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HOME   »   その他のスポーツ  »  [ソチ・オリンピック 3] リュージュという競技
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 オリンピックのテレビ放送には、夏でも冬でも、普段なかなか見られない競技が登場します。冬のオリンピックなら、バイアスロン、リュージュ、ボブスレーといった競技の放送が、とても楽しみです。

 本日もリュージュ男子1人乗り種目が放送されていました。

 リュージュは、1000m~1500m位の距離の氷でできたコースを、ソリで滑り、走破タイムを競う競技です。1人乗りは、1日に2回、2日間で計4回滑り、合計タイムを競います。

 リュージュ競技を観る際に、気を付けたいことがあります。

① スタートが速ければ良いというものではないこと。

 リュージュにおいては、スタートはとても重要です。スタートの時に、パドリングと呼ばれる動作=棘が付いた手袋を付けた両手で氷面を掻いて前方に進む勢いを付ける動作、を行います。多くの選手が3~4回行うパドリング動作の後は、ソリは斜面を滑り降りるだけですから、「選手が自らの腕力で勢いを付けることが出来る唯一の機会」ということになりますので、パドリングは力強ければ力強い程良いと言われます。

 しかし、実際の競技ではスタートタイムが速い選手が、全体として良いタイムを出せるとは限らないのです。
 この大会の1回目の競技は、その典型でした。1回目トップに立った、ロシアのデムチェンコ選手のスタートが速くなかった、というより、とても遅かったのです。

 まず世界ランク上位12名=Aグループの選手が滑り、続いてBグループの選手が滑るルールなのですが、26人目の選手のスタートタイムがデムチェンコ選手のスタートタイムを上回っていました。しかし、その26人目の選手の全体タイムはデムチェンコ選手より2秒近く遅いものでした。
 当然ながら、Aグループの大半の選手のスタートタイムは、デムチェンコ選手を上回っていました。しかし、全体タイムはデムチェンコ選手がトップでした。

 この結果を見ると、デムチェンコ選手は良いタイムを出すために「わざと遅いスタートを切った」と言えると思います。
 スタートが速ければ、デムチェンコ選手のタイムはもっと良かったのでは、という見方もあるのでしょうが、これはオリンピックなのですから、その見方は当たっていないと思います。世界トップクラスの選手達が一堂に会して争っているのですから、デムチェンコ選手より速いスタートを切った他の一流選手が、デムチェンコ選手より速いタイムで滑り切れば良いことなのですが、それが出来ていないのですから。

 スタート後のコースの形状や、500m先・1000m先のコースを速く滑るために、スタートを遅くするという選択・戦術は、当然有るものでしょう。
 実際に、この試技で、デムチェンコ選手は最後の200m程で0.5秒位、他の選手よりタイムを稼ぎました。このレベルの大会では驚異的な差でした。ゴール前のスピードが、他の選手より圧倒的に速かったのです。
 こんなことが可能なのだと感心しました。良いタイムを出すために「遅いスタートを切った」のであろうと思います。

 もちろん、コースの形状や氷の状態、選手の体格・体重や腕力、得意な技術、等々の要因により、個々の選手にとってベストな滑りは異なって来るのでしょう。スポーツの難しいところです。

② 頭が低ければ低いほど良い訳ではないこと。

 リュージュにおいては「空気抵抗を小さくすること」が、良いタイムを出すために重要なことは言うまでもありません。一方で、脚を下に向けてソリに乗り滑る競技ですから、前方を見るためには頭を上げなければなりません。しかし、頭を上げると空気抵抗が高まりますから、一流選手ほど頭が低いとも言われるのです。

 ところがこのレベルの大会になると、頭が低い選手ほどタイムが速いというわけではないところが、面白いところです。
 どの競技にも観られることですが、国毎に独特の技術・特徴があります。リュージュも同様で、頭が低いフォームを特徴としているのはオーストリアチームです。オーストリアの選手達は、あんなに頭が低くて前が見えるのだろうかと心配になる程、滑っている間中低い姿勢を続けます。

 しかし、リュージュの強豪国となれば、ドイツ、イタリア、北欧といったところで、オーストリアはその次に位置しているように思います。

 このレベルのリュージュ競技においては、空気抵抗の増大によるタイムロスより、コース取りやカーブにおける左右の体のバランス取り、全体のスピード配分といった要素の組み合わせから得られるタイムカットの効果の方が、より大きいということになります。「前方を良く見ること」が重要なのです。

 こうした要素に対して、個々の選手がどのような対応をし、技術を発揮しているのかは、映像からもなかなか観えないところであり、この競技の神髄であろうと思います。こうした肝心な情報は、秘中の秘ということでしょう。決して、表には出ないものなのです。

 1日目2回の試技を終えて、合計タイムトップはドイツのロッホ選手、前回のバンクーバーオリンピックの金メダリストです。2位は1回目トップだったデムチェンコ選手、そして3位はイタリアのツェゲラー選手でした。
 ツェゲラー選手は、1994年のリレハンメルから前回のバンクーバーまで5つのオリンピック大会連続でメダルを獲得していて、ソルトレークシティとトリノでは金メダルを獲得しているという、世界リュージュ史上最高の選手と呼ばれている名手です。

 既に40歳のツェゲラー選手ですが、この大会でも優勝を争っているのです。研究され尽くしている筈のツェゲラー選手の滑りですが、いまだに核心は明かされてはいないのでしょう。

 また、リュージュ界最高の指導者と言われているブライトナーコーチが、ソチ・オリンピックを控えて、ロシアチームのコーチに就任しました。自国のオリンピックに向けての強化策なのでしょう。そして、前述のようにデムチェンコ選手が良い滑りを披露しています。

 ツェゲラー選手やブライトナーコーチの活躍を観ると、本当に大切な情報が全く一般化していないことは明らかです。

 いつも申し上げて恐縮ですが、やはり現代は情報不足の時代だと思います。
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