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HOME   »   ラグビー  »  [ラグビー] 繰り返される重大なルール変更
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 ラグビー(ここではラグビーユニオン)は、ルール変更が多いスポーツです。もちろん、他のメジャースポーツもルールの変更は行われていますが、ラグビーに多いのは「根本的なルール変更」「プレーに大きな影響を与えるルール変更」です。

 こうした「重大なルール変更」は、他のメジャースポーツでは滅多に見られないもので、これだけ多いと、ラグビーというスポーツの特徴のひとつとさえ思えるほどです。

 確かに、ラグビー創成期に起源国であるイングランドと周辺国であるウェールズやスコットランドの間でルールに対する議論・確執が存在していた状況下、そこにニュージーランドやオーストラリアの意見も加わって、「ラグビー競技のあり方」そのものについてさえ議論が続いている状況下では、ルールの統一は容易なことではなかったのでしょう。

 例えば、配点の変遷は良く知られていることです。ラグビー創成期の19世紀後半には、トライには配点が無く「ゴールキックを蹴る権利」を得るための行為だった、という話は良く見聞きしますが、文献毎に内容が異なるうえに、ゲーム毎に違うルールが適用されていたりしますので、ここではルールが固定化されたと思われる、第二次世界大戦後の1948年以降を見てみましょう。

① 1948年~1970年 トライ3点 ゴール2点 PG・DG3点
② 1971年~1992年 トライ4点 ゴール2点 PG・DG3点
③ 1993年~2012年 トライ5点 ゴール2点 PG・DG3点
(PGはペナルティーゴール。DGはドロップゴール。マークからのゴールは本表には表記せず。年代は越年を考慮していない。)

 トライへの配点が上がり続けていることが明確です。トライを取ることの方が、キックを決めることより難度が高いので、配点が上がっているということなのでしょうか。配点は、当該スポーツの根幹にかかわるものですから、他のメジャースポーツにおいて変更になった例は、ほとんど見たことがありません。

 例えば、サッカーで難しい角度のシュートが決まれば2点、30m以上の長さのシュートが決まれば2点、ベースボールで満塁ホームランは5点、といったルール変更が行われれば、根本的な影響を及ぼすルール変更と考えられますが、ラグビーでは何度もそのレベルの変更が行われているのです。

 そして1970年代以降は「トライを取り易くするためのルール変更」が続いたように思います。

 例えば、ペナルティーキックがタッチキックとなった場合、以前は相手方ボールのラインアウトでしたが、現在はキックを蹴った側のボールのラインアウトです。反則を犯した方にとっては、相手にキックの権利が与えられる(地域獲得の権利が与えられる)上に、タッチキック後のボールの所有権まで相手のものとなるという、踏んだり蹴ったりのルール変更ですが、現在では当然のこととして定着しています。

 モールは、以前は守備側から崩すことが可能でしたが、一時期禁止され、最近再度守備側から崩すことが可能になりました。
 トライがなかなか取れない=見ていて面白くない、と考えたのでしょうか、モールプレーがルール上保護された時期が、つい最近までありました。モールがきちんと組まれてしまうと守備側から崩すことが反則になったのです。ドライビングモールからのトライが生まれやすくなったルール変更でしたが、逆にモールが組まれてしまうと、守備側に対抗手段が無い(正面から押し返せばよいのですが、実際には困難)ために、モールが多い=ボールの動きが少ない=見ていて面白くない、と考えたのでしょうか、2009年~2010年から、守備側によるモール崩しが再び可能になったように思います。

 この他にも守備側のプレーヤーが、ある地点から一定距離下がらなければならないといったルールも頻繁に設けられたり、変更されたりします。

 こうした「根本的な変更」は、プレーヤーに対して大きな影響を与えることはもちろんとして、観客にも大きな影響を与えます。例えば、モールを崩したプレーを見て「反則だ」と思ってみていたら、プレーが続行されていると、観客は違和感を覚え、あとからルールの変更があったことを聞いて、再び違和感を覚えるのでしょう。
 「なんだか変なスポーツだな」「しょっちゅうルールが変わっている」「昔見ていたラグビーとは違う」といった形です。こうした印象を観客に与えるのは、ラグビーの発展の大きな障害になると思います。(→続きへ)

 

 一方、トライを取り易くするルール変更が連続して行われているにもかかわらず、実際のゲームでの得点は、低下傾向にあります。昨年のワールドカップの各試合の得点も、決勝トーナメントともなると、各チーム10点前後しか取れません。
 ニュージーランドやイングランド、南アフリカ、オーストラリア、ウェールズ、スコットランド、フランスといった世界トップレベルのチームの戦術面・技術面のレベル向上は素晴らしいものがあり、ルールをいくら変更してもトライを取ることは年々難しくなり、得点も減少しているのです。

 私はラグビーファンですので、今回のワールドカップのゲームもとても楽しめました。得点が少ないことも気になりません。とはいえ、いわゆるラグビーファンという人達=時々はトップリーグのゲームを観に秩父宮ラグビー場に足を運び、早明戦や早慶戦も何年かに一度は競技場で観戦し、トップリーグや大学ラグビーのテレビ放送は録画しても見る、という普通レベルのファン(私もそのひとりです)は、今後もファンとしてラグビーを応援し続けると思いますが、日本のラグビーを一層発展させるためには、大学選手権決勝や日本選手権決勝位しか見ないという人達を、増やしていくことも大切なことだと思います。

 10年ほど前までは、早明戦・早慶戦は満員でしたが、最近は空席が目立ちます。大学選手権決勝や日本選手権決勝でも同様です。日本のラグビー競技の観客動員力は明らかに落ちています。その点では、我が国ではラグビーのマイナー競技化が進んでいるのでしょう。とても残念なことです。この現象のひとつの要因が「ルールの変え過ぎ」だと思うのです。

 今シーズンもルール変更があります。10項目を超える変更ですが、今年の変更は「根本的なもの」は無いようです。中からひとつ紹介します。

・「ラックにおいて、ボールが一方のチームに確保された場合には、レフェリーの『ユーズ・イット』のコール後5秒以内にボールがプレーされなければならない」というものです。

 昨シーズンの日本国内のゲームで最も気になったのは「ラックでボールが確保され、いつでもプレーできる状態になっているのに、いつまでもスクラムハーフがボールを出さない」状態で、酷い時には10秒20秒とボールが静止=プレーが止まった状態になりました。同時に大半のプレーヤーも静止します。30人ものプレーヤーが全く動かず、歓声も聞こえない状態が10秒以上続きます。そして、その静止状態が数分毎に発生するのです。

 味方チームの体勢が整うのを待っているのでしょうが、ゲームにおいては1秒でも相当のプレーができるのに、10秒以上プレーを止めるなど「とんでもないこと」です。

 確かに、以前もラックからボールを出すときに、スクラムハーフがフェイントをかけ、ディフェンス側のオフサイドを狙うプレーがありました。私はこのプレーも姑息な感じがして嫌いでしたが、少なくともスクラムハーフは動いていましたし、10秒以上も静止したりしませんでした。

 一緒に観戦に行ったラグビーファンの友人達も「こんなことが許されるのか」と憤っていました。現代は、ラグビーに限らず他の競技でも「スピーディーな試合進行」が常に求められ、実践されている時代です。
ラグビーにおいても、ショートラインアウトの取り扱いや、反則後のアドバンテージ・ルールの適用拡大などにより、可能な限りプレーを切らず連続しようとする取組が続いていると思っていたのに、酷いものでした。

 こうした「ルール以前の常識さえ通用しないスポーツ」は、ファン離れが加速しますし、衰退するのもやむを得ません。観客が、肌感覚として理解することが難しいからです。時代の変化についていけないのではなく、「時代に逆行したプレー」が許容されているからです。なぜ昨年、シーズン途中でも、このプレーを禁止しなかったのか、とても不思議です。
 私と仲間達も、昨シーズンのラグビー観戦はこの一試合だけでした。あの沈黙の時間を、二度と味わいたくなかったのです。

 こうした指摘が多かったのでしょうか、さすがに今年のルール変更で、前述のような条項が出来た訳ですが、中途半端の観は否めません。何故「5秒」なのでしょうか。「ボールが一方のチームに確保された時には『すぐに』ボールを動かさなくてはならない」というルールで良いと思います。「すぐに」の程度については、個々のプレー毎にレフェリーが判断すればよいのです。秒数などを規定するから、ルールにルールを重ねて、どんどん分かりにくくなっていく原因となるのでしょう。本末転倒です。

 そもそも、チームの体勢を維持し、スピーディーに組み上げることが出来るか否かは、チーム力を測る大切な要素です。ラック状態になり、ボールの争奪が行われている最中に、各プレーヤーやハーフ団が判断し、次のプレーのための体制を整えることの巧拙は、チーム力の有無を測る重要な局面でしょう。

 短時間に態勢を整えることができないチーム、瞬時に判断できないプレーヤーは、不利になっても仕方がない、スポーツとはそういうものです。トライも、こうしたスピーディーな連続プレーの中から生まれるのでしょう。弱いチームでも、都度チームの体勢を整える時間が与えられれば、堅い守りが出来てしまいます。

 もちろん「5秒」にそれなりの理由があることは想像できますが、その5秒がラグビーの魅力を再び損なうのではないか心配なのです。「5秒という、とてつもなく長い時間」を許容することは、ラグビーのレベルを下げ、スピード感に欠けるゲームを観客に提供してしまうように思います。「40mを走り切れる時間」が、無駄に過ぎるような気がしてならないのです。

 原始フットボールから派生した他のスポーツに、インプレーの状態で5秒の静止を許容する競技は存在しません。
 サッカーであれば、時間つぶしにパスを回していても、相手チームがボールを取りに来ます。ゴールキーパーがボールをゆっくりと扱っていたら反則になります。
 アメリカンフットボールでインプレーの時に、ボールが止まり、プレーヤーがじっとしている瞬間はありません。5秒どころか一瞬もありません。
 バスケットボールのインプレー中も同様です。
 何故、ラグビーだけが「ルール上OK」なのでしょうか。何か基本的なところから間違っているのではないでしょうか。

 私はラグビーのルールの細部を熟知しているわけではない素人ですので、本稿において間違ったことを書いているかもしれません。ピント外れの指摘があるかもしれません。
 しかし、フォワード・バックス一体となった連続攻撃を長い間楽しんできた身として、ラグビー競技を心から応援しています。ごく一部のマニアックなファンのものではなく、他のスポーツのファンが観ても解りやすく面白いスポーツになってほしいと願っています。
 
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Comment
273
ラグビーのファンとしてよく勉強をしておられて、ルールの変遷がわかりやすくプレイヤーの頃が懐かしく思い出されました。5秒の件は他競技との比較で述べられていることはプレイヤーとしての経験はないのが文面から伝わってきて残念でした。

274
Re: コメントありがとうございます。
7年前の記事ですが、ワールドカップ2019日本大会を観ても、当時より相当スピーディーなゲーム展開となっています。
これからもラグビーユニオンは変化していくのでしょう。

今後とも、コメントよろしくお願いします。

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