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 東京六大学野球の2014年秋季リーグ戦が9月13日に開幕します。
 歴史と伝統を誇るリーグ戦ですが、気になることがひとつ。東大の連敗が続いているのです。

 2014年春のリーグ戦も全敗して、76連敗となりました。1度のリーグ戦で引き分けが無く負け続けるとすると、各校と2試合ずつ5校との対戦がありますから、計10試合・春秋のリーグ戦がありますから年間20試合。76連敗するため?には、3年半以上負け続けなければならないことになります。

 これは、大変残念な状況ということになります。

 例えば、日本プロ野球2013の結果を見てみます。
 セントラルリーグは巨人が優勝、84勝53敗7引分で勝率は0.613。セリーグの最下位はヤクルトで57勝83敗4引分・勝率0.407。
 パシフィックリーグは楽天が82勝59敗で優勝し、勝率は0.582。最下位は日本ハムで64勝78敗・勝率0.451。となっています。

 つまり、2013年シーズンのセントラルリーグで圧倒的に強かった巨人でも、10試合を戦うと6勝4敗ペース、大差の最下位であったヤクルトでも4勝6敗です。
 この例から見れば、0勝76敗というのは異常な?事態と言えます。

 もちろん、プロ野球の各チームと東京六大学リーグの東京大学を同じ土俵で論じることが出来ないのは当然のことですが、とはいえ野球という「プレーに不確実性が相当量存在するスポーツ」は「実力差が大きくとも、10度試合をすれば1度位は勝てる」ものなのでしょう。
 相当の実力差が有っても番狂わせが起こる、それも相応の確率で起こることが、人気スポーツの共通点です。野球が大人気スポーツである理由のひとつなのでしょう。

 実際、これまでの東大野球部の六大学野球における通算勝率は1割を上回っています。10試合すれば1勝以上できる実績を積み重ねてきているのです。

 そうなると、現在の76連敗というのは類希な現象ということが出来ます。

 何故、東大は全く勝てなくなってしまったのかを考えてみましょう。

① 個々のプレーヤーの実力差が大きいこと(ただし、このことは76連敗の根本原因ではありません)

 東大以外の5大学の野球部には、高校時代の甲子園大会出場経験者を始めとする「実力・経験とも十分なプレーヤー」が集まっています。歴史と伝統・格式を誇り、全国の大学野球界で最も有名なリーグ戦なのですから、当然のことでしょう。

 一方、東大にはスポーツ推薦といった制度がありませんから、高校時代に野球に打ち込み、日本トップクラスのスキルを身に付けたプレーヤーが少ないことは止むを得ないと思います。
 もちろん、甲子園大会に出場したプレーヤーが東京大学の入学試験に一概に合格できないとは思われませんが、その人数は限定的なものでしょう。

 個々のプレーヤーの力量に大きな差が有れば、チーム力にも反映されますから、東大野球部はリーグ戦において苦しい戦いが続くことになります。

 とはいえ、過去の戦績、特に1980年代には「赤門旋風」と呼ばれた時期が存在しました。1981年春のシーズンには、早大と慶大から勝ち点を挙げるという活躍を見せるなど、1986年にかけて、東大野球部は勝ち点こそ取れませんが、勝ち星は挙げるというシーズンが、数多く存在したのです。

 東京大学の受験が難しいという事実は、程度の差こそあれ1980年代も現在も大差は無いと思われますので、この「個々のプレーヤーの実力差」は1勝10敗の要因ではあっても、76連敗の根本原因では無いことは、明白でしょう。

② 勝つための工夫が足りないこと

 このことが最大の要因ではないでしょうか。
 厳しい書き方で恐縮ですが、「実力が劣るチームが強いチームに勝つために何をしなければならないか」を考え、対策を立案し、実行する力が、「過去の東大チームと比較して不足」しているのかもしれません。

 東大野球部を語る時「頭が良いことは分かっているのだから、戦法を考え出して実行していきたい、実行することで試合に勝てる」といった論調が時々現れます。こうした見方・考え方自体に問題が有るように思います。

 受験脳と野球脳とは異なる物でしょう。受験に強い頭だからと言って、どのように野球をプレーして行ったら良いかを考えて実行する能力が高いとは限りません。ボールやプレーに対する反応の速さや、3次元で的確に戦況を把握する能力が、野球脳の一部ということになります。 
 当然ながら、甲子園大会出場経験者は極めて高い野球脳を保持していると言って良いでしょう。

 では、どうしたら1勝を挙げることが出来るのでしょう。

[第一段階] 得点すること

 例えば、四球とエラーで無死あるいは一死1・3塁というチャンスが生まれることは、野球の試合において珍しいことではありません。ノーヒットで得点を挙げることも良くあることです。また、当たり損ねのフライが内野手の頭を超えてヒットになることも、たびたび目にします。パスボールや暴投から失点することもあります。

 野球というのは、そういうスポーツなのであり、それが野球の面白さのひとつなのです。どんなに凄い投手でも、思わぬ失点を喫することがあるのです。
 攻撃においては、こうしたチャンスを高い確率で物にしていくこと、そして「先取点を挙げること」「僅少得点差の試合を展開すること」が重要でしょう。

 連続ヒットなど考えず、とにかく得点していくこと、これが第一歩になると思います。野球は優勢勝ちや判定勝ちが無いスポーツです。10安打で0点のこともあれば、ノーヒットで得点することもあるのです。

 そして、0得点では絶対に試合には勝てません。

[第二段階] リードを守るピッチングと守備

 第一段階で先取点や僅少差に追い付く得点を挙げたら、その差を維持するピッチングと守備が大切です。逆転を狙い、力んで振り回してくる相手打者を、打たせて取っていくのです。僅少差の状態で試合終盤まで来れば、思わぬ逆転の可能性が広がるのです。

 投球においては2種類以上の変化球が必要でしょう。そして、2シームのストレートも有効だと思います。
 打ち気に逸る打者を手玉に取るピッチング、1960年代の新治伸治投手(東大野球部初のプロ野球選手)や井手峻投手(同じくプロ野球選手)ほどの投球は出来なくとも、十分に、1つのリーグ戦11試合で1勝できる投手陣の構築は可能でしょう。

[全体として] 相手チームが嫌がるプレーを続けること

 体力・体格・運動能力面で劣後し、野球脳の面でも敵わないかもしれないとなれば、相手チームが嫌がるプレーを続けていくしかありません。格好良いプレーをする余裕など無いのです。
 投手陣が年に一度の好投を展開した試合において、あらゆる戦術を行使して得点を挙げることが出来れば、「相手チームの焦りを誘う」ことに繋がります。相手が焦る状況を創り出していくのです。

 採用していく戦法・プレーについては、100年以上の歴史を有するスポーツなのですから、先達たる「野球の天才」諸兄が、ありとあらゆる戦法・プレーを創造し、実行してきていることが明らかですので、それらの中から自分達の能力・個性に合ったものを選択し、組み合わせて行くのでしょう。
 新しい戦法・プレーを生み出すことにエネルギーを注ぎ込むより、余程効率的で効果的だと思います。

 また、東京六大学野球の歴史を見ると、東大に弱いチームと強いチームがあると思います。
 強いのは明治大学、確か明大は東大に100連勝以上していると思います。個別校同士の対戦では、年間最大4連勝しかできないのですから、100連勝というのは25年の月日を要します。明大は、25年・四半世紀以上東大に負けていないのです。おそらく、明大は東大相手に全く焦らないチームなのでしょう。

 一方、意外に弱いのが早稲田大学です。早大は、前述の1981年春のシーズンに慶大と共に東大に勝ち点を許すと、同年秋のシーズンには単独で再び勝ち点を許しています。2シーズン連続で東大に負け越し、1年間で東大に4敗したのです。
 その後も、東大の連敗記録を止める?ことが多いのが、早大だと感じます。早大は東大相手に焦り易いチームなのかもしれません。

 東京大学野球部は「相手の嫌がるプレーを連発し、最少のヒット数で得点し、相手の焦りを誘って凡打の山を築く」野球で、不名誉な記録に終止符を打たなければなりません。1度のリーグ戦で1勝挙げて行くことは、決して不可能なことではないと思います。

 そして「東大野球の勝ち方」を身に付け、ノウハウとして伝承し向上させて「1勝3敗ペースの野球」を確立できれば、今後10年の間に1981年春のリーグ戦の4位という最高成績を上回る成績を残すことは、夢ではないでしょう。

 日々努力を積み重ねている現東大野球部の皆さんに対して、失礼なことを書いてしまったかもしれませんが、「東大・六大学野球リーグで初の3位」という報道・大見出しを、是非見てみたいと思っているのです。
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