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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム15] 菊花賞とライスシャワー
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 先の稿で菊花賞の歴史などについて触れました。菊花賞は、既に72回の歴史を誇るクラシックレースですから、その勝ち馬にも名馬がずらりと並びます。また、記憶に残る馬も数多く居ます。

 その優勝馬達の中から今回採り上げるのは、1992年の勝ち馬ライスシャワーです。ライスシャワーは、父リアルシャダイ、母ライラックポイント、母の父マルゼンスキー。生涯成績25戦6勝。2歳から6歳までの足掛4年間の競走馬成績においては、勝率も低く、着外のレースも時々ありましたから、いわゆる名馬には当たらないのかもしれませんが、極めて印象深い馬でした。

 多くの競馬ファンが、1992年のクラシック路線においてライスシャワーという馬を認識したのは、菊花賞競走であったように思います。私も菊花賞において、あらためて認識したという記憶です。
 ところが、実はライスシャワーは、日本ダービーで2着、菊花賞トライアルの京都新聞杯でも2着の成績を残しているのです。クラシック路線の主要なレースで、連続して2着に入っているのに印象が薄いのは、皐月賞・日本ダービーを制し、京都新聞杯も快勝したミホノブルボンの印象が強いためなのでしょう。

 良血とはいえないが、徹底的なトレーニングにより、粘り強い逃げ脚質を完成させていたミホノブルボンは、危なげなく二冠を優勝し、トライアルも制していましたから、三冠馬誕生間違いなしという見方をされていたと思います。なにしろ、強い上に逃げ馬ですから、自分でレースを作れますので、展開に左右されるリスクも低いのです。

 とはいえ、この戦歴=ミホノブルボン1着・ライスシャワー2着、が続いている状況を見ると、ミホノブルボン陣営にとってはライスシャワーの存在が相当大きなものであったことも想像できます。ここまで9戦して、新馬戦とオープン特別の2勝しかしていない馬が、デビュー以来7戦7勝、無敗の二冠馬ミホノブルボンの脅威となっていたのです。

 1992年の菊花賞は、予想通り4角をミホノブルボンが先頭で回り、京都競馬場の直線でライスシャワーが追いすがり、残り100m位のところで交わしてゴールイン。1・1/4差でライスシャワーが勝ちました。当時の3000m日本レコード3分5秒0の走りでした。
 ミホノブルボンからすると、例年ならば十分に勝てていたレースです。何故同期に、ライスシャワーという生粋のステイヤーが居たのか、とても残念であったことでしょう。生涯唯一の敗戦を喫し、その後脚部不安を発症して引退しました。

 ライスシャワーは、有馬記念G1、目黒記念G2と2500mのレースを使い、8着・2着の成績で1993年3月中山競馬場の日経賞G2に出走しました。私がライスシャワーの勝ったレースを競馬場で観たのは、この時だけでした。曇天の中山でしたが、いつものように一生懸命同じスピードで走り、ゴール前で先頭に立ち、優勝しました。440㎏余りの小柄で細い馬体ですが、堂々としたレース振り。一番人気に応えたライスシャワーは、心なしか嬉しそうに見えたのを憶えています。

 さて、天皇賞(春)への準備が整い西下したライスシャワーの前には、春の天皇賞2連覇中の大豪メジロマックイーンが立ちはだかりました。マイルから長距離までカバーする競走能力が極めて高い馬ですから、長距離専門のライスシャワーとしても容易には勝てない相手です。

 この天皇賞(春)のレースのパドックをテレビで観た私は、ビックリしました。ライスシャワーの馬体重が430㎏、前走△12㎏という減少です。大きな馬の△12㎏ではないのです。何かあったのかな、と思いながら馬体を観ると、ガレているのではなく、ギリギリの仕上りです。(後で読みましたが、猛烈なトレーニングを積んだのだそうです)

 レースは、メジロパーマーが逃げ、マックイーンが追走し、それをライスシャワーが追いかける形で4角を回りました。京都の直線でマックイーンが先頭に立ちます。それをヒタヒタとライスシャワーが追いかけ、残り150m位で交わしてゴール。2・1/2の差、タイムは3200m3分17秒1のレコードでした。
 メジロマックイーンも、前年・前々年のレースに負けない、いや勝るレースをしたのですが、そこに生粋のステイヤー・ライスシャワーが走っていたのです。

 その2年後、ライスシャワーは自身6歳の春の天皇賞を再び制し、1995年6月の宝塚記念G1にファン投票1位で選出され、出走しました。この年は、1月に阪神大震災が発生したため震災復興記念競走にも位置付けられた宝塚記念でした。
 私は、デビュー直後以外には2500m未満のレースに勝利したことが無いステイヤーのライスシャワーが2200mの宝塚記念に出ても、おそらく勝てないだろうが、しっかりと走ってほしいと思いながら、テレビを観ていました。

 京都の第3コーナーで、ライスシャワーは前のめりに倒れました。左前脚脱臼・粉砕骨折、予後不良との判断、その場で薬殺処分となり、トラックで運ばれました。ブルーシートの陰でライスシャワーは、息を引き取りました。

 4歳春の天皇賞を勝った段階で引退しても良かったのに、少しでも人気のある種牡馬になるために2000mの天皇賞(秋)G1や2200mの京都記念G2に何度も挑戦し、2200mの宝塚記念で散ったライスシャワーは可哀そうだ、と思ったことを憶えています。

 ライスシャワーは、生粋のステイヤーでした。私はステイヤーの走りを「相当長い距離を、同じ速度でゴールまで駆け抜ける能力」と考えています。
 従って、タケシバオーやメジロマックイーン、テイエムオペラオー、あるいは全ての三冠馬のように「その高い競争能力で長距離をも十分にカバーする」馬をステイヤーとは呼びません。
 
 ミホノブルボンもメジロマックイーンも、京都競馬場の直線走路でライスシャワーの追走を受けた時に、必死に逃げました。普通の相手なら、この二の足で諦めるだろうという感じで突き放しにかかっています。
 しかし、ライスシャワーは同じ速度で走り続けました。根負けした感じで、ミホノブルボンもメジロマックイーンも力尽き、ゴール前ではスピードが急に落ちました。この走りこそ、生粋のステイヤーのものだと思います。
 もちろん追い抜こうとして走っているのですが、急に加速するわけではなく、一定の速度に加速したら、そのまま同じ速度でゴール板を駆け抜けるのです。

 私の基準では、これまで観てきた競走馬の中で生粋のステイヤーと呼べるのは、ライスシャワーとタケホープとグリーングラスの3頭だけです。

 生涯25戦6勝。デビュー直後の3戦2勝を除くと22戦4勝。4勝の内訳は、菊花賞G1、天皇賞(春)G1、日経賞G2、天皇賞(春)G1。なんだか、日経賞が余計な重賞勝ちに見えるような戦績ですが、私は日経賞のライスシャワーの走りを一生忘れないでしょう。

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