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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム100] 阪神大賞典 ナリタブライアン号とマヤノトップガン号
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(「競馬コラム」は100号となりました。皆様のご支援のお蔭です。引き続き、よろしくお願いいたします)

 では、本稿に戻ります。

 この表題を見ただけで、多くの競馬ファンから「ああ、あのレース」と声が上がることでしょう。1996年第44回阪神大賞典競走は、それ程に印象的な、記憶に残るレースでした。

 1994年の三冠馬にして年度代表馬のナリタブライアンと1995年の菊花賞・有馬記念勝ち馬にして年度代表馬のマヤノトップガンが激突した、歴史に残るレースだったのです。

 最後の直線で2頭が競り合うレース=マッチレースというのは、時々見かけますが、この阪神大賞典こそ「The マッチレース」と呼ぶに相応しい、中央競馬史上最高のマッチレースではなかったかと思います。

 もちろん他にも、「The マッチレース」候補のレースが無いわけではありません。
 例えば、1974年の日本ダービー、コーネルランサーとインターグッドが府中の直線で競り合い、コーネルランサーがハナ差で勝ったレースや、記憶にも新しい2010年のオークス、アパパネとサンテミリオンの競り合い・同着、などはレースの格から見ても、十分に「The」を冠する価値のあるレースでしょう。

 しかし、この2つのレースと比較しても、1996年の阪神大賞典の方が「The マッチレース」に相応しいと考えます。その理由は、

① 3着馬との着差。

 この阪神大賞典では、競り合いを演じた2頭と3着のルイボスゴールドとは9馬身の大きな差が付きました。
 先頭を走るマヤノトップガンを見据えて、ナリタブライアンが動き出したのが2周目の3角。いつもは4角で捲くるブライアンが早目に2番手に上がり、4角にかけて並びかけました。4角から直線入り口で2頭はすでに並走状態にありました。つまり、阪神競馬場直線の最初から最後まで、この2頭だけの競り合いが続いたのです。

 コーネルランサー・インターグッドの日本ダービーは3着キタノカチドキとの差は1馬身、アパパネ・サンテミリオンのオークスは3着アグネスワルツとの差は2馬身でしたから、直線半ばまでは、他の馬も優勝争いに絡んでくるのではないかという感じがしたのです。

 しかし、この阪神大賞典は、直線に入った時点で他の馬にはチャンスが無いというか、「ナリタブライアンとマヤノトップガンしか見えない」レースだったのです。

② 競り合った2頭の競走実績。

 ナリタブライアン・マヤノトップガン共に年度代表馬であり、当該年度以外の年も、あの時代の中央競馬G1レースの中核を成す存在であったことが、このレースの特別な価値を増幅させます。
 これ程の実績馬同士が一歩も引かぬレースを展開した例は、多くは無いでしょう。

 直ぐに思い浮かぶのは、1975年の東京4歳ステークス・カブラヤオーとテスコガビーの競り合いです。カブラヤオーはこの年の皐月賞・日本ダービーの2冠馬、テスコガビーはこの年の桜花賞とオークスの2冠馬でした。後に2冠馬となるサラブレッド同士の叩き合いで、クビ差カブラヤオーが勝ち切ったレースでした。

 このレースは、最強牡馬と最強女傑が3歳の春に刃を交えたという点で、日本競馬においては極めて珍しいものですから、当然中央競馬の歴史に残る大レースでしたが、実は3着のテキサスシチーとハナ差だったのです。つまり、マッチレースではなく3頭の競り合いであったという点で「The マッチレース」の対象とは成り得ないものでした。

③ 力の限りを尽くした競り合いであったこと。

 こうした歴史に残るマッチレースには共通していることかもしれませんが、この阪神大賞典も、両馬そして両鞍上が死力を尽くしたレースでした。
   
 両馬の上がり3ハロンは34.5秒。(ずっと並走でしたから、当然同タイムです)3000mの長距離戦としては、とても速い上がりです。
   
 外から並びかけたナリタブライアンの鞍上は武豊騎手、先行し内で迎え撃ったマヤノトップガンの鞍上は田原成貴騎手、直線で両騎手は懸命に押します。残り100mで、僅かに内のトップガンが前に出ました。アタマ位リードしたのです。しかし、そこからブライアンは一完歩毎にじりじりと追い上げ、逆にアタマ差リードしたところがゴール板でした。

 2頭のフットワークはとても美しいもので、柔らかな筋肉が躍動し合う競り合いには、少しもギスギスした感じがしなかったことを、よく憶えています。2頭とも、自らの走行能力を存分に発揮したレースだったのでしょう。
 「サラブレッドの競り合いの極地」とも言える走りであったと思います。

 1953年・昭和28年開始という歴史と伝統を誇り、その時代その時代の強豪馬・大豪馬が毎年出走してきた阪神大賞典。1986年までは、12月・年末の風物詩であり、有馬記念との関係が深いレースでしたが、1987年からは春3月の開催となり、今度は天皇賞(春)の前哨戦の色合いが濃くなりました。

 一番人気馬がこれだけ強いG2レースは他に無いと思いますし、「牡馬しか勝ったことが無い」というのも、類を見ない特徴でしょう。「とても強い古馬・牡馬」が出走してくるレースなのです。

 今年も春の阪神大賞典がやってきました。完成されたサラブレッドによる、高品質なレースが展開されることでしょう。


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