FC2ブログ
HOME   »   サッカー  »  [ブラジルWC-48] 公式球「ブラズーカ」は日本とパキスタンのコラボ
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加
 ブラジルのサッカーファン100万人以上による投票で「ブラズーカ(誇り、好意)」と名付けられた、今大会の公式球はアディダス社製です。

 アディダス社は1970年メキシコ大会以来、ワールドカップの公式球を提供してきました。

 そして、そのアディダス社の下で、開発・企画を担当したのが日本のモルテン社であり、製造を担当したのがパキスタンのフォワードスポーツ社なのです。
 パキスタンのフォワードスポーツ社は、2008年に熱接合技術を使ったハイテク球の供給を開始し、UEFA-CLやフランス・リーグアン、ドイツ・ブンデスリーガなどにもボールを供給しています。
 その高い製造技術が、世界に認められているということでしょう。

 今大会は、準決勝のドイツチームの7得点に象徴されるように「得点が多い」大会です。その要因として、FIFAによる審判判定の厳格化、特に「後ろからの反則を厳しく取るようになったこと」により、ペナルティエリア内での守備側の激しいチャージがやりにくくなったことが挙げられます。
 その意味では、開幕ゲームでの日本の西村主審のPK判定が、今大会の得点ラッシュに一役買っているのかもしれません。

 そして、もうひとつの要因として「公式球が真っ直ぐに飛ぶ」ことが挙げられるように思います。

 前回2010年大会の公式球「ジョブラニ」は、ボール表面に凹凸を付けた為に「不規則に飛ぶ」ようになり、ゴールキーパーGKからは軌道が予測できないと不評でしたし、キッカー側からも「狙ったところに蹴るのが難しい」と不評でした。
 確かに、南アフリカ大会ではフリーキックFKの成功シーンが少なかったと思います。一方で、日本の本田選手も決めていましたが「無回転ボールが予測不能の変化を見せる」ことから、GK泣かせのボールでもありました。つまり、無回転シュートが流行った大会だったのです。

 しかし、狙ったところに飛んで行かないボールは、当然ながらサッカー競技には向いていませんから、ジョブラニは早々に使用されなくなり、2010年のクラブワールドカップや翌年の女子ワールドカップでは、公式球「スピードセル」が取って代わりました。

 おそらく、近時のワールドカップ公式球の中で「ジョブラニは最も短命」であったと思います。

 少し、ワールドカップ公式球の変遷を見て行きましょう。

 1969年以前のワールドカップ公式球は「皮のパネルを手縫いで繋ぎ合わせたもの」でした。そのパネルも「長方形」が多かったように記憶しています。色は、多くが「茶色」、時々「白」であったと思います。
 1960年代に入り「防水加工」が施されるようになったと思いますが、それでも雨の日などは縫い目などから水が皮に浸み込み、ボールはとても重くなりました。現在では考えられない程重いボールだったのです。

 この重いボールを、しかし、王様ペレやイングランドのボビー・チャールトンは自在に操りましたし、ポルトガルの「黒い真珠」エウゼビオやポーランドのルバンスキー、日本の釜本邦茂は強烈なシュートを放ちました。
 おそらく、この時代のプレーヤー達は現在のプレーヤーより「絶対筋力では明らかに勝っていた」でしょう。

 そして、1970年メキシコ大会の公式球「テルスター」が登場するのです。「テルスター」は、アディダス社製です。この大会以降、公式球は常にアディダス社製ですから、「アディダスの時代が始まった大会」とも言えます。

 そして、この「テルスター」が、現在のサッカーボールの原型となりました。「六角形のパネルを32枚繋ぎ合わせ、白と黒の配色となっている姿」は、多くのサッカーファンにとって「ザ・サッカーボール」とされる外観です。

 さすがに、現在では「六角形パネルの白黒ボール」がゲームで使用されることは無いのですが、それでも「サッカー漫画」には、このデザインのボールが登場することがあります。いかに印象が強いボールであったかを示していると思います。

 そして、1978年アルゼンチン大会に「タンゴ」が登場しました。「タンゴ」は「テルスター」と同じく32枚の六角形パネルを縫い合わせたものですが、デザインが異なりました。三角形の模様が一面に施されたのです。
 このデザインのボールは、長く使われました。1998年のフランス大会に到るまでの20年以上、公式球は「タンゴ系」でした。

 おそらく、世界で最も愛され、最も長く使われたのが「タンゴ・タンゴ系」だったのではないでしょうか。あの「キャプテン翼」に数多く描かれているのも、このボールです。

 そして2002年日本・韓国大会で、公式球は大きく変わりました。「フィーヴァーノヴァ」と呼ばれたこのボールは、ボールそのものの内側の素材軽量化が著しく進んだのです。現在の「超軽量ボールのはしり」と言って良いボールで、「小さな振り幅から相応の威力のボールを蹴ることが出来る」ようになりました。
 ブラジルのロナウド選手のシュートが思い出されますが、サッカー競技のプレー内容に大きな影響を与えたボールでしょう。

 2006年ドイツ大会では、初めて「パネルを縫い合わせるのではなく、熱融着させたボール」として「チームガイスト」が導入されました。完全防水のボールが誕生したのです。
 パネル枚数も32枚から14枚に減らしました。現代のボールの始まりです。

 2010年南アフリカ大会の「ジョブラニ」は、「チームガイスト」を発展させたボールとして登場、パネル枚数も14枚から8枚に減りましたが、前述の通り「コントロールしにくい、というか、勝手に変化してしまう」ことから不評でした。

 今大会2014年の公式球「ブラズーガ」は、「ジョブラニ」の欠点を改善し、プレーヤーの意図に沿って飛ぶボールとなっています。プレーヤーの評判も悪くないと思います。(一部のプレーヤーからは「ブレ球が蹴り難くなった」と言われていますが、ブラジルのダビド・シウバ選手のフリーキックFKのゴールを観ると、ちゃんと蹴れば「変化する無回転ボール」を蹴ることが出来ることは明らかです)

 蹴った本人も予測不能な変化を見せるボールは、GK泣かせのボールでもあります。今大会の「ブラズーガ」は、そういうボールではありませんから、フィールドプレーヤーのパスやトラップなどの技術力が正確に反映されるとともに、GKにとっても予測したところにボールが飛んでくるボールということでしょう。

 ブラジル大会は、好ゴールキーパーが多いと言われる大会ですが、ここにも「ブラズーガ」が一役買っているのかもしれません。
関連記事
スポンサーサイト



NEXT Entry
[MLB2014] 7月末のトレード期限迫る。上原投手は?
NEW Topics
[温故知新2020-女子テニス3] 「アイス・ドール」 クリス・エバート選手
[温故知新2020-男子テニス4] 黒人プレーヤーの先駆者 アーサー・アッシュ選手
[ブンデスリーガ2019~20(無観客)] 鎌田大地選手 2試合連続ゴール
[競馬コラム269] オークス2020のデアリングタクトと日本ダービー2020のコントレイル
[温故知新2020-陸上競技4] 男子走り幅跳び オリンピック金メダリストの記録
[ブンデスリーガ2019~20・第27節(無観客)] バイエルン・ミュンヘン 圧勝
[温故知新2020-女子テニス2] アメリカの英雄 ビリー・ジーン・キング選手
[競馬(無観客)] 東京優駿(日本ダービー)2020の注目馬
[温故知新2020-女子テニス1] 「史上最強」 マーガレット・コート選手
[温故知新2020-男子テニス3] ダブルスの名手 ジョン・ニューカム選手
[温故知新2020-陸上競技3] 男子10,000m オリンピック金メダリストの記録
[温故知新2020-競泳2] 男子1,500m自由形 日本チームの全盛期
[温故知新2020-競泳1] 男子100m自由形 日本チームの黄金時代
[FIFAワールドカップ2010準々決勝] ドイツチームの完勝
[温故知新2020-男子テニス2] 「史上最強」 ロッド・レーバー選手
[競馬(無観客)] 優駿牝馬(オークス)2020の注目馬
[温故知新2020-陸上競技2] 男子1,500m オリンピック金メダリストの記録
[温故知新2020-陸上競技1] 男子100m オリンピック金メダリストの記録
[ラグビーワールドカップ2011プールA] 日本チーム フランスチームを相手に65分まで4点差の健闘
[温故知新2020男子テニス-1] ウィンブルドンを勝てなかった イワン・レンドル選手
[競馬コラム268・ヴィクトリアマイル2020] 感動的なレース
[FIFAワールドカップ1986決勝] アルゼンチンチーム 2度目の優勝
[競馬(無観客)] ヴィクトリアマイル2020の注目馬
[NPB・MLB2020] 「開幕」に向けての動き
[ブンデスリーガ2019~20] 無観客での再開へ
[競馬コラム267-日本馬の海外挑戦12] 2009年 牝馬の挑戦
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] ブラジルチーム 貫録の勝利
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] 日本チーム 史上初のPK戦
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] ランパード選手 「幻」のゴール
[Jリーグ2020] イニエスタ選手のオンライントークショー
[競馬(無観客)] NHKマイルカップ2020の注目馬
[NBA2020] 個人トレーニング再開に向けての動き
[UEFA-EURO2012-グループD] イングランドとフランスの激突
[競馬コラム266-天皇賞(春)2020] フィエールマンの連覇とC.ルメール騎手の天皇賞4連勝
[UEFA-EURO2012-グループB] ポルトガル デンマークとの接戦を制す
[競馬コラム265・下鴨ステークス2020] スズカルパン 100戦出走達成!
[UEFA-EURO2012-グループA] 開幕戦 ギリシャチーム 驚異の粘り
[UEFA-EURO2012-グループD] フランスチームの堅守
[競馬(無観客)] 天皇賞(春)2020の注目馬
[UEFA-EURO2012-グループC] イタリアとクロアチア 一歩も引かず
[競馬コラム264-日本馬の海外挑戦11] 2007年 シンガポール競馬への進出
[UEFA-EURO2012準々決勝] クリスティアーノ・ロナウドVSチェフ
[競馬コラム263-日本馬の海外挑戦10] 2006年 ハーツクライとデルタブルース
[スーペルコパ2020準決勝] FCバルセロナ よもやの敗退
[UEFA-EURO2012準決勝] 「怪物」バロテッリ選手の2ゴール
[マラソン2020] 「心臓破りの丘」 山田敬蔵氏 逝去
[競馬コラム262-日本馬の海外挑戦-9] 2005年 ゼンノロブロイとハットトリック
[MLB2020・MVPランキング] バリー・ボンズ選手の凄さ
[フィギュアスケート2020春・世界ランキング] 羽生選手、紀平選手が共に1位
[NPB2020] 菅野智之投手 超絶の仕上がり
Entry TAG
ワールドカップ公式球の歴史  
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
「スポーツを考える-KaZ」ブログへ
ようこそ!
我が家の月下美人も16年目。同時に30個の花が咲くこともあります。スポーツも花盛りですね。一緒に楽しみましょう。

最新記事
最新コメント
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Page Top
CALENDaR 123456789101112131415161718192021222324252627282930