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HOME   »   その他のスポーツ  »  [卓球日本] 荻村伊知朗と田中利明
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 4月28日から5月5日まで、卓球の世界選手権団体戦が東京・国立代々木競技場他で開催されます。最近は女子13歳コンビの活躍などで、日本卓球が世界のトップクラスに躍り出てきている印象がありますが、もともと「卓球は日本のお家芸」だったのです。
 今回のテーマは、日本卓球の全盛時を支えた2人のプレーヤーです。

 「卓球日本」という言葉がありました。

 1954年から1960年代にかけて、中でも1954年から1957年の間、日本の男子卓球チームは、世界トップに君臨したのです。世界選手権大会他の国際大会で、圧倒的な強さを誇った日本男子チームが「卓球NIPPON」と呼ばれたのです。

 この世界最強チームの主軸となった選手が、荻村伊知朗選手と田中利明選手でした。

 2人の成績は、シングルにおいて拮抗しています。

 荻村選手は、世界選手権卓球・男子シングルの1954年のロンドン大会と1956年の東京大会で優勝しています。田中選手は、同1955年のユトレヒト大会(オランダ)と1957年のストックホルム大会(スウェーデン)で優勝しています。
 そして、1956年大会の決勝では荻村が田中を破り、1957年大会の決勝では田中が荻村を破って優勝していますから、この2人が世界のトップを争い続けたことが分かります。

 加えて、この1954年から1957年にかけての4つの世界選手権で、団体男子日本チームは4連覇を成し遂げました。団体4連覇・個人も2人で4連覇というのですから、「卓球日本」と呼ぶに相応しい活躍です。

 荻村伊知朗は1932年6月、静岡県で生まれています。田中利明は1935年2月、北海道生まれですから、荻村のほうが少し先輩です。
 2人はともに、日本大学に進学しました。
 卓球日本の快進撃が始まった1954年・昭和29年には、荻村が22歳、田中が19歳だったことになります。

 「卓球日本」には、卓球競技に対する「日本発の新しい技術」の意味もこめられていると思います。
① ペンホルダーグリップ
② 前陣での速い攻撃
③ 新しいラバー
 などが該当すると思います。

 ペンホルダーグリップは、我が国では当たり前のグリップですが、それまで世界で主流であった「シェークハンドグリップ」とは異なり、革命的な威力を発揮しました。
 二番目の「前陣での速い攻撃」は、ペンホルダーグリップにより可能になったといえます。

 それまでの卓球といえば、「カットプレー」による繋ぎ合いで相手のミスを待つ競技でしたので、試合時間も大変長かったようです。
 日本チームは、ペンホルダーグリップと卓球台に近いところに立って、球の上がり際を叩いていくというプレーで、カットプレーを封じて、世界一になったのです。

 三番目のラバーというのは、卓球ラケットに張ってあるゴムのようなものです。従来は、薄い「表ソフトラバー」が主流だったのですが、日本チームは「厚い裏ソフトラバー」を使用しました。厚い裏ソフトラバーの方が、ボールに回転を掛け易いのです。(もちろん、打っていくためには高い技術が必要ですが)

 このラバーの開発については、特に荻村選手が有名でした。「荻村のスポンジラバー」は一世を風靡し、時には1cm前後の厚さのラバーを使用していたと伝えられています。当時は、ラバーの厚さに制限が無かったのです。

 前述の通り、世界選手権大会の男子シングルにおいては、荻村と田中は2回ずつ優勝していますが、同時期の日本選手権大会では、田中が1954年から1956年まで3連覇していますので、シングルにおいては田中の方が少し上だったかもしれません。

 一方、ダブルスとなると、これは荻村が圧倒的に上回ります。荻村は、世界選手権大会・男子ダブルスで2回、混合ダブルスで3回優勝していますが、田中には2位・3位はあっても優勝はありません。

 この荻村選手と田中選手が、世界選手権で1度だけペアを組んだことがあります。1957年のストックホルム大会でした。
 最強の2人のペアだから、悠々と優勝しそうなものですが、これが中々そうは行かず、決勝に進出しますが、チェコスロバキアのペアに敗れて2位でした。シングルとダブルスの難しい関係を改めて感じる事実です。

 田中選手が、国際舞台から姿を消した後も、荻村選手は選手生活を継続し、1959年のドルトムント世界選手権大会(西ドイツ)で団体優勝、1961年の北京大会では団体2位、1963年のプラハ大会(チェコスロバキア)で2位、1965年のリュブリアナ大会(ユーゴスラビア)で2位と、卓球日本の面目を保つ成績を残し続けました。
 この長い選手生命は、荻村選手の最大の特徴であり、並ぶ者無き実績であろうと思います。

 そして、1987年には国際卓球連盟の会長に就任しました。私の記憶では、あらゆる主要な競技を通じて、その国際機構の会長に就任した唯一の日本人ではないかと思います。これも凄いことです。

 荻村伊知朗氏と田中利明氏は、ともに62歳で逝去しました。不思議な一致です。

 そして2人は、没後の1997年に一緒に世界卓球殿堂に入りました。
 今も天上で、世界一と称され、多くのプレーヤーに大きな技術的影響を与えた「荻村・田中のラリー」を打ち続けているような気がします。

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