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HOME   »   スキー  »  [ソチ・オリンピック 4] 「滑降」の観戦方法
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 アルペンスキー男子滑降が2月9日に行われ、オーストリアのマティアス・マイヤー選手が優勝しました。近時のオリンピックや世界選手権では、アルペンスキー競技の最初の種目として、男子滑降が行なわれることが多いのですが、今大会も3,500m近い長さの、急斜面・固く引き締まった難しいコースで、世界トップクラスの技術が披露されました。素晴らしいレースであったと思います。

 オリンピックや世界選手権の滑降やスーパー大回転といった「高速系種目」をテレビ観戦する際に、留意したいポイントを挙げます。

① バランスを崩したり、バタバタする滑りは、好タイムであることが多いこと。

 通常は、バランスを崩したり、スキーがバタついている滑りは、タイムの遅れに繋がると言われますが、ことオリンピックや世界選手権といった「世界最高レベルの大会」では、好タイムに結びつくことが多いと思います。

 世界最高レベルの大会の第一シード=金メダルを争う選手達(15名程度)は、スピードがある程度しか出ていない状態であれば、キチンとクラウチング姿勢を取り、スキーの真ん中に乗って滑ることが出来ます。例えば、ある斜面を時速110kmであれば余裕を持って滑ることが出来るが、120kmだと、ギリギリの滑りになるのは、当然のことです。

 そして、オリンピックのような大会では、「ある程度のスピードでは勝てない」のです。トップ15のレベルの差はほとんどありませんから、各々の選手が「転倒しないで済むギリギリのスピード」にトライします。従って、体のバランスを崩し、スキーもバタバタさせながら、雪面に挑戦し続けるのです。

 逆に言えば「バランスを崩したり、スキーがバタバタしないような滑りでは、好成績は望めない」ということになります。テレビ画面を見ながら、「まとまった滑り」だと感じたら、その選手は「遅い」と見て間違いありません。
 その大会が、世界最高レベルであり、世界最高のスキーヤーがギリギリの滑りを展開していることを忘れてはならないのです。

② コース取りが上手く行っていないように見える滑走の方が、好タイムであることが多いこと。

 これも①と同じ理屈です。ターンの際に「高い位置から入り、膨らまないほうが良い」というのは、一般の大会について言えることで、世界最高レベルの大会では、スピードを出すことが一番大切なことですから、コースを外れることが多いのです。

 二本のブルーラインで示されたコースの中に、キッチリ収まっているような滑りでは、好成績は望めません。このクラスの選手は、少し遅いスピードであれば、理想的なラインでコース通りに滑ることなど造作も無いことなのですが、そんなスピードでは優勝は狙えないことを知っているからです。

 当たり前のことですが、例えば50mを滑るのに秒速20mであれば2.5秒を要しますが、60mを滑るのに秒速30mであれば2.0秒で滑ることが出来ます。少し膨らみ、滑る距離が60mに伸びても、速く滑ることが出来れば、タイムを縮めることが出来るのです。このクラスの選手達は、前後の滑りのことも考慮して、後者の滑りを選択するのでしょう。

 従って、「コースを外れ、ブルーラインの外側を滑るようでなければ好成績は望めない」ということになります。
 今大会の男子滑降コースでも、ここそこにそうした箇所がありましたが、一番典型的だったのは、ゴール前の最後の直線・急坂の下り斜面でした。好タイムの選手達は皆、向かって左側のブルーラインの外側(テレビ画面で言えばラインの左側)から突っ込んできました。左側のブルーラインの内側を滑り降りてきた選手は皆、タイムが出ていませんでした。最後の直線に掛かる寸前のターンを高速で回った選手は、必ずブルーラインの外側に押し出されていたのです。

 「望ましいラインを滑っているようではメダルは取れない」ことを認識した上で観戦すると、とても面白いと思います。
 
③ スピードが出ているかどうかは、自分の眼で判断し感じること。

 タイムの途中計時が行なわれますが、いつも申し上げるように、あまり気にする必要はありません。
 今大会でも再三観られましたが、第一のチェックポイントで0.02秒上回っていたのが、第二のポイントでは0.09秒の遅れに変わった、などということは、全体のタイムを見ていく上では殆ど意味が無い情報です。

 「前半の急斜面でタイムを稼ぐ」「後半の緩斜面の滑りで勝負する」「中盤の滑りで差を付ける」等々、各選手は様々な作戦で競技に臨むのですから、途中の、特に前半の計時などは参考情報程度のものだと思います。
 そんなことを気にすることで、滑りの様子に集中して観戦することが疎かになっては、本末転倒でしょう。

 最初の選手から、数名の選手の滑りをテレビ画面で見れば、コースの各々の場所を通過する時に、どれくらいのスピードであれば、第一シード・世界トップクラスの選手の普通の滑りであるかが分かって来ます。この段階で「自分の物差し」を身に付けるのです。
 あとは、自分の物差しに比して、この選手は速いのか遅いのかを判断し感じることが大切でしょう。自分の眼で判断してみるのです。

 テレビ画像から「バランスを崩したが、とても速く滑っている」ことを発見することが出来れば、とても面白い観戦になりますし、世界最高レベルの選手たちの最高の滑りを感じることが出来るのではないでしょうか。それが、高速系アルペンスキー種目を観戦する秘訣だと思います。

 今回のテレビ放送でも
「大きくバランスを崩しました。・・タイムは上回ってきました。」
「大きく膨らみました。・・速い。好タイムです。」
「バタバタした滑りです。・・トップに立ちました。」
 といったアナウンス・コメントが再三聞かれました。

 どの選手が速く滑っているのか、速く滑るというのはどういうことか、については、観客が自らの眼で判断し、感じられるようになることで、滑降やスーパー大回転といった種目を、もっと楽しむことが出来ると思います。
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