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HOME   »   スケート  »  [フィギュアS全日本選手権2013女子シングル] 史上最高レベルの戦い!
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 2013年のフィギュアスケート全日本選手権大会・女子シングル種目は、12月22日・23日の両日に渡って、埼玉スーパーアリーナで行われました。

 ソチオリンピック代表選考会を兼ねた大会でしたので、戦前から激戦が予想されましたが、予想を超える極めてハイレベルな大会になったと思います。

 まず、上位を争った選手の中で、少なくとも3人のスケーターのフリー演技は、当該選手のキャリア中最高の演技であったと思います。

・ 鈴木明子選手
・ 村上佳菜子選手
・ 今井遥選手 の3選手です。

 特に、鈴木明子選手のフリー演技は、日本のみならず、世界女子フィギュアスケートの歴史上でも、最高の演技のひとつだったでしょう。演技最初の2つのコンビネーションジャンプを成功させると、完全に流れに乗りました。その後のジャンプにも殆どミスがなく、ステップ・スパイラルのシークエンスも高品質、そして全体の構成もキッチリとしていて、鈴木明子ワールドを見事に現出しました。フリー144.99という超高得点も納得というところです。
 ショートプログラムSPの70.19との合計215.18は、日本人女子フィギュア選手の歴代最高点でしょう。鈴木選手は、私達に「この種目に於ける日本人最高の演技」を魅せてくれたのです。鬼気溢れる乾坤一擲の演技でした。

 村上佳菜子選手のフリー演技も見事なものでした。目に見えるミスといえば、最後のジャンプ・ダブルアクセルでバランスを崩したくらいのもので、他のシークエンスはノーミス。力強さを前面に押し出した演技構成も秀逸でした。135.10という高得点も当然でしょう。SPとの合計202.52は、例年なら圧勝できる得点でした。鈴木明子選手の演技が、良過ぎた?のです。
 これだけの演技が出来るスケーターが、今季グランプリシリーズで、あのような不甲斐ない演技を見せたというのは、不思議な気がします。この競技の難しいところでしょうか。

 今井遥選手のフリー演技も、完璧なものでした。盛り込んである要素の難度の違いと、繋ぎを含めた演技構成の違いから125.53という得点でしたが、現時点の今井選手にできる最高の演技だったと思います。やや壁にぶつかっていたかに見えた今井選手ですが、この壁を見事に粉砕した感じがします。来シーズン以降の一層の飛躍が期待されます。

 この3選手の演技で共通して素晴らしかったのは「4分間乱れなく滑り切ったこと」でしょう。女子選手にとって過酷な4分間のフリー演技では、多くの場合、ラスト30秒で脚に来て、演技が乱れることが多いのです。
 ましてや、全日本選手権という大舞台、18,000人という「世界フィギュアスケート史上最多観衆」が見守るリンクでの演技においては、「前半飛ばし過ぎて後半乱れる」演技の多発が予想されましたが、3選手は「何事も無いかのように」滑り抜きました。日頃の鍛錬とコンディショニングの賜物でしょう。

 そもそも、22日のSPからミスの少ない演技が続きました。「3回転+3回転の成功は当たり前」といった雰囲気が漂い、各選手が次々と成功させます。この大会に賭ける各選手の気迫溢れる演技の連続であったと思います。

 こうしたハイレベル・高品質な演技が続く中で、ひとり蚊帳の外という感じだったのは、浅田真央選手でした。SPでもトリプルアクセルが不十分でした。SPでは、トリプルアクセル後の演技を無難に纏めトップに立ちましたが、フリーではそうも行きませんでした。

 2度のトリプルアクセルをいずれも失敗しましたが、特に2度目を1回転半しか回れなかったことは影響が大きく、「トリプルアクセルのミス」ではなく「シングルアクセル」と評価されてしまったことで、大きく基礎点を失いました。
 その後の滑りも精彩を欠き、ダブルアクセル+3回転のコンビネーションジャンプでは、後半の3回転が回転不足、3回転+2回転+2回転のコンビネーションは3回転+2回転になってしまうなど、明らかなミスが連続しましたので、126.49点も止むを得ないところでした。スピンやスパイラル、ステップといった技で3位を死守出来て良かったというところかもしれません。

 浅田真央選手ほどの実力を誇る経験豊かなスケーターでも、演技前に「演技全体がバラバラになってしまう怖れがある」と感じさせる展開の大会だったのです。
 鈴木、今井、村上の各選手の極めて高いレベルの演技の連発と高得点は、どんなプレーヤーにとっても大きなプレッシャーとなったのでしょう。

 加えて、他の選手達は「全日本にピークを持ってきた」のに対して、ソチ当確の浅田選手は、「オリンピックへの道標のひとつとして全日本を考えていた」感じです。今季の鈴木選手や村上選手の調子から見て、「全日本は70%の出来でも勝てる」と浅田選手が考えたのも、無理はないと思います。何しろ、グランプリファイナル出場の6人に残った日本選手は、浅田選手だけだったのですから。

 この大会での立場は異なりますが、安藤美姫選手も浅田選手と同じような「違和感」を感じてリンクに出たように思います。
 最終組の前の組で宮原知子選手が、合計191.58点を叩き出しました。この得点は、例年なら十分に優勝できる水準です。
 続いて、最終組の自分の前で演技した鈴木選手が215点を超える日本歴代1位の得点を叩き出します。これは、安藤選手でも出したことが無い高得点でした。「全日本の優勝以外にソチへの道は無い」と考えてきた安藤選手に、大きな衝撃を与えたことでしょう。

 安藤選手は、最初のコンビネーションジャンプを成功させた後、次の3回転ジャンプだけでは得点が足りないと考え、トリプルサルコウからのコンビネーションジャンプに演技を変更しました。鈴木選手の高得点が、安藤選手の演技構成を変更させたのです。
 しかし、この変更は上手く行きませんでした。得意のトリプルサルコウが1回転となってしまったのです。このひとつのミスで、鈴木選手を抜いての全日本優勝が消えました=ソチへの道は閉ざされました。鈴木選手を上回るには「より難しい演目を、より完璧に滑る」必要があったわけですから。

 「凄まじい大会」でした。今季不調だった選手たちが、次々と今季最高・自身最高の演技を見せるという事象が発生したのです。これは「大きな波」でした。そして、その大波に、安藤選手と浅田選手という、全日本を何度も制し、世界選手権チャンピオン経験者でもある、日本を代表する2人のスター選手が飲み込まれました。結果以上に大波乱の大会でした。

 一方で、「浅田・鈴木以降の日本女子シングル」を支える若い選手たちが、その力を示した大会ともなりました。
 宮原知子、今井遥、本郷理華といった選手達は、来季以降の全日本タイトルを争うことになるでしょう。各選手は、ジャンプも上手いのですが、何より個性的で自分の滑りを保持している点が素晴らしいと思います。ベテラン勢の砦・村上佳菜子選手も全く油断できないでしょう。
 日本女子フィギュア・シングル種目の選手層は、本当に厚くなりました。

 近時は2~3人の日本選手が出場するのが当然だったグランプリファイナル女子シングルに、今季は浅田選手1人しか進出できなかったのを見ていましたから、全日本2013の戦前には、男子と違い女子は浅田選手の一人舞台であろうし、3人の代表が出たとしても、ソチオリンピックでメダルを狙えるのは浅田選手だけであろう、と考えていました。
 私も日本女子フィギュア陣を過小評価していたのです。

 全日本2013は、ソチオリンピックにおけるメダルの期待を一層大きくしてくれました。そして、浅田選手にとってもとても良い経験になったと思います。もともと世界トップクラスの技術を身につけている浅田選手の精神面が、大きく成長した大会になったのではないでしょうか。
 ソチでどの選手が、どんなに高得点をマークしようとも、自分の滑りに徹するためには、良い経験でした。とても負けず嫌いなエース・浅田真央選手への期待は、一層高くなったのではないでしょうか。

 語り継がれるであろう史上最高レベルの全日本選手権2013の女子シングルを観ることが出来て、本当に良かったと感じています。
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