトのゲームで、巨人の先発・斎藤雅樹投手は延長12回・179球を投げ切り、自己通算150勝を達成しました。

 斎藤雅樹投手にとってメモリアルなゲームであったのですが、私はこの試合が「斎藤雅樹投手の選手寿命を著しく縮めた、あるいは終わらせた試合」であったと考えています。投げ過ぎにより、肩の限界を超え、「深刻な故障」を発症したと思うのです。

 この頃、斎藤雅樹投手は巨人軍の大エースでした。
 1989年・1990年の2年連続20勝は、日本プロ野球NPB史上最後の「2年連続20勝以上」の記録です。この試合の前年1995年にも18勝を上げていますし、何より完投が16試合もありましたから「ミスター完投」とも呼ばれていました。

 サイドスローから投げ込む、威力のあるストレート、カーブ、シンカーを主要な球種としていました。「ベース上で微妙に変化」するところが、斎藤投手の最大の強みだったと認識しています。130球前後の球数を、同じクオリティで投げ切ることが出来るのは凄いと思いました。

 力みのないフォームであり、ミスター完投と呼ばれる程に多くの球数を投げることを苦にしない投手と見られていたことが、このゲームの179球にも上る投球に結び付いて「しまった」のでしょうが、監督を始めとするベンチスタッフとしては絶対に回避すべき続投でした。

 もちろん本人は、150勝がかかったゲームでもあり、9回裏にヤクルトに追い付かれてしまったことに対する責任感もあるでしょうから、「投げます」と志願するでしょう。また、本人も「まだまだ投げられる」と感じてもいたのでしょう。
 
 しかし、延長に入ってからの投球は、斎藤投手としては珍しく疲労感と力みが目立ちましたし、ベース上でのボールの変化も少なくなっていましたので、「大丈夫なのか。交替すべきだ」と思ったことを憶えています。

 1996年シーズン、この試合後も斎藤雅樹投手は投げ続けました。そして、翌1997年シーズンの開幕直後に右腕故障を発症、この後5年間で21勝しか上げることが出来ずに、2001年に引退したのです。あの投球以降の斎藤投手のボールは、それ以前より球速は上がりましたが、ベース上での変化が少なくなったように観えました。別の投手になってしまったと感じたものです。

 通算180勝96敗、沢村賞3回、年間最多勝5回、最優秀選手賞5回、ベストナイン5回等々、素晴らしい実績を残した投手でしたが、私はあの179球が無ければ、200勝は言うに及ばず、もっと素晴らしい実績を残せたと思っています。

 頭書した「深刻な故障」とは、本人も気が付かず、いくら休養をとっても回復しない、という意味で深刻なのです。休養後、痛みなどの自覚症状は無いのに「以前と同じ球が投げられない」という、やっかいな代物なのだと思います。

 先日の日本シリーズ2013の第6戦、田中将大投手の160球を見た時に、この斎藤投手の179球を思い出しました。

 驚くべきことに、田中投手は翌日第7戦も投げています。第7戦の投球内容やボールの威力がシーズン中のものと掛け離れたものであったことは、誰の目にも明らかだったでしょう。この違いが、前日160球投げた疲労残りによる肩の張り等の要因によるものであり、他の要因によるものではないことを祈るばかりです。素人の杞憂であって欲しいと、心から願っています。

 責任感の強い投手が「投げたい」と申し出ても、投げ過ぎと判断されるのであれば、それを止めるのがベンチスタッフの仕事でしょう。これは根性論とは別次元の問題なのです。球界の宝であり、歴史に残る優秀なアスリートの選手寿命を縮める、あるいは終わらせる権利は誰にもありません。選手本人にも無いと思います。こうしたスーパースターは、多くの人達の夢と希望になっているのですから、既に「公器」であり、「自分が良ければ良いじゃないか」などという単純な存在では無いのでしょう。

 「先発投手の球数は100球目途」というルールが、選手本人や監督・チーム関係者の思いや誘惑、「勝つためには、こいつに投げさせなければならない」といった、選手寿命を無視した身勝手な思い込み、等々を押し留めるためにも存在しているとすれば、歴史に裏打ちされた重要な意味のあることだと思います。
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