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 先般の本ブログで、今期のMLBアメリカンリーグ三冠王ミゲル・カブレラが、193㎝116㎏の体格で、MLB歴代三冠王の中でも最大サイズのプレーヤーであると書きました。
 MLBの野手は大型化が進んでいて、例えばヤンキースのアレックス・ロドリゲスは191㎝102㎏、余り大きく見えないデレク・ジータでも190㎝あります。ちなみに松井秀樹は、188㎝104㎏と、サイズもメジャーレベルです。

 一方、日本プロ野球NPBはというと、近年サイズが小型化している印象です。年に数回は東京ドームで観戦しますが、最近の巨人軍のプレーヤーは、阿部慎之介選手の180㎝97㎏、坂本隼人選手の188㎝80㎏がやや大きいなという位で、170㎝台の選手も多く、全体に体が細い(=筋肉が少ない)印象です。

 別に「体が大きければ良い」などとは思っていませんが、大きな選手と小さな選手が両方いて、それぞれの持ち味を活かすのが、プロスポーツとして望ましい姿だろうと思いますので、その観点からは、現在のNPBは大柄な選手が少なすぎるという印象です。
 米国勤務が長かった友人によると「NPBは、テレビを点けた瞬間、アメリカのハイスクール(高校)の試合かと思ってしまう。選手が細いから」と言います。

 プロスポーツは、エンターテイメントですから、観客に楽しんでもらわなければなりません。お客様が楽しいと感じるための要素は色々ありますが、その内のひとつが「非日常性」だと思います。
 観客の普段の生活では、見たり感じたりすることができないものを提供することが、非日常性具体化の方法です。その非日常性を提供する方法のひとつが「プレーヤーのサイズ」でしょう。
 見たこともないような大男が、素早く力強く動くことは、普段の生活でお目にかかることは滅多にないことだからです。また、視覚的にも大きいということだけで訴求力があります。加えて美しければ、これは最上級のエンターテイメントのひとつでしょう。

 大相撲は、そのエンターテイメント性に占める「体の大きさ・美しさ」の比率が、特に高いプロスポーツでしょう。大相撲の関係者に話を聴くと「大きくて肌艶の良い力士の体そのものが、大相撲最大の売り」だと言います。

 私も年に数回、両国国技館に足を運びますが、力士の体の美しさにはいつも感心します。例えば、少し前に小錦という外国人力士が居ました。優勝3回を誇る名大関でしたが、テレビ画面で見る限り、色黒でぶよぶよした感じがして、お世辞にも綺麗な体とは言えません。
 ところが、国技館で観るとこれが綺麗です。やや紫色(餡子の薄い色と言う感じ)に見える小錦は、国技館の席から観ると少し距離もあるためか、肌のシミや皺も気にならず、ほうっと思うほど美しく観えました。晩年、相当に太ってしまってからも容色?は衰えなかったと思います。

 あとは、時津海(現、時津風親方)も大変綺麗であったと思います。日本人の「相撲取り」の典型でしょう。現在の白鵬や稀勢の里の肉体もやはり、プロとしての水準を超えています。

 大相撲は、この肉体を最初に「土俵入り」で披露します。ぐるりと土俵を回り、全ての観客の前をゆっくりと歩きます。続いて、取組における「仕切り」で披露します。時間一杯になるまでの数分間、観客は力士をゆっくりと観ることができます。
 仕切りは、もちろんプレーヤー(力士)が戦い(取組)に向けて、精神を集中し気合を高めていくためのものですが、一方で、観客に良く見てもらう時間を提供することがプロスポーツとしての重要な要素であると考えます。

 ちなみに「相撲は古来日本に伝わる神事」などと喧伝されることも多いのですが、私はそのことと大相撲を過度に関連付けるべきではないと考えています。但し、なぜ相撲が「神事」たりえたかを考えれば、「体の大きさ・美しさ」が重要な要素であったことは、容易に想像できます。

 大男が体を清めて(川や風呂などで丁寧に洗って)、化粧まわしなどで飾って、村などの地域コミュニティーを代表して神様の前で闘う。村民やコミュニティーの構成員は、心から「おらが力士」を応援し、楽しむのでしょう。
 強い力士ともなれば、その体に触れることでご利益を得ようとするのでしょう。力士には「神が宿っている」と考えられてきたのです。そう信じさせる重要な要素が「大きくて美しい肉体」なのです。

 私も4~5歳頃だったと思いますが、生まれ育った町に当時の大関豊山が来訪し、オープンカーで目抜き通りをパレードしました。その時に私は、父親に抱えられ・持ち上げられて豊山のお腹に触りました。真っ白で柔らかいお腹だったことを憶えています。他の観衆も、我先にと触っていました。

 前述の大相撲関係者が言います。「この体を維持するために稽古をしているんだよ」と。稽古は、強くなるためだけのものではないのです。

 もちろん、大相撲のプロスポーツとしての「非日常性」の仕上げは、そのパワーとスピードにあることは言うまでもありません。幕内力士の平均体重が160㎏を超える大男達が、驚くべきスピードで突進し、ぶつかります。外国人の友人達は口をそろえて「素晴らしいスピードだ」と言います。加えて、160㎏もの相手力士を押し出したり、投げたりするのですから、パワーも申し分ありません。
 スポーツマンとしての運動能力を具備した「大きくて美しい肉体」なればこそ、かつては神事の対象であり、現在はプロスポーツとして存在しているのでしょう。

 ゴルフでも、基本的には同様だと思います。プロゴルファー青木功は海外トーナメント、特にメジャー・トーナメントで、欧米のプレーヤーと互角の勝負を展開しました。ここで、大切な要素は、青木は身長180㎝を超えるボディを保持していて、当時の世界最高のプレーヤー達と「互角の大きさ」であったことです。

 青木とジャック・ニクラウスの1980年全米オープン、バルタスロール・ゴルフクラブでの死闘は既に伝説ですが、ニクラウスと青木の体格は、ほぼ互角でした。
 目いっぱいのスイングで打つ270ヤードのショットと、8分の力で打つ270ヤードショットでは、その安定感が全く違います。青木は、ショットにおいて二クラウスと4分6分の勝負が出来る肉体を持ち、アプローチ・パッティングにおいて6分4分の勝負をする技術を駆使して、4日間互角のゲームを展開し得たのでしょう。
 世界最高のジャック・ニクラウスに、パワーでも引けを取らない青木選手のプレー振りは、当時の日本ゴルフ界が世界に通用することを示すものでした。そして、テレビから流れる青木の映像は大きく力強いものでした。

 ベースボール・野球でも同様だと思います。王貞治や長嶋茂雄は、当時のMLBを代表するプレーヤー達とほぼ互角の体格でした。ハンク・アーロンが来日した際に、日米のホームラン王として、王貞治と比較され、スタジアムでも並んで写真を取ったり、インタビューを受けたりしましたが、そのサイズはアーロンの方が少し大きい程度の違いでした。当時は180㎝越えが、MLBサイズだったのでしょう。

 同水準の体格を持つ王選手が、ハンク・アーロンの「世界記録755本」(当時はこう呼ばれました)を抜くというのは、観客にとって疑いを差し挟む余地のない、受け入れやすい事実であったと考えます。日本プロ野球のファンにとって、パワーを表すホームランの世界記録樹立というのは、日本の誇りであり、「非日常性」の具現化そのものです。

 また、当時の日本プロ野球界を代表する投手であり400勝の記録を持つ金田正一は、184㎝ありました。当時としては長身プレーヤーで、その長い腕から力みのない綺麗なフォームで繰り出されるストレートは、現在のような計測装置があればスピード155㎞は優に超えていたでしょう。当時のMLBでも十分に通用した素晴らしいピッチャーだったと思います。

 さて、現在のベースボール・野球に話を戻します。

 現在のMLBのロースタープレーヤーのサイズは、どれくらいでしょう。統計資料を持っているわけではありませんので、私の感覚で申し上げます。

・投手は、身長190㎝台が標準。2mを超えれば*大型投手でしょう。
・野手は、身長185㎝~190㎝が標準。190㎝を超えれば大型プレーヤーでしょう。

 (*2mを超える投手の代表は、有名なランディ・ジョンソンで208㎝。今シーズンの先発投手でいうと、20勝5敗でアメリカンリーグの最多勝を記録したジェレッド・ウィーバー(エンゼルス)が201㎝、ヤンキースのエースで15勝6敗のCCサバシアが201㎝、シアトルで11勝11敗のブレイク・ベバンが201㎝、デトロイトで10勝10敗のダグ・フィスターが204㎝。ブルペンピッチャーを入れると相当数居ます)

 日本人投手でいえば、ダルビッシュは196㎝ですから標準。黒田は185㎝93㎏ですから、やや身長は低いが立派なメジャーサイズ。岩隈は、191㎝ですから標準。現在ダイヤモンド・バックスに所属している斎藤隆投手は188㎝91㎏ですから、十分なメジャーサイズです。
 日本人野手でいえば、頭書の松井秀樹だけがメジャーサイズとなります。

 野手より投手の方が高身長なのは、いつの時代も共通しています。求められるスペックとして、左右への素早い動きとか、ランニングの速度・持久力、バッティング技術などは要求されない代わりに、速い球・鋭い変化球を投げるパワー・技術、沢山の球数を同じ水準で投げ続ける体力・技術、投球の角度が大きい方が有利、といった理由で、身長が高い(=腕が長い、指が長い)ことが投手にとって有利なことなのでしょう。

 逆に野手は、前述の理由もあって、特にバッティングについていえば「必要なパワーを保持」しているのであれば、高い身長が必要であるとは限りません。例えば、ミゲル・カブレラの三冠王を強力にアシストしたデトロイト・タイガースの4番バッター、プリンス・フィルダーは、MLB屈指のホームランバッターですが、身長は180㎝です。
 但し、大事なことは「必要なパワーの保持」です。フィルダーは体重が125㎏あります。体重では、カブレラの116㎏より相当重く、筋肉量の多さも含めて、フィルダーのパワーの源がここに表れています。
 伸長が低く、細ければ、パワーが不足していると見るのが常識的です。

 東北高校時代のダルビッシュ投手や今年の大阪桐蔭の藤浪投手(197㎝)、花巻東の大谷投手(193㎝)ように、日本の高校野球界には、190㎝を超える大型の投手が続けて登場するようになりました。一方、野手で190㎝前後のサイズの選手は中々甲子園大会に出場してこないように思います。

 高校野球の野手で190㎝前後のサイズのプレーヤーが存在しないとは思われませんので、是非、スキルを上げて大舞台に出てきてほしいものだと思います。もちろん、体全体のバランスや筋力の向上など、大型の野手を育てることは難しいことなのでしょうが。

 10数年前、東京ドームの巨人対横浜の試合、私は1塁側ベンチのすぐ後ろの席で観戦していました。9回裏ランナー無しで、打席には巨人の松井秀樹、マウンドには横浜のクローザー佐々木主浩(190㎝98㎏)、どちらもサイズ十分の選手です。このころの佐々木のフォークは、かすりもしないという表現がぴったりでした。この打席で、松井はライト前に低いライナーでヒットを打ちました。ホームランではありませんでしたが、一塁ベース上で松井は嬉しそうでした。

 佐々木は、続く打者を簡単に打ち取って横浜が勝ちました。ゲームセットの瞬間、佐々木がもの凄く大きく見えました。内野席最前列でしたから目線が低かったこともあるのでしょうが、一瞬東京ドームの天井に届くのではないかと思うほど大きく見えました。(大袈裟なようですが、そのように憶えています。子供の落書きのような話で恐縮です)

 小柄でスピードに溢れた野球も大切ですが、サイズ十分でパワーに溢れた野球も面白いものです。視覚面も含めて、観客により多くの「非日常性」を提供することが、日本プロ野球再生の方法のひとつであろうと思います。パワーヒッターが登場すれば、飛ばないボールの問題など、直ぐに飛んで行ってしまうでしょう。

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