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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム13] 府中牝馬ステークスとノースフライト
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 府中牝馬ステークスは、「牝馬東京タイムズ杯」(牝馬東タイ杯と呼ばれました)として行われていた時期が印象的なレースです。1992年東京タイムズが廃刊になり、府中牝馬ステークスという名称に変わりました。現在、勝ち馬に贈られる正賞は府中市長賞となっています。

 こうした冠レースは、スポンサーが居なくなった時に廃止されることもある訳ですが、このレースは正賞を変えて存続しました。それだけ、重要な重賞競走であるということだろうと思います。

 このレースは、1953年・昭和28年、3歳以上牝馬限定のハンディキャップ制重賞競走、「東京牝馬特別」としてスタートしました。以前の当ブログでも書きましたが、昭和20年代に創設された重賞競走は中央競馬界肝煎りのレースです。東京牝馬特別競走も、そういう重要な位置付けのレースだったのです。

 当初は、秋競馬の3歳・古馬を含めた牝馬限定重賞は他にありませんでしたので、桜花賞やオークスといった大レースの勝ち馬も多数、出走しています。その点では、年末に行われていた阪神牝馬特別や年明けに行われていた京都牝馬特別と並ぶレースであったと思います。(この3レースの内2レース、あるいは3レース全部を勝っている強豪牝馬が沢山います)

 1964年に東京タイムズから優勝杯が寄贈され、レース名が「東京タイムズ杯牝馬特別」に変わり、1967年頭書の「牝馬東京タイムズ杯」となりました。この頃は、11月の中下旬に距離1600mで行われていましたので、牝馬マイル王戦という趣のレースであったと思います。

 1984年のグレード制導入時にG3に格付けされましたので、条件馬からの挑戦の受け皿としての位置づけも加わり、多彩な優勝馬を有するレースとなりました。1996年、エリザベス女王杯が古馬に開放されるのと同時に、距離が1800mに延長されました。この年から、府中牝馬ステークスは、エリザベス女王杯への重要なステップレースという位置付けになりました。

 歴史があり、レースの性格が度々変わった府中牝馬ステークスですので、勝ち馬はバラエティに富んでいます。1976年ベロナスポート・1977年セーヌスポート・1978年モデルスポートのターフ・スポート所有馬の三連覇や1986年のダイナフェアリーなど、印象深いレースも多いのですが、本稿では1993年の勝ち馬ノースフライトを採り上げます。

 ノースフライトは、父トニービン、母シャダイフライト、生涯成績11戦8勝。鳴り物入りで輸入された1988年の凱旋門賞馬トニービンの初年度産駒です。
 ノースフライトは2歳時体が弱く、デビューは3歳の5月、既に桜花賞は終わっていました。続く二戦目の特別レースにも圧勝しましたが、三戦目の特別レースは5着に敗れました。(熱発とも言われました)

 3歳のクラシック路線には間に合わず、秋のエリザベス女王杯にも間に合わなかったノースフライトは、900万下条件馬として府中牝馬ステークスG3に登録します。獲得賞金額が少なかったので、出走可否は微妙でしたが、たまたま回避馬が出て出走できるようになりました。当時は古馬も含めたハンディキャップ戦でしたので、3歳900万下の彼女は斤量50㎏と恵まれました。
 一方鞍上の角田騎手は、この負担重量にビックリ、慌てて減量し間に合わせたと言います。そして直線鮮やかに差し切って勝利。ノースフライトは、勇躍エリザベス女王杯に駒を進めました。

 この年・1993年のエリザベス女王杯G1は、春の二冠馬ベガが休養明けぶっつけで挑戦し本命、二冠両方で2着のユキノビジン、トライアルレース・ローズステークスの勝ち馬スターバレリーナが人気でした。ノースフライトも府中牝馬ステークスの勝ちっぷりが評価されて5番人気。

 ノースフライトは、直線一度先頭に立ちますが、内から追い上げてきたホクトベガに交わされ2着。「ベガはベガでも、ホクトベガだ」と杉本アナウンサーが叫んでいました。正直に言って、私はこのレースでノースフライトを初めて認識しました。「50㎏でG3を勝った馬だと思っていたが・・・」と考えたことを憶えています。

 続く12月の阪神牝馬特別G3に快勝したノースフライトは、翌1994年になり一層本格化、1月の京都牝馬特別G3を6馬身差で圧勝。続くマイラーズカップG2でもマーベラスクラウン(ジャパンカップ勝ち馬)、ネーハイシーザー(天皇賞(秋)同)のセン馬・牡馬一線級をレコードタイムで下して快勝。安田記念G1も、強力な外国産馬4頭を相手に5番人気で出走、直線一気に差し切り優勝し、「マイルの女王」と呼ばれるようになりました。

 秋緒戦のG2スワンステークス1400mは、短距離の鬼サクラバクシンオーに1・1/4馬身及ばず2着に敗れましたが、本番のマイルチャンピオンシップG1は逆に1・1/2差でサクラバクシンオーを下し、春秋のマイルG1連勝の偉業を達成しました。1400ならサクラバクシンオーが勝ち、1600ならノースフライトが勝つという、この2頭の秩序には、凄まじいものがありました。

 この1994年のノースフライトの戦績は、重賞のみ5戦4勝、2着1回、G1を2勝という素晴らしいもので、例年ならJRA年度代表馬に匹敵する成績ですが、この年はナリタブライアンが三冠を制した歳でしたので、年度代表馬はナリタブライアンに譲りました。但し、報道によれば、ナリタブライアンの年度代表馬投票は満票ではなく、ノースフライトに1票が投じられたそうです。

 ノースフライトが条件馬からオープン馬に進んだレースが、府中牝馬ステークスです。こうしたレースが、この時期にあることの意義を感じます。

 府中牝馬ステークスは、2000年から開催日が秋華賞と同日となり、秋華賞が斤量定量55㎏のレースであることから、斤量が賞金別定であったこのレースは、獲得賞金額の多い3歳強豪馬から敬遠されるようになりました。1998年のメジロドーベル(斤量58㎏でこのレースを勝ちました)以来、エリザベス女王杯の勝ち馬が出なくなったのです。

 この現象に対する対応策と、3歳牝馬の上がり馬および4歳以上の古馬牝馬のためのレースの位置付けを、再度明確にするためかと思いますが、中央競馬会は2010年から格付をG2に引き上げ、賞金額が大幅にアップ、負担重量もグレード別定としました。今年からは、開催日も秋華賞と同日ではなく、秋華賞前日の土曜日となりました。

 昭和28年から、3歳以上全ての牝馬の秋の重賞レースとして華やかな牝馬の戦いを生んできた「府中牝馬ステークス」は、時代を超えて着々と進化してきました。G2レースになりましたので、また新たな装いを身に付けることと思います。

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