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 このブログでも、アメリカ4大スポーツを採り上げる機会が多いのですが、これはMLB(ベースボール)、NFL(アメリカンフットボール)、NBA(バスケットボール)、NHL(アイスホッケー)の4つのリーグのプレーが、とても面白いからです。様々な理由がありますが、とにかく面白い。見る者を楽しませてくれる「仕組み」が構築されています。プレーヤーは、その仕組みの中で、自らの実力を如何なく発揮して、世界最高水準のプレーを展開します。

 面白いからお客様が入り売り上げが上がる、売り上げが上がり利益が出るのでプレーヤーや監督・コーチに高い報酬を提供できる、高い報酬を目指して世界中からトッププレーヤー他が集まる、プレーが一層面白くなる、面白いからお客様が一層多く入る・・・と良い循環が繰り返されています。

 もちろん、それぞれの競技・団体が、最初から現在のような「仕組み」を構築していたわけではなく、複数のリーグが統合されたり、いくつかの事件を経たりして、概ね1970年~1980年頃に、現在の形になったように思います。アメリカ4大スポーツは長い歴史を持っていますが、現在の形になったのは、比較的新しいことであると考えた方が良いと思います。

 個別のリーグの生い立ちなどについては、いずれ書くことがあると思いますが、ここではまず、4つのリーグの「仕組み」の基本部分・フレームについて採り上げます。この基本情報だけでも、大変興味深いものだと思いますので。

1. MLB(メジャーリーグ・ベースボール)
① 設立1903年(アメリカンリーグとナショナルリーグの2リーグが成立し、ワールドシリーズが始まった年)
② 所属チーム数30チーム(アメリカに本拠地29チーム、カナダに本拠地1チーム)
③ チームの組み分け 
・アメリカンリーグ東地区5チーム・中地区5チーム・西地区4チームの計14チーム
・ナショナルリーグ東地区5チーム・中地区6チーム・西地区5チームの計16チーム
④ 試合数 レギュラーシーズン各チーム162試合(4月~9月)
⑤ プレーオフ 各リーグの各地区優勝チーム3チームと各地区2位のチームの中で勝率上位2チームによるワンゲームマッチを勝ち上がった1チームの計4チームによるトーナメント方式。10月に実施され、ディビジョナルプレーオフ→リーグチャンピオンシップと進み、各々のリーグの優勝チームがワールドシリーズを戦う。

2. NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシェーション)
① 設立1946年
② 所属チーム数30チーム(アメリカ29チーム、カナダ1チーム)
③ チームの組み分け
・イースタン・カンファレンス アトランティック地区5チーム、中地区5チーム、南東地区5チームの計15チーム
・ウエスタン・カンファレンス 北西地区5チーム、パシフィック地区5チーム、南西地区5チームの計15チーム
④ 試合数 レギュラーシーズン各チーム82試合(10月~翌年4月)
⑤ プレーオフ 各カンファレンスの各地区の勝率1位の3チームと残るチームの中で勝率上位5チームの計8チームがトーナメント方式*で戦い、カンファレンスのチャンピオンチームを決める。各々のカンファレンスの優勝チームが6月にNBAファイナルを戦う。
(*各カンファレンス内の1位対8位、2位対7位、3位対6位、4位対5位の対戦)

3. NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)
① 設立1917年
② 所属チーム数30チーム(アメリカ23チーム、カナダ7チーム)
③ チームの組み分け
・イースタン・カンファレンス 北東地区5チーム、アトランティック地区5チーム、南東地区5チームの計15チーム
・ウエスタン・カンファレンス 北西地区5チーム、中地区5チーム、パシフィック地区5チームの計15チーム
④ 試合数 レギュラーシーズン各チーム82試合(10月~翌年4月)
⑤ プレーオフ 各カンファレンスの各地区の勝ち点**1位の3チームと残るチームの中で勝ち点上位5チームの計8チームがトーナメント方式*↑で戦い、カンファレンスのチャンピオンチームを決める。各々のカンファレンスの優勝チームが6月にスタンレーカップ・ファイナルを戦う。
(**勝ち点は、勝ちに2、60分での負けに0、延長戦・シュートアウトでの負けに1の配点)

4. NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)
① 設立1920年
② 所属チーム数32チーム(アメリカ32チーム)
③ チームの組み分け
・アメリカンフットボール・カンファレンス 東地区4チーム、北地区4チーム、南地区4チーム、西地区4チームの計16チーム
・ナショナルフットボール・カンファレンス 東地区4チーム、北地区4チーム、南地区4チーム、西地区4チームの計16チーム
④ 試合数 レギュラーシーズン各チーム16試合(9月第二週から翌年1月第一週までの17週間で16試合。各チーム異なる1週の休みがある)
⑤ プレーオフ 各カンファレンスの各地区優勝の4チームとそれ以外のチームの中で勝率上位2チームの計6チームがトーナメント方式で戦う。各々のカンファレンスの優勝チームが、2月の第一日曜日に開催されるスーパーボールに出場する。

 以上が、アメリカ4大プロスポーツの基本的なフレームになります。毎年細部の見直しがありますが、大枠はこの形です。さて、少し比較してみましょう。
(→続きへ)


 開催時期については、春から秋にかけての屋外スポーツに向いている時期には、主にMLBが開催されています。レギュラーシーズン6か月間で162試合を消化しますから、雨によるゲームの延期を考慮すれば、ほとんど休みなく試合が続きますし、たとえ贔屓のチームが休みの日でも、必ず全米・北米のどこかで別のチームの試合がありますから、「ベースボール イズ アメリカ」が具現化されています。
 そして、秋の足音が迫ってくると、NFL、NBA、NHLが始まります。

 各々の競技のチーム数は、MLB、NBA、NHLが30チーム、NFLが32チームとなっています。設立当初は、例えばNFLは4チームだったように、設立後どの競技もチーム数が増加し、現在のチーム数に収斂しています。
 例えば、MLBにおいても、何度かの新チーム設立・チーム数増加(イクスパンション)の都度、プレーヤーのレベル低下に対する懸念が叫ばれましたが、現在では30チームで落ち着きました。チーム数の増加は、お客様サイドの需要不足の面と、一定水準以上のプレーヤーの不足の両面のリスクを持っています。

 このチーム数の問題は、大変興味深い項目です。各競技約30チーム、4大スポーツ計122チームが、営業し生業として続けていける「需要」が、アメリカ+カナダ+全世界に存在していることになります。

 ベースとなる北米マーケットについて見れば、アメリカの人口310百万人(2010年)、カナダの人口34百万人(2010年)の計344百万人が主な顧客となります。この約3億5千万人の需要が、122チームを養い、それ以外のプロゴルフPGAや各種のXゲーム、インディカーレースなどの他の競技をも含めて、世界でおそらく最も多様なプロスポーツ界を支えていることになります。(アメリカの人口がカナダの9倍以上というのも、意外な程の差です)

 この種のマーケティングは、相当に精緻に行われていると考えられますし、各競技の主催者がどのような物差しで、計30チーム程度という仕組みを作り、維持しているのかは、とても興味深いところです。

 尚、アメリカ合衆国は先進国の中では唯一といってよいほど人口が大幅に増加している国です。1980年に228百万人だったものが2010年には310百万人と、30年で82百万人・36%も増加しています。様々な理由があると思いますが、人口流入・増加が進む「若い国家」が、こうしたプロスポーツ隆盛のベースになっていることは間違いありません。

 ちなみに、我が国ではプロ野球NPBが12チーム、プロサッカーJリーグJ1が18チームですので、日本のメジャープロスポーツは計30チームを支えている形です。日本の人口は128百万人(2011年)で、北米地域の約1/3、昨年から人口減少に転じました。おそらく、現在の日本のプロスポーツに対する需要の総量は、当該30チームを支えるには不足しているのかもしれません。
 もちろん、マーケットの問題は人口だけではなく、当該スポーツのファンの全体人口に占める比率も大きな要因だと考えられます。(日本より、はるかに人口が少ない欧州各国でプロサッカーリーグが繁栄していることを観ても明らかです)

 この北米メジャースポーツと日本メジャースポーツの比較や、プレーヤーの報酬額がアメリカの方が相当に高く、賞金額等も桁違いであることを考え併せると、アメリカ4大プロスポーツの生産性の高さ、売上規模の桁違いの大きさが感じられます。
 また、将来の北米地域の需要減に備えて、4大プロスポーツが、それぞれに世界への進出・拡大にきわめて積極的な理由も想像できます。

 さて、前述のフレーム比較に戻ります。

 一見して、NBAとNHLが、とても良く似たフレームであることが判ります。
試合数もレギュラーシーズン82試合、チーム総数も30チーム、レギュラーシーズンの時期、ポストシーズンの時期、プレーオフの形式もほとんど重なっています。これは、ライバル関係にある2つの屋内競技というよりも、両方を同時に楽しんでもらうための工夫のように見えます。NBAを観ていた人が、NHLを観ても直ぐに馴染める、逆もそうでしょう。
 日本より相当寒く、冬が長い地域が多い北米ですので、暖かい室内でゆっくりとテレビ放送を楽しんでもらい、時々は屋内競技場に足を運んでもらうということでしょうか。

 NBAとNHLのレギュラーシーズン82試合というのも、相当に多い試合数です。MLBには及ばないものの、1週間に3~4試合を行うスケジュールです。バスケットボールもアイスホッケーも、ベースボールよりプレー時間当たりの体力の消耗が激しいスポーツですから、プレーヤーの体調管理は大切なポイントです。NBAもNHLも、試合中のプレーヤーの交替が頻繁です。これは、今戦っているゲームへの対応であるとともに、直ぐにやってくる次のゲームへの準備でもあるのでしょう。

 こうした「休みなくゲームをお客様に提供するという思想」は、MLB、NBA、NHLに共通した考え方だと思います。北米のメジャースポーツとしての位置付けを維持していくための大切な仕組みなのでしょう。

 NFLは、他の3つの競技とは、一線を画したフレームを持っています。1週間に1試合ですし、レギュラーシーズンを通して各チームは16試合しか行いません。しかし、4大プロスポーツの中でも、最高の人気を誇っています。

 アメリカの人々が最も好きなスポーツが、アメリカンフットボールであり、ハイスクール、大学、NFLと連続する栄光のキャリアを有するスポーツであることも、影響していると思います。(日本の野球における甲子園大会からの流れに似ています)

アメリカの大学(カレッジ)フットボールの人気は凄まじいものです。お正月の5大ボウルゲームなどは、風物詩になっています。このカレッジ・フットボールのスタープレーヤーがNFLに進むのです。もちろん、MLBもNBAもNHLも、同じように大学のスタープレーヤーの受け皿になっているのですが、この年始のボウルゲームに相当するほどのNCAAカレッジ・スポーツのゲームは他には無いように思います。

 さて、今回のテーマであるアメリカ4大プロスポーツの仕組み・フレームの検討につきましては、結局全ての要素がこのフレームに反映されていることを考えると、ポイントも相当数に上りますし、それぞれのテーマがとても深くて面白いものばかりです。今後、ひとつひとつ分析して行ければと思っています。

 本稿は、取り敢えず、アメリカ4大プロスポーツがこうした仕組み・フレームで行われていることを認識・比較する資料にしていただければ幸いです。
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