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HOME   »   その他のスポーツ  »  [ソチ・オリンピック27] カーリングの醍醐味
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 2月20日に行われた、カーリング女子の決勝、スウェーデンとカナダの対戦は見所満載の素晴らしい試合でした。
 カナダチームが6-3で勝ち、スウェーデンチームのオリンピック3連覇を阻止するとともに、1998年長野大会以来のオリンピックチャンピオンに輝きました。

 試合全体を通して、カナダが攻めてスウェーデンが守るという形でした。この大会、この「攻めのカーリング」で予選を9戦全勝として決勝トーナメントに進出してきたカナダチームですから、そのやり方を継続したのでしょう。

 特に、第6・第7エンドの攻防は見応え十分でした。

 第5エンド終了(前半終了)時点で3-3の同点。コーチとの相談を含めたハーフタイムから後半に入りました。有利な後攻はカナダ。

 ここで、カナダチームは「わざと点を取らない=無得失点のエンドを作る」作戦に出ました。第8エンドと第10エンドという「キーになるエンドの後攻を取るため」です。
 先攻のスウェーデンが投じたハウスの中のストーンをハウス外に出し(テイクアウト)続けます。1つのストーンを1つのストーンで出し、ハウス内にはストーンが溜まらないので「きれいなゲーム」などと呼ばれますが、実行し続けるのは大変難しいことです。

 相手のストーンにぶつけて、それをハウス外に出すのは、それほど難しいことではないのでしょうが、そこで自らのストーンがハウス内に残ってしまったり、ガードとして残ってしまうと、相手チームに付け入る隙を与えることになります。対戦相手は、トリノ・バンクーバーを連覇中の最強スウェーデンチームなのです。

 カナダチームは1投1投とても丁寧なプレーを続けました。スウェーデンチームも、隙あらばという準備万全という感じ。
 最終ストーンとなるカナダのスキップ・ジョーンズ選手のスローは見事なものでした。厚く当てすぎて、自らのストーンがハウス内に残り「1点を挙げてしまうことを絶対に避けるため」「このエンドを絶対に勝たない、そして絶対に相手ストーンを残さないで引き分けるため」に絶妙のスローでした。やや薄く当て、スウェーデンストーンを外に出すと共に、自らのストーンも大きく外に出たのです。

 普段であれば、なんでもないスローなのでしょうが、舞台はオリンピック決勝です。易しいようで、とても難しいスローでしょう。
 それまでチーム全体で創り上げてきたゲームを生かすも殺すも、最終試技者=4人目のスキップの1投です。世界最高水準の技術と精神力が必要であることは、言うまでもありません。

 第7エンドでも、カナダチームは「両チームが得点を取らない」ことを目指し、プレーし、実行しました。2つのエンドを連続して0-0のエンドとすることに成功したのです。第5エンドで3-3に追いつかれたときは、試合の流れはスウェーデンチームに在ると思いましたが、第6・第7エンドの作戦成功で、試合の流れもカナダが引き寄せた感じでした。

 カナダチームは、攻勢に出た第8エンドにギリギリのところで1点を取り、4-3とリードして第9エンドを迎えました。久々に後攻のスウェーデンチームとしては2点以上を取り、逆転したいエンドです。丁々発止の投げ合いから、ハウスの中には両チームのストーンがずらりと並びます。
 そして、スウェーデンのプリュッツ選手の最終ストーンが投じられました。ストーンはゆっくりと目標に迫りますが、僅かに手前で止まってしまいました。NO.1ストーンはカナダ。カナダチームは、2点をスチールし、6-3とリードを広げました。
 1投で「天国と地獄」という、カーリングの醍醐味そのもののプレーでした。

 最終の第10エンド、スウェーデンチームは有利な後攻でしたが、3点以上を挙げることは無理と判断し、棄権して、試合が終わりました。スリリングなゲームでしたし、世界最高レベルの女子カーリングを存分に楽しませていただきました。

 カーリング競技で勝つために最も重要なことは「正確にストーンを投げる能力」だと思います。当たり前のことを書いているようで恐縮ですが、ストーンの前をブラシで掃く「スウィービング」も大切なものの、基本的には「スロアーの投げる能力が成否の大半を決める」ということです。
 カナダチームとスウェーデンチームの「投げる能力」の高さと、正確なストーンの動きには感心しました。

 エンド毎や試合全体の作戦・戦略も、もちろん大事ですが、「狙ったとおりに投げられない」のでは、作戦も何もあったものではありません。「狙ったとおりに投げられる確率が高い」チームが、勝利を得ることが多いスポーツなのでしょう。

 従って、カーリングで強くなるためには、ストーンを投げるための十分な筋力を身に付け、微妙な指先の感覚を研ぎ澄まし、緊張した状況でもいつものプレーが出来るように精神力を鍛えて行くことが基本でしょう。

 「カーリングもフィジカルスポーツ」なのです。相当重いストーンを自在に操ることが出来る筋力と体幹の強化が、最重要課題でしょう。作戦や戦略のトレーニングは次の段階、「正確に投げられるようになってから」で十分間に合うと考えます。

 カナダチームのスキップ、ジェニファー・ジョーンズ選手は39歳。スウェーデンチームのこの試合のスキップ、マリーア・プリュッツ選手は37歳。
 女子カーリング選手の技術と経験が最高レベルに達するのは、30歳代の後半ということかもしれません。

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