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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム99] 「黄金の馬」 ハギノカムイオー号
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 「黄金の馬」と呼ばれたハギノカムイオーの初重賞勝ちレースが、1982年のフジテレビ賞スプリングステークスでした。

 ハギノカムイオーは、1979年の北海道静内町で行われたセリ市で、1億8500万円という、当時の史上最高価格で落札されました。それまでの最高価格が5000万円でしたから、その記録を大幅に更新するものでしたので、マスコミが採り上げることとなり、競馬界のみならず一般の大ニュースとして報じられました。その落札価格の高さから「黄金の馬」と称されたのです。

 ハギノカムイオーが、これ程高額で取引された理由は、いくつか考えられます。

① 良血であったこと。

 父テスコボーイ、母イットー。父のテスコボーイは、当時の最高人気種牡馬でした。毎年のようにリーディングサイアーを獲得していました。母のイットーは、本ブログにも登場していますが、1975年の高松宮記念の勝ち馬であり、1973年の最優秀3歳牝馬(今で言えば2歳牝馬)、1975年の最優秀5歳以上牝馬(同4歳以上)の栄誉に輝く快足馬でした。

 加えて、ハギノカムイオー自身の馬体の良さ、品格も高く評価され、当歳の時から牧場には引き合いが絶えなかったと言います。

② テスコボーイの仔・牡馬はセリ市に出す義務があったこと。

 こちらが実は大きな要因です。テスコボーイは、日本軽種馬農業協同組合が輸入した種牡馬であり、結果として、その実績が高まった後も種付け料が安価でした。その代わり、必ずセリ市に出さなければならない、つまり「牧場での相対取引での売買は不可」というルールがあったのです。
 
 一般の民間牧場が輸入し、その種牡馬が何度もリーディングサイアーを獲得するとなれば、種付け料は高騰するものなのですが、テスコボーイの種付け料は低く据え置かれましたから、中小の牧場にとっては大変助かりましたので「お助けボーイ」と呼ばれました。

 ハギノカムイオーがテスコボーイの産駒でなく、他の有力種牡馬の仔ならば、おそらく、牧場で早々に取引されていたことでしょう。
 牧場での取引額は公開されませんから、当時既に1億8500万円以上の価格で取引されていたサラブレッドが他に居たと思います。
 従って、ハギノカムイオーは、公開されたサラブレッド取引の日本最高金額を大幅に更新したということになるのでしょう。

 競馬界のみならず、一般のニュースとしてもその存在がクローズアップされたハギノカムイオーのデビューは3歳の1月という遅い時期となりました。2歳の7月に軽度の骨折をしてしまったためですが、何より「おかしなデビューは避けなければならない」という、関係者の意識が強かったのでしょう。これで全然走らないのでは、「馬を見る目も含めて、競馬界全体の信用に係わる」ことだからです。

 1982年1月31日、京都競馬場での新馬戦は全国注目の的でした。
 カムイオーはこれを7馬身差で圧勝します。「さすが!」の声が全国で上がり、何と翌日のスポーツ各誌の一面トップとなりました。私も良く憶えていますが、新馬戦を1勝しただけなのに、駅の売店は「ハギノカムイオー」の文字だらけでした。

 そして東上。2戦目の桜草特別(中山競馬場)も3馬身差で快勝して、初重賞挑戦として選んだのがフジテレビ賞スプリングステークスだったのです。
 遅いデビューのカムイオーにとっては、ここで好成績を上げて皐月賞の出走権を確保しなければなりません。
 一方、牡馬クラシックロードの重要重賞レースであるスプリングSには、当然ながら3歳牡馬の強豪が名を連ねます。この年もサルノキング(東京4歳S、弥生賞と重賞連勝中)、アズマハンター、ワカテンザンといった同期強豪馬が出てきました。

 1番人気はサルノキング、2番人気はハギノカムイオーでした。これだけの実績馬を相手にしても2番人気に押されたのですから、カムイオーへの注目の高さが分かります。

 ハギノカムイオーは、2着ワカテンザンに2・1/2馬身差を付けて逃げ切りました。「さすがは黄金の馬」として、その評価は高まるばかり。いわゆる「スターとしての人気」は、この頃がピークだったと思います。

 当然のように一番人気で迎えたクラシック第一弾・皐月賞は、しかし、同型の逃げ馬ゲイルスポートとの競り合いから前半ハイペースとなり第3コーナーで失速、アズマハンターの16着と大敗してしまいました。

 続く、ダービートライアルNHK杯もゲイルスポートに絡まれて12着と大敗し、陣営は日本ダービー挑戦を諦めたのです。
 「短距離馬かもしれない」との見方も出てきましたし、少なくとも、スターに対する一般の興味は一気に薄れました。

 しかし、ハギノカムイオーは短距離馬ではありませんでした、秋になって神戸新聞杯・京都新聞杯の2000m重賞を連勝し、今度こそはと菊花賞に臨みましたが、これも前半のハイペースが祟り15着と大敗しました。
 「少なくとも中距離馬なのだろう」と思いました。

 4歳・古馬となったカムイオーは療養の後5月に始動、スワンステークス、宝塚記念、高松宮杯を3連勝しました。宝塚記念は2着に5馬身差のレコード勝ちでした。この頃が、カムイオーの最盛期であり、中距離で非凡なところを見せました。
デビュー当時の喧騒は全くありませんでしたが、良血であることを証明したのです。

 この後ジャパンカップや有馬記念など3戦しましたが、カムイオーは着外に終わり、競走馬を引退しました。

 ハギノカムイオー号、父テスコボーイ、母イットー、母の父ヴェンチア。通算成績14戦8勝、重賞6勝。

 クラシックレースや天皇賞・有馬記念といった、当時の大レースには縁がありませんでしたが、重賞6勝は立派な成績です。「黄金の馬」などといって、大騒ぎの中でデビューしていなければ、相当に高い評価を得たのではないかと思いますが、注目され過ぎたデビューの為に、不当に低く評価されているような気もします。

 獲得賞金は2億3100万円余りでした。1億8500万円という落札価格に振り回されたハギノカムイオーの意地を感じます。

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