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 スーパーボール2014は、AFCデンバー・プロンコスとNFCシアトル・シーホークスとの間で、2月2日に開催されます。

 世界最大・最高レベルのプロ・アメリカンフットボールリーグであるNFLのシーズンNO.1を決めるゲームですから、自動的に当該シーズンの世界一のチームを決めるゲームであり、スポーツ大国アメリカでも最も高いテレビ視聴率を誇る最大のスポーツイベントです。

 そのスーパーボールSBにおいては、他のスポーツと同様に「名シーン」が幾つもあります。それらの名シーンの中でも、最も有名なのが「ザ・ドライブ」と呼ばれるものです。単に「ザ・ドライブ」と呼ぶだけで、競技とゲームが特定される固有名詞なのですから、凄いものです。

 「ザ・ドライブ」は、1989年1月22日にフロリダ州マイアミのジョー・ロビー・スタジアムで開催された、第23回スーパーボール/サンフランシスコ49ers対シンシナティ・ベンガルズのゲームに登場しました。(ドライブとは、タッチダウンやフィールドゴールで得点を挙げるまでの、「一連のプレーのこと」です)

 第4クオーターQ残り試合時間3分10秒、ベンガルズがフィールドゴールFG16-13とリードした時点で、攻撃権は49ersへ。しかし、反則もありフィールドポジションは自陣8ヤードという、とても難しい位置です。
 49ersは残り3分余りで92ヤードを獲得しなければ、タッチダウンTDを上げることが出来ないという状況に追い込まれたのです。

 49ersのクオーターバックQBはジョー・モンタナ。この時既に、第16回・19回のSBを制していた、NFL最高のQBと呼ばれていました。そのモンタナを持ってしても、逆転TDは難しいのではないかと思われました。

 しかし、モンタナを中心とする49ers攻撃陣は敢然と前進を開始。特に凄いと感じさせたのは、残り時間が少ない状況下でゲームウオッチを止めるために使われる「サイドライン際へのパス」ではなく、フィールドセンターへのパスを連発したことでしょう。
 相手の意表を付く効果はありましたが、時計はどんどん進んでしまいますから、モンタナはノーハドル(メンバーが集まっての打合せ無し)でどんどん攻撃を行いました。

 そして、敵陣35ヤードまで前進したところでピンチが待っていました。ここでモンタナは、このドライブで初めてパスを失敗し、反則も加わって、残り時間1分15秒で1stダウン20ヤードという、極めて厳しい状況に追い込まれました。

 このピンチを救ったのは、「モンタナ→ライスのホットライン」でした。ジョー・モンタナからジェリー・ライスへのパスというのは、NFL史上最高のホットラインと呼ばれ、49ersに数々の栄光をもたらしました。
 相手ベンガルズが3人でカバーしている状況でも、ホットラインは健在。27ヤードを獲得したのです。モンタナのパスが完璧であったというか、ライスの驚異的なキャッチというか、全ての要素が絡み合っての奇跡的なプレーでした。

 残り39秒で敵陣ゴールまで10ヤードに迫ったモンタナは、ここでジョン・テイラーにTDパスを通し、20-16と逆転しました。このテイラーのキャッチは「ザ・キャッチ」とも呼ばれています。

 「ザ・ドライブ」は、11プレー92ヤードのドライブでした。この92ヤードの内、QBモンタナは9回のパスの内8回を成功させ87ヤードを稼いでいます。

 このスコアリングドライブが「ザ」を付けて呼ばれるようになった理由は、
① 舞台がスーパーボールであったこと
② このドライブにより逆転して、スーパーボール制覇に結びついたこと
③ 第4Q残り3分10秒からのドライブであったこと
④ 「ザ・キャッチ」や苦しい状況を打開した「モンタナ→ライス」のプレーなど、驚異的なプレーが内包されていたこと(このSBのMVPはライスでした)
 であろうと思います。

 私が知っている、日本プロ野球の阪神タイガースファンに「一番見たい試合」を聞くと「巨人と0.5ゲーム差の2位で迎えたペナントレース最終戦、3点負けている状況での阪神の攻撃、9回裏2死満塁からの逆転満塁サヨナラホームラン」という言葉が、よく返ってきますが、「ザ・ドライブは、そういうゲームを実現したプレーだと思います。

 アメリカでは、NFLに限らず他の競技でも「ザ」を冠するプレーが見られますが、一方我が国ではこうした固有名詞で呼ばれるプレーは少ないと思います。

 その少ない中で、「ザ・ドライブ」に匹敵するものを思い出して見ました。

 「江夏の21球」しか無いという感じです。

 両チーム3勝3敗のタイとなって、1979年11月4日大阪球場で行われたプロ野球日本シリーズ最終の第7戦、広島カープ4-3と1点リードで迎えた9階裏近鉄バッファローズの攻撃でした。

 このイニングに、広島のリリーフエースであった江夏豊投手の全投球21球が「江夏の21球」と呼ばれているのです。

 「江夏の21球」が凄いのは、「ノーアウト満塁になるまでの11球」が含まれているところです。「江夏の21球」とは、「江夏投手が近鉄打線を抑えた投球」を示しているのでは無く、「江夏が自身で大ピンチを招き、これを押さえ込んだ投球」なのです。

 江夏は、この回の近鉄の先頭バッター羽田選手に初球をセンター前にヒットされ、2人目のアーノルド選手には5球を費やして四球、3人目の平野選手にも5球で四球、と11球で無死満塁という絶体絶命のピンチを招いてしまいました。
 この年の日本シリーズは、広島対近鉄という、日本シリーズ優勝経験の無いチーム同士の対戦でした。無死満塁から近鉄が逆転すれば「近鉄悲願の日本一」になるところだったのです。

 ここまでで、21球の内11球を使っていますから、この後「江夏は10球で3アウトを取った」ということです。

 続く、代打の佐々木選手を6球で三振に取り1アウト。
 続く、石渡選手との対戦が、「21球の愁眉」でした。石渡選手の2球目、スクイズ!
 江夏は「スクイズに来たのが見えたので、外した」と語っていますが、江夏の投球は外角高めに大きく外れて、石渡選手は空振り。3塁ランナーは戻れずというか、3塁には2塁ランナーが進塁してきたのでアウト。これで2アウト。ここまで19球。

 石渡選手は20球目をファウルし、21球目を空振りして三振。3アウト。
 広島カープが初の日本一となりました。

 無死満塁の時は、江夏投手=広島が絶体絶命でしたが、スクイズ失敗で2死2・3塁となった状況では、石渡選手=近鉄が絶体絶命であったと思います。そして「スクイズ失敗」という劇的なシーンを内包する「21球」でした。

 「ザ・ドライブ」も「江夏の21球」も、

① それぞれのプロリーグにおける最高峰のゲームで登場したプレーであり、
② 最後の最後、1つのパス、1つの投球で、両チームの運命が180度異なるという、ギリギリかつ劇的な状況下のプレー

 であったことが、いつまでも心に残り、語り継がれる原因であろうと思います。

 それぞれの競技を極めた名人・達人・天才が織り成すゲームにおいて、小説やドラマを遥かに超える「凄まじい事実」が現れるところが、スポーツの素晴らしいところなのでしょう。

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