FC2ブログ
HOME   »   競馬  »  [競馬コラム82] 「史上最高のアスリート系牝馬」 イクノディクタス号
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加
 1992年の金鯱賞に優勝したのがイクノディクタスです。この頃は6月に行われていた金鯱賞ですが、5歳になっていたイクノディクタスは、2着のリターンエースに2馬身差をつけて快勝しました。

 「鉄の女」と呼ばれたイクノディクタスは、2歳から6歳までの5年間弱に51戦しています。ほとんど故障も無く、平均して月1回のペースで走り続けました。

 3歳時、桜花賞は優勝したアグネスフローラの11着、オークスはエイシンサニーの9着とクラシックレースでは完敗でしたが、黙々と走り続けたのです。
 エリザベス女王杯はキョウエイタップの4着、京都牝馬特別はダイイチルビーの7着、マイラーズカップはダイタクヘリオスの3着と、健闘しますが中々勝てませんでした。
 そして、4歳の5月京阪杯を制して、ようやく重賞勝ち馬となりました。

 その後もG2・G3の重賞に挑み続けましたが、12戦に渡って勝ち星に恵まれず、5歳の5月オープン競走で久々の勝利。6月の金鯱賞に臨み、頭書の通り快勝したのです。重賞2勝目でした。
 7月の高松宮杯は12着と大敗しますが、8月の小倉記念に勝ち、9月のオールカマーにも勝って、重賞連勝・直近の5戦4勝。彼女の競走成績としてはこの頃がピークだったのかもしれません。

 1992年11月には、G1レースを3回走っています。陣営が、どうしてこんなに過密な出走スケジュールを組んだのかは分かりませんが、「1ヶ月の間にG1レースを3回走った牝馬」というのは、中央競馬史上イクノディクタスだけなのではないでしょうか。
 11月1日の天皇賞(秋)はレッツゴーターキンの9着、11月22日のマイルチャンピオンシップはダイタクヘリオスの9着、11月29日のジャパンカップはトウカイテイオーの9着と、3戦全て9着でしたが、マイルチャンピオンシップとジャパンカップを連闘するというのは、牡馬にも居ないように思います。
 これを特に故障も無く走り切っているのですから、とてつもないサラブレッドでしょう。

 翌12月には有馬記念にも出走し、メジロパーマーの7着でした。2ヶ月の間にG1レースを4戦したのです。そして5歳の年末で、既に41戦。この頃から「鉄の女」と呼ばれるようになったと思います。
 1992年のイクノディクタスは『16戦』して4勝(重賞3勝)と勝率こそ高くは無いのですが、その走りっぷりと年末にかけてのG1レース連続挑戦が評価されて、G1勝ちが無いにもかかわらず、この年の年間最優秀5歳以上牝馬に輝きました。
 私は、正しい表彰だと感じました。

 いつも、休み無く走っていた印象があるイクノディクタスですが、実は「冬期休暇」を必ず取っています。小倉デビューということで、寒いのは苦手だったのでしょうか。
 2歳から3歳にかけては12月11日~3月17日と約3ヶ月、3歳から4歳にかけては11月12日~1月26日と約2ヶ月半、4歳から5歳にかけては9月16日~2月1日と約4ヶ月半、5歳から6歳にかけては12月28日~3月20日と約3ヶ月弱、の期間レースに出ていないのです。

 冬はレースを控え休養+トレーニングに集中し、シーズンに入れば1ヶ月2回3回の出走も厭わず、レースに挑む。これは、アスリートそのものでしょう。鍛えに鍛えた肉体を武器に、時にはキッチリと休息し、時には連戦に挑むというイクノディクタスの競走生活を観ると「アスリート系牝馬」と呼ぶに相応しいと感じます。

 その馬体も見事なものでした。筋肉隆々なのですが、特にトモの大きさと張りが素晴らしい。パドックでの見栄えが良いので、つい高く評価してしまうことが多かったと思います。460kgそこそこの明るい鹿毛の馬体は、いつも大きく見えました。

 さて、冬期休暇を済ませたイクノディクタスは、6歳も走り続けます。この1993年も重賞8レース、オープン競走2レースの計10レースを走りました。
 中でも圧巻は、5月16日の安田記念と6月13日の宝塚記念でしょう。この2つのG1レースで、彼女は2着に入っています。彼女は3歳秋のエリザベス女王杯以降、牝馬限定のG1レースには出走せず、牡馬牝馬共通のG1レースに挑戦し続けてきました。

 この安田記念はヤマニンゼファーに1と1/4馬身差の2着、宝塚記念はメジロマックイーンに1と3/4馬身差の2着でしたが、勝った馬は当時の中央競馬における、それぞれの距離の最強牡馬でした。相手が強すぎたのです。
 私は、イクノディクタスが最も強かったのは、この頃だと思います。

 イクノディクタス号、父ディクタス、母ダイナランディング、母の父ノーザンテースト、生涯成績51戦9勝、重賞4勝。獲得賞金5億3100万円余りは、当時の牝馬の中央競馬史上最高賞金額にして、初の5億円賞金獲得牝馬でした。

 競走馬引退後、イクノディクタスには繁殖牝馬の仕事が待っていましたが、そもそも中々発情しないとも伝えられました。結局、良い仔には恵まれなかったのです。
 筋肉隆々のアスリート系牝馬に、繁殖をも期待するのは酷ではないかと思いましたし、本当はもっと走りたかったのではないかと感じます。

 1992年11月にG1レースを3つ走り、メジロマックイーン・トウカイテイオー・ダイタクヘリオス・ヤマニンゼファーといった超一流牡馬と互角に渡り合ったイクノディクタス。G1勝ちこそ無いものの、その競走内容はヒシアマゾンやエアグルーブに決して劣らないものだと思います。
 そして、史上最高のアスリート系牝馬であろうと思うのです。
関連記事
スポンサーサイト



NEXT Entry
[ワールドカップ2014] 出場国枠の配分
NEW Topics
[温故知新2020-女子テニス3] 「アイス・ドール」 クリス・エバート選手
[温故知新2020-男子テニス4] 黒人プレーヤーの先駆者 アーサー・アッシュ選手
[ブンデスリーガ2019~20(無観客)] 鎌田大地選手 2試合連続ゴール
[競馬コラム269] オークス2020のデアリングタクトと日本ダービー2020のコントレイル
[温故知新2020-陸上競技4] 男子走り幅跳び オリンピック金メダリストの記録
[ブンデスリーガ2019~20・第27節(無観客)] バイエルン・ミュンヘン 圧勝
[温故知新2020-女子テニス2] アメリカの英雄 ビリー・ジーン・キング選手
[競馬(無観客)] 東京優駿(日本ダービー)2020の注目馬
[温故知新2020-女子テニス1] 「史上最強」 マーガレット・コート選手
[温故知新2020-男子テニス3] ダブルスの名手 ジョン・ニューカム選手
[温故知新2020-陸上競技3] 男子10,000m オリンピック金メダリストの記録
[温故知新2020-競泳2] 男子1,500m自由形 日本チームの全盛期
[温故知新2020-競泳1] 男子100m自由形 日本チームの黄金時代
[FIFAワールドカップ2010準々決勝] ドイツチームの完勝
[温故知新2020-男子テニス2] 「史上最強」 ロッド・レーバー選手
[競馬(無観客)] 優駿牝馬(オークス)2020の注目馬
[温故知新2020-陸上競技2] 男子1,500m オリンピック金メダリストの記録
[温故知新2020-陸上競技1] 男子100m オリンピック金メダリストの記録
[ラグビーワールドカップ2011プールA] 日本チーム フランスチームを相手に65分まで4点差の健闘
[温故知新2020男子テニス-1] ウィンブルドンを勝てなかった イワン・レンドル選手
[競馬コラム268・ヴィクトリアマイル2020] 感動的なレース
[FIFAワールドカップ1986決勝] アルゼンチンチーム 2度目の優勝
[競馬(無観客)] ヴィクトリアマイル2020の注目馬
[NPB・MLB2020] 「開幕」に向けての動き
[ブンデスリーガ2019~20] 無観客での再開へ
[競馬コラム267-日本馬の海外挑戦12] 2009年 牝馬の挑戦
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] ブラジルチーム 貫録の勝利
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] 日本チーム 史上初のPK戦
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] ランパード選手 「幻」のゴール
[Jリーグ2020] イニエスタ選手のオンライントークショー
[競馬(無観客)] NHKマイルカップ2020の注目馬
[NBA2020] 個人トレーニング再開に向けての動き
[UEFA-EURO2012-グループD] イングランドとフランスの激突
[競馬コラム266-天皇賞(春)2020] フィエールマンの連覇とC.ルメール騎手の天皇賞4連勝
[UEFA-EURO2012-グループB] ポルトガル デンマークとの接戦を制す
[競馬コラム265・下鴨ステークス2020] スズカルパン 100戦出走達成!
[UEFA-EURO2012-グループA] 開幕戦 ギリシャチーム 驚異の粘り
[UEFA-EURO2012-グループD] フランスチームの堅守
[競馬(無観客)] 天皇賞(春)2020の注目馬
[UEFA-EURO2012-グループC] イタリアとクロアチア 一歩も引かず
[競馬コラム264-日本馬の海外挑戦11] 2007年 シンガポール競馬への進出
[UEFA-EURO2012準々決勝] クリスティアーノ・ロナウドVSチェフ
[競馬コラム263-日本馬の海外挑戦10] 2006年 ハーツクライとデルタブルース
[スーペルコパ2020準決勝] FCバルセロナ よもやの敗退
[UEFA-EURO2012準決勝] 「怪物」バロテッリ選手の2ゴール
[マラソン2020] 「心臓破りの丘」 山田敬蔵氏 逝去
[競馬コラム262-日本馬の海外挑戦-9] 2005年 ゼンノロブロイとハットトリック
[MLB2020・MVPランキング] バリー・ボンズ選手の凄さ
[フィギュアスケート2020春・世界ランキング] 羽生選手、紀平選手が共に1位
[NPB2020] 菅野智之投手 超絶の仕上がり
Entry TAG
史上最高のアスリート系牝馬・イクノディクタス号  
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
「スポーツを考える-KaZ」ブログへ
ようこそ!
我が家の月下美人も16年目。同時に30個の花が咲くこともあります。スポーツも花盛りですね。一緒に楽しみましょう。

最新記事
最新コメント
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Page Top
CALENDaR 123456789101112131415161718192021222324252627282930