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 なでしこジャパンは、女子サッカー日本代表チームの愛称です。スマイルジャパンは、女子アイスホッケー日本代表チームの愛称です。
 
 日本代表チームの愛称といえば、他には野球の「侍ジャパン」や男子サッカーの「監督名+ジャパン→現在ならザックジャパン」が挙げられます。

 この他にも、前述の愛称ほどには定着していないと思いますが、ラグビーの「チェリーブロッサムズ」、競泳の「トビウオジャパン」、シンクロナイズドスイミングの「マーメイドジャパン」、男子バレーボールの「龍神NIPPON」、女子バレーボールの「火の鳥NIPPON」、カーリングの「クリスタルジャパン」、などが思い浮かびます。
 そういえば、スキージャンプの「日の丸飛行隊」というのは、愛称なのでしょうか。

 さて、話を戻します。

 2014年2月のソチ・オリンピック開催に向けて、スマイルジャパンがチームとしても、個々の選手としても、メディア登場が増えました。
 さすがに、大柄かつガッシリとした体躯のプレーヤーが多いのですが、共通して笑顔がとても爽やかです。

 そのスマイルジャパンのフォワードFWの中心選手である大澤ちほ選手が、先日インタビューを受けていました。「スポーツは勝敗が全てなので、ソチでは必ずメダルを取ります。」との宣言。オリンピック出場に向けての力強いコメントでしたが、「スポーツは勝敗が全て」という下りが、少し気になりました。しかし、前後のやりとりを聞いて、十分納得できました。

 昨年、ソチ五輪日本代表に、全ての競技・種目で最も早く出場権を獲得した時から、
大澤選手を始めとするスマイルジャパンの選手達の「生活が変わった」のだそうです。
 それまでは、アルバイトをしながら競技生活を続けている選手が多かったのですが、協会の斡旋等により、競技生活を続け易い職業を紹介されたりして、現在では安定した生活が送れているのです。

 あまり注目されなかった競技であり、チームであった女子アイスホッケー日本代表チームは、オリンピック出場権獲得により俄然注目を浴びることとなり、普段の生活さえ変化したということです。
 ソチで結果を残せなければ、また昔の生活に戻らなければならなくなる、後輩の選手たち、ひいては「日本の女子アイスホッケー競技そのものの将来」がかかっている大会だという、強い使命感をベースとしたコメントだったのでしょう。
 素晴らしい「ハングリー精神」だと思います。

 そういえば、なでしこジャパンが世に出た頃、その中心プレーヤーである澤穂希選手も全く同じ内容のコメントをしていたことを思い出しました。なでしこの主力選手達もスーパーマーケットのレジ打ちのアルバイトをするなどして、競技生活を続けました。男子サッカーに比べて、陽が当たり難かった女子サッカーが表舞台に出る日を夢見て、厳しい環境下で地道な活動を継続していたのです。

 ワールドカップやオリンピックに臨む際には「この大会で負けたら、女子サッカーの灯が消えてしまう」という、強い使命感をベースに戦っていました。真のハングリー精神を持っての戦いであったと思います。

 世界屈指の豊かな国になった現在の日本においては、スポーツ選手はハングリー精神を持ち難くなった、今の若い選手からはハングリー精神が感じられない、などと言われて久しいのですが、「なでしこ」と「スマイル」からは、強烈なハングリー精神を感じます。

 我が国が貧しかった時代とは異なる種類の、しかし、強さでは引けを取らない「ハングリー精神」が根付いているように思います。
 おそらく、この2つの競技以外にも、こうした「ハングリー精神」をベースとして活動を続けているプレーヤー達が沢山居るのであろうと思います。こうした選手・関係者のご努力が実を結ぶように祈らずにはいられません。

 我が国におけるスポーツ選手のキャリアを見てみます。

 4~5歳から小学校低学年時代のスポーツへの取組については、親御さんの経済面他の全面的なサポートが存在します。地域の指導者の皆さんも、こうした幼年期の子供達のスポーツについて、大きな役割を果たしていることでしょう。
 野球やサッカーなどの競技における活動を見ると、この段階での体制は相応に構築されていると感じます。

 小学校高学年になると、いわゆる「クラブスポーツ」が中心となるように思います。やはり野球やサッカーにおいて代表されるような「リトルチーム」が多数存在するのです。硬式野球といった本格的な競技もあれば、軟式野球といったこの年齢の子供たちにとって馴染み易い競技に参加することも出来ます。
 もちろん、この段階でも親御さんの全面的なサポートを受けて、選手達は競技生活を送ることになります。

 水泳競技は、小学生の段階から各地のスイミングスクールでの活動が盛んです。この活動は、本格的な競技生活に入っていくアスリートにとっては、相当長く続くことがあります。20歳代、30歳代になっても、スイミングスクールでの競技生活を続ける選手は珍しくありません。

 中学生となると、前述のクラブスポーツと肩を並べる「学校の部活としてのスポーツ」が登場します。相当沢山の競技・種目における、学校教育の一部としての活動なのです。
 幼年期には、自身は当該スポーツをやったことがない、あるいはそれほどのプレーヤーではなかった人達の、ボランティアとしての指導も多いのですが、この段階となると指導者のレベルが格段に上がります。
 そして、選手のレベルも格段に進歩します。14歳前後で世界のトップレベルに躍り出る選手は、多いとは言えないものの、必ず一定数存在しますから、中学生の頃が最初の世界デビューのタイミングと言えるでしょう。

 高校生ともなると、多くの競技で日本を代表する、あるいは世界トップレベルの選手が出現してきます。そして、この頃が最もプレーヤーが伸びる時期なのでしょう。タイムを争う競技では、とても短い期間で自身のベスト記録を一気に改善する選手が沢山居ますし、野球やサッカーなどでも、短い大会の間に別次元の選手に成長する例も観られます。

 この中学生・高校生の時期も、経済的な面では親御さんのサポートが主体となります。それに、学校や各種協会の援助も加わる形でしょう。

 知り合いに高校生のご子息がオリンピック出場を果たした人が居ますが、この段階ではスポンサーを付けることがルール上許されていないので、競技生活を続けていく上で親御さんの負担は、大変重いものだそうです。合宿への参加や海外大会への遠征など、補助が有るものの、基本的には親御さんが費用負担する形です。子息の競技生活のために、毎年4~5百万円の費用がかかったと聞いています。
 かなり高所得な方か、支援者がいないと、「オリンピック代表クラスの高校生アスリート」が、競技生活を続けて行くのは難しいということになります。

 さて、高校を卒業して18歳を過ぎてからが、今回のテーマと関係が深い年代です。

 この段階で、スポーツプレーヤーは、競技・種目の別や自身の技能レベルなどにより、進路選択を迫られます。

 プロスポーツが存在する競技・種目においては「プロになるかどうか」の選択があります。野球やサッカーといった我が国でメジャーなプロスポーツであれば、トップクラスのプレーヤーはプロ入りを選択できます。

 一方で、自身のレベルに自信が無い、あるいは、厳しい競争社会で競争して行く自信が無いといったケースであれば、大学生や社会人として競技を続けることも出来ます。大学に進む場合には、競技生活の費用面は親御さんに頼り続ける形が多いと思いますが、この年齢になるとスポンサー企業を付けることが出来ますので、トップクラスのプレーヤーであれば、そうした形も展望できるでしょう。
 社会人として活動を続ける場合には、入社した企業が費用面を負担する形となります。
 このどちらの場合でも、相応のレベルの指導者を始めとする環境が用意されます。

 さて、プロが存在しない、あるいは存在しても多くの収入が見込めない競技・種目を、18歳以降も続けていこうとすると、いくつかの問題に直面することとなります。
 こうした競技においては、まず当該競技の学部やクラブが存在する大学に進学することが多くなるのでしょうが、その場合でも大学卒業後に同じ問題に直面します。

 プロが存在しないスポーツというのは、世間の注目度合いも低いケースが多いので、社会人チームを保有している企業も少ないことになります。社員として働きながら、競技生活を継続する選択肢も、狭くなってしまうのです。

 さすがに、この年齢となると親御さんに頼っているばかりというわけにも行きません。「いわゆる社会人プレーヤー」にもなることも出来ず、収入を得るための仕事をしながら、競技生活を継続することになるのです。

 しかし、「練習時間を確保」し、「試合に出場するための休暇が自由に取れて」、トッププレーヤーであれば時々は「日本代表としての長期の強化合宿や大会にも参加」できる仕事というのは、なかなか見つからないでしょう。
 結局は、アルバイトやパートタイム社員という形で働くことになります。

 それが、頭書のなでしこジャパン、スマイルジャパンの選手達なのです。

 メジャーではないスポーツを18歳以降も続け、世界トップクラスの成績を挙げていくというのは、大変なことです。並大抵のご苦労ではないでしょう。

 なでしこジャパン創世記のプレーヤー達は、この難関を見事に突破しました。そして、「女子サッカー」をメジャーな存在に引き上げ、社会人チームを多数発足させたのです。
もちろん、プロプレーヤーとして活躍している選手も居ますが、皆が皆プロのレベルのプレーヤーに育って行ける訳ではありません。

 言い方は良くないのですが、一流半のプレーヤー達の多くが当該競技を続けていける環境確保が、当該スポーツの維持・発展のためには必要なことだと考えます。指導者の育成面・継続的な供給面からも、一定数の一流半プレーヤーの存在は不可欠なのです。

 結果として、我が国において当該競技を長く維持していくためには、企業の力がとても重要なのではないでしょうか。「企業にとって広告効果が認められる存在になること」、そして「そうした存在であり続けること」が、当該競技がメジャーな状態で存続していく条件なのでしょう。

 「なでしこ」が遣り遂げた道を、「スマイル」が追いかけているように見えます。「21世紀のハングリー精神」を持って、オリンピックの金メダルより重く厚いであろう壁に挑んでいる「スマイルジャパンの戦士達」に大きな拍手を送りたいと思いますし、ソチでの大活躍に大いに期待しています。
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「なでしこ」と「スマイル」のハングリー精神  
Comment
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こんにちは。
マイナーなスポーツ競技に携わる人の環境はまだまだ良いとは言えないですね。
そのスポーツがどれほどの経済効果をもたらすのか?と云う考えもありますが、日の丸を背負って出場するからには環境面での支援も必要なのでしょうね。

91
Re: コメントありがとうございます。
おっしゃる通りだと思います。

とはいえ、例えば国家が全面的に支援する「ステートアマチュア」のような制度が良いのかというと、必ずしもそうとも言えません。
ひとりひとりが、自分のやりたい競技を自由に選んだ上で、トップクラスになった段階で支援を行う体制というのは、意外に構築するのが難しいと感じています。

これからも、コメントをよろしくお願いします。


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