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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム96] 1,800mのスペシャリスト ヤマブキオー号
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 ヤマブキオーは、1976年・昭和51年の中山記念の勝ち馬です。

 ヤマブキオーは、中距離に強い馬でしたがマイラー(1,600m)ではありませんでした。1,800mのレースにとても強かったのです。

 ヤマブキオーは、「ハイセイコー世代」です。あの稀代の人気馬ハイセイコーと同期・1973年に3歳を迎えた世代でした。
 ヤマブキオーはしかし、クラシックレースには全く縁が無く、ハイセイコーとタケホープが凌ぎを削っていた頃、条件馬として走り続け、本格化の過程にありました。

 明けて1974年・4歳となったヤマブキオーは、1月の特別レース・ガーネットステークス、2月のオープン競走、3月の中京記念と3連勝し、ついに重賞勝ち馬となりました。中京競馬場を舞台にした3連勝でした。

 勢いを駆って、11月の天皇賞(秋)にトライしましたが、当時は3,200mだった天皇賞(秋)ですから、後から思えば距離が長すぎたのでしょう、カミノテシオ、イチフジイサミ、ディクタボーイという同期3頭の優勝争いから少し置かれた13着でした。

 1976年・6歳になって、ヤマブキオーは「中距離で強さを発揮する古馬」として完成されたように観えました。
 特別レースを制して臨んだ中山記念で優勝したのです。

 重賞・中山記念競走は1936年・昭和11年開始、当初は天皇賞と同じ様に「春」と「秋」の年2回実施という、中央競馬でも屈指の歴史と格式を誇るレースです。このレースを制したヤマブキオーは、この年、京王杯スプリングハンデと金鯱賞も制して、重賞3勝の大活躍でした。そして、この3レースは、いずれも1,800m戦でした。

 「千八のヤマブキオー」を象徴するレースがあります。東京競馬場・1974年11月9日のオープン競走です。
 当時は、重賞競走が少なかったこともあり、いわゆる一流馬が大レースに向けて「一叩き」するためのオープン競走が数多く実施されていました。月に1~2回は組まれていたのではないでしょうか。
 このレースも12月の有馬記念のステップレースとして重要な位置付けのレースでしたから、ハイセイコー・タケホープ・ストロングエイト・ディクタボーイ・メジロスイセイといったクラシックホース・重賞勝ち馬が大挙して出走してきました。
 現在で言えばG1レース並みのメンバーによる、平場オープン競走だったのです。注目度が非常に高く、テレビ放送も行なわれました。

 そして、ヤマブキオーはこのレースを制しました。ハイセイコー・タケホープという「同期2枚看板」を従えて優勝したのです。皐月賞(中山競馬場の2,000m)優勝のハイセイコーを2着に押さえ込んだレース振りは、ヤマブキオーの面目躍如たるもので、「やるもんだなぁ」と、テレビの前で呟いたことを憶えています。

 ヤマブキオー号、父パーソロン、母アサマヒカリ、母の父メイジヒカリ、通算成績47戦20勝、重賞6勝、オープン競走7勝。

 父親のパーソロンは、シンボリ牧場とメジロ牧場という2大牧場がアイルランドから共同輸入し、当時全盛期を迎えていた種牡馬でした。メジロアサマ(天皇賞(秋))、カネヒムロ・タケフブキ・ナスノチグサ・トウコウエルザ(以上オークス)、ナスノカオリ・ダイナソロン(以上桜花賞)、サクラショウリ(日本ダービー)、スイートネイティブ(安田記念)、そして代表産駒はシンボリルドルフ(三冠、有馬記念2回、天皇賞(春)、ジャパンカップ)、といった錚々たる優駿を輩出した、日本競馬を代表する名種牡馬でした。

 一方、母の父メイジヒカリは、日本ダービー馬であり、内国産種牡馬としてクラシックホースや天皇賞馬を輩出するなど、日本競馬を支えてきた名馬でした。

 この血統から、中距離の名馬・ヤマブキオーが生まれたのです。ヤマブキオーは、ゴール前の競り合いに滅法強かったという印象が有りますが、これはメイジヒカリの血ではないかと、私は思っています。

 ヤマブキオーは20勝しました。中央競馬で20勝以上を挙げた最後の競走馬だと言われています。MLBにおける最後の4割打者のようなものでしょうか。大変な実績だと思います。
 そして、オープン競走を7勝もしました。現在のレース体系なら、この内の相当数がG3重賞だったのではないかと思います。そうすると、今なら大変な数の重賞を制した馬ということになるでしょう。

 ハイセイコー・タケホープの1973年世代で異彩を放ったヤマブキオーは8歳まで走りましたから、トウショウボーイ・テンポイント・グリーングラスの1976年3強世代とも有馬記念などのレースで戦っています。

 大レースの多くが2,400m以上であった時代ですが、1,800mではヤマブキオーが主役を演じていたのです。
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