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HOME   »   大相撲  »  [大相撲2014年9月場所] 底知れぬ強さを見せる 逸ノ城関
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 新入幕・東前頭10枚目の逸ノ城が好調です。9日目を終えて8勝1敗で早くも勝ち越しという見事な成績。

 取組の内容が、また素晴らしい。
 今場所対戦した三役経験者の栃煌山、松鳳山、隠岐の海を一蹴しました。「強い」取り口でした。

 相撲協会のホームページにおける体格は、身長192cm・体重199kgと大柄ですが、スバ抜けて大きいという訳では無く、例えば中日8日目の対戦相手・隠岐の海は身長189cmですから、ほぼ同じ大きさに見えました。
 つまり、「体格・体力で圧倒する相撲ではない」ということでしょう。

① 相撲が上手いこと

 初土俵が2014年1月場所ですから、まだ大相撲で相撲を取り始めて9ヶ月目ということになります。

 こうした初土俵から間もない力士が活躍を見せる時には、多くの相撲関係者から「まだ相撲を知らない」というコメントが示されるものです。逸ノ城についても、そうした指摘が皆無ではありませんが、同じように駆け足で番付を上げた他の力士に比べれば、こうした指摘は極めて少ないと感じますし、指摘の内容が異なります。

 従来のコメントのニュアンスは「これから上位力士に当たれば、相撲を知らないことが露呈し、一度は大きく負け越して番付を下げるであろう」という感じでしたが、逸ノ城に対するコメントのニュアンスは「まだ、どんな相撲を取ろうとしているのか分からない」というものです。
 つまり、現在でも相当強いが、相撲を憶えてきたらどこまで強くなるのかわからないということですから、「底知れない強さ」ということになります。

 逸ノ城は、日本の高校そして社会人での相撲経験が有りますから、相撲の基本をよく知っているのです。従って、バタバタした感じの取り口では無く、もう何年も大相撲界に居るような落ち着きが感じられるのでしょう。

 そして、不利な体勢になっても徐々に自分の体勢に持ち込んだり、がっぷり四つになっても慌てることなく相手力士が疲れるのを待ち、ここぞという時には一気に出るといった、上手さが目立つ相撲を展開できるのです。
 「相撲脳のレベルの高さ」、ここが最も凄いところでしょう。

② 「同じ技を繰り返す」取り口

 中日8日目のNHKラジオ放送の解説者・中村親方(元関脇・琴錦)が、隠岐の海戦で頭を抑え込んでの上手投げを続けた取り口について「この力士(逸ノ城)は同じ技を連続するんです。普通は、ある技が決まらなければ、次は別の技を繰り出すのでしょうが、逸ノ城はその技を続けます。初日からそういう取り口の力士だと感じていました」とコメントしていました。

 さすがにスピードと技の切れ味で相撲界を席巻し、2度の平幕優勝を誇る琴錦・中村親方です。見事なコメントだと感じました。

 この取組後の逸ノ城のコメントも紹介されていました。「上手投げを打ち始めた以上、途中では止められない」とのコメントでした。こうしたクセ?のある力士なのでしょうし、必ず決めることが出来ると考えて繰り出した技を、継続する力があるということかもしれません。

 私には、この隠岐の海戦の上手投げ連発について、もうひとつ感じるものがありました。前日7日目の勢戦で逸ノ城は今場所初黒星を喫したのですが、この取組の敗因は「頭を抑え込んでの上手投げに拘り過ぎて体勢を崩したこと」でした。

 逸ノ城は「2日間同じ上手投げを続けた」のです。中村親方が言うように「ひとつの取組の中で同じ技を連続する」ばかりか、「2番連続で同じ技を続けた」ように見えます。
 ひょっとすると、前日決められなかった技を翌日も繰り出して「決めて見せた」のかもしれません。もしそうであれば、怖ろしい強さということになります。

③ 喋ると可愛いこと。

 初日のテレビ放送の新入幕力士紹介の中で、逸ノ城が登場しました。舌足らずで、おどおどした様子のコメントでした。先場所・前々場所の十両における相撲振り、まさに「怪物」という印象とは正反対の雰囲気でした。

 そして、初日の白星で「新入幕初白星力士」として再びインタビュールームに現れましたが、やはり怪物とは程遠い様子で、アナウンサーから「200kgに近い大きな体ですね」とマイクを向けられると、「本当は180kgから85kgくらいが良いと言われているんですが、無駄に大きくなっちゃって。すいません」と(何故か?)謝る姿には、今年1月初土俵、21歳の若手力士の初々しさが溢れていました。

 取組に臨み、怖い表情で土俵上で仁王立ち、相手力士をブン投げている逸ノ城と、喋ったときの逸ノ城のギャップは、とても大きなものです。そして、とても好ましいものでしょう。
 初の幕ノ内の土俵で、一番取るたびにファンが増えていると伝えられていますが、その通りだと感じます。

 さて、何しろ初土俵から9ヶ月という超スピード出世で、幕の内に上がって来た力士ですから、髪の毛の伸びが追い付かず、「大銀杏」はおろか「ちょんまげ」も当分無理でしょう。
 しかし、もし今場所10勝を大きく超える大勝ちを魅せれば、来場所の三役昇進は夢ではありません。

 「ザンバラ髪の三役力士」が誕生する可能性は十分あると思います。それどころか、来場所三役から2015年1月場所で優勝でもすれば、「ザンバラ髪の大関」が誕生する可能性すら感じさせます。
 
 「抜群のフィジカルと相撲の上手さ」を具備する逸ノ城関は、底知れない力を秘めた力士なのです。
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